赤痢とは
食物・水等を感染源とする、大腸の急性感染症です。症状がでるまでに
1〜5日かかり、腹痛・下痢・嘔吐等を伴います。
病原体の種類によってアメーバ赤痢と細菌性赤痢の二つに分類されます。
1)アメーバ赤痢
赤痢アメーバという原虫がおこすもので、熱帯のとくに衛生状態の良くない地方で
多く見られます。
赤痢アメーバには栄養型と嚢子型とが有ります。嚢子を含んだ糞を経口摂取するこ
とによって発症する場合がほとんどです。嚢子は、小腸に達して栄養型となり、主に
大腸で細胞分裂を繰り返して増殖します。これは、肛門性交でも大腸に嚢子が付いて
も起こりえます。その後、赤痢アメーバは大腸粘膜に侵入し、破壊します。
症状としては、腹痛、下痢などの消化器症状を呈します。赤痢アメーバの侵入の仕方
は激烈で、大腸粘膜に潰瘍を作ります。発症は緩徐です。粘血便、しぶり腹を起こし
ますが、発熱は稀です。粘血便はイチゴゼリー状です。
治療は、メトロニダゾールを服用します。
2)細菌性赤痢
赤痢菌によっておこるもので、世界中で発生しますが、これも熱帯の衛生状態の良
くない地方で特に流行しやすい病気です。赤痢菌は
1897年に志賀潔によって発見され、
Shigella(シゲラ)と名づけられました。典型的には発熱、腹痛、下痢、血便、しぶり腹などを主症状とする感染症腸炎で、
赤痢菌が大腸粘膜細胞内に侵入、増殖し、さらに隣接細胞へと病変が拡大していくこ
とによって起こる化膿性炎症である。病変は通常粘膜上皮から粘膜固有層までにとど
まり、腸管外感染を起こすことはまれである。幼児にみられる特異な病型と考えられ
た疫痢は第二次世界大戦後までのわが国で多発したが、赤痢の減少とともにみられな
くなった。