赤痢とは

 

 食物・水等を感染源とする、大腸の急性感染症です。症状がでるまでに15日かか

り、腹痛・下痢・嘔吐等を伴います。

 

病原体の種類によってアメーバ赤痢と細菌性赤痢の二つに分類されます。

 

1)アメーバ赤痢

赤痢アメーバという原虫がおこすもので、熱帯のとくに衛生状態の良くない地方で

多く見られます。

赤痢アメーバには栄養型と嚢子型とが有ります。嚢子を含んだ糞を経口摂取するこ

とによって発症する場合がほとんどです。嚢子は、小腸に達して栄養型となり、主に

大腸で細胞分裂を繰り返して増殖します。これは、肛門性交でも大腸に嚢子が付いて

も起こりえます。その後、赤痢アメーバは大腸粘膜に侵入し、破壊します。

症状としては、腹痛、下痢などの消化器症状を呈します。赤痢アメーバの侵入の仕方

は激烈で、大腸粘膜に潰瘍を作ります。発症は緩徐です。粘血便、しぶり腹を起こし

ますが、発熱は稀です。粘血便はイチゴゼリー状です。

治療は、メトロニダゾールを服用します。

 

 

2)細菌性赤痢

赤痢菌によっておこるもので、世界中で発生しますが、これも熱帯の衛生状態の良

くない地方で特に流行しやすい病気です。赤痢菌は1897年に志賀潔によって発見さ

れ、Shigella(シゲラ)と名づけられました。

典型的には発熱、腹痛、下痢、血便、しぶり腹などを主症状とする感染症腸炎で、

赤痢菌が大腸粘膜細胞内に侵入、増殖し、さらに隣接細胞へと病変が拡大していくこ

とによって起こる化膿性炎症である。病変は通常粘膜上皮から粘膜固有層までにとど

まり、腸管外感染を起こすことはまれである。幼児にみられる特異な病型と考えられ

た疫痢は第二次世界大戦後までのわが国で多発したが、赤痢の減少とともにみられな

くなった。