コレラ菌の特徴

<形態>中等大(0.3〜0.6*1〜5.0μm)で、端在性の1本の鞭毛をもって活発

に運動する。コレラ菌の鞭毛は、腸内細菌のそれと異なり皮膜を持つため、直径が、やや大きく

23nmある。中心部の直径は他の菌と同様で、分子量45,000のタンパクよりなる。

生の標本における運動は、きわめて特徴的で、「飛蚊状」と形容される。一般の染色液によく染まるが、Pfeiffer液が、よく用いられる。

 

 

 

<生化学的性状>糖分解では、白糖、マンノースを分解しない。乳糖は4〜5日で、

陽性となるアミノ酸ではリジンおよびオルニチンデカルボキシラーゼ陽性であるがアルギニン陰性トリプトファンよりインドールを生じるが同時に硝酸塩を亜硝酸塩に還元するため硝酸塩を含むペプトン水に培養してから濃硫酸を加えるとニトロソインドールを生じて赤変する(コレラ赤反応)

 

<抵抗性>コレラ菌の抵抗力は比較的弱い。培養した菌は55〜60℃加温で30分、1%、石炭酸水中約5分で、死滅する。酸に弱く1万倍の鉱酸中で数秒で死滅する。健康人の胃液でも同程度の殺菌力を有する。水中で1日、海水中で数日〜3週間は、生きている。汚染された食品中では、室温で1〜2日、冷蔵庫中で3〜7日くらい(牛乳や豆腐では、室温でも数日、冷蔵庫中では2週間以上)

 

<菌型と病原性との関係>VCholerareにはO抗原H抗原が、しられておりH抗原には1つしか知られていないがO抗原には、多数の抗原の存在がある。1991年まででヒトからヒトへ伝播して大流行起こす原因になるのは全てO1型であったので、O1型のコレラ菌をO2以下のコレラ菌と区別する必要があったそこで前者をO1型コレラ菌V.CholerareO1,後者を非O1コレラ菌V.Cholerae non−01として区別してきた。厚生省は1988年に通達を出し法定伝染病としてのコレラは、コレラ毒素を生産するO1型のコレラ菌による感染のみに適用されるようになった。O1型コレラ菌は、さらに、吸収抗血清を用いることにより小川型AB(C)、稲葉型AC,彦島型ABC,という3つの亜型に分けられる。

(抗原因子Aが共通)O1コレラ菌は生物学的性状の違いによりアジア型、エルトール型があり、エルトール型は一般にアジア型より病原性が低い。逆に自然界での、抵抗性はエルトール型が強く長時間生存できる。よって、流行が長続きする可能性が高い。