7.赤痢の治療と予防について
腸・腸外アメーバ症を問わず全病型に
のメトロニダゾールが第一選択され、同系統のチニダゾールも有効であるが、重症例にはデヒドロエメチンの非経口投与も行われる。また、襄子保有者の治療にはフロ酸ジロキサニドを使用する。
抗トリキモナス薬の本剤をアメーバ性大腸炎には
アメーバ赤痢や肝膿瘍などの腸外アメーバ症には
1.25〜2.0g/日、分3.7〜10日間内服。また、チニダゾールも用いられる。副作用として、胃腸障害、末梢神経炎、ときにうつ状態になるほか、実験的発癌性や変異原性の報告あるので、妊婦のほか、中枢神経系や血液系の基礎疾患を有する患者への投与は避け、治療中の飲酒を禁ずる。なお、最近、本剤の大量投与を極力避ける趨勢にあることにも留意するべきである。
b.
デヒドロエメチン膿瘍破裂、腸などの重症例に1mg/kg、(最大60mg)、一日一回筋注。本剤は
組織内アメーバには強力に作用するが、腸管腔のそれには無効である。また、
心・腎機能の監視下で投与する。心。腎疾患、妊婦、老人、多発性神経炎患者への投与は禁忌である。
c. フロ酸ジロキサニド
無症状襄子保有者に1.5g/日、分3、10日間連用。副作用は軽微である。
予防は発展途上国の流行地では、水系伝染病に対するそれに準じ、先進国の特定集団では特殊な感染要因を排除し、感染源になる無症状襄子保有者も治療する。
化学療法による除菌に重点がおかれ、一般にナリジキシン酸、カナマイシン、
アンピシリン、コリスチンなどが用いられる。
これらの薬剤はいずれも常用量を一日四回に分服、五日間投与を標準とし、
経口投与困難な症例を除いては注射は行わない。特にカナマイシンは難聴な
どの副作用を考慮して注射では用いない。いずれにせよ抗菌剤投与後はなる
べく頻回に検便を行い、少なくとも10日間以上追求すべきである。食事は
できるだけ早めに流動食〜五分粥〜全粥〜常食と進めることを原則とする。
予防は、患者の周囲について検便を行い、消毒を行う。感染源の撲滅・監視 が特に必要であり、環境衛生・個人衛生・特に経口感染なので個人の手洗いを
励行することがきわめて重要である。最近は外地での感染が増加しており、生水や氷水の飲用、魚介類の生食いは厳重に慎まなければならない。