グラム染色法 gram stain 98012 浦田 雅子

1884年に、Gramによって考え出された染色法。もともと、組織中に存在する細菌を組織と染め分けるために考案されたが、現在は細菌の分類のために応用されることが多い。

その分類は、pararosaniline 色素属のもの(クリスタル紫、ゲンチアナ紫など)に染まるか染まらないかによって区別される。(ときに、グラム染色法により、染色されるときも脱色されるときもある菌があるが、これを、グラム不定菌という。)

グラム陽性菌gram positiveは、細胞質膜の外側に細胞壁cell wallを持つだけで、細胞壁成分と結合したクリスタル紫がヨード処理により、アルコール不溶性の化合物を作るので、グラム染色により、黒紫色に染まる。

グラム陰性菌gram negativeは、細胞壁の外側にさらに外膜outer membraneをもっており、これがヨードの透過を妨げるため、細胞壁に結合した色素は、アルコール可溶性のまま留まり、アルコールにより脱色されてしまう。(実際の染色では、脱色後の対比染色の色をとり、赤色を呈す。)陰性菌の中には、外膜にリポ多糖(LPS)というヒトや動物に毒性を示す物質の主成分を含むものもある。

大別としては、 グラム陽性菌→大部分の球菌・胞子形成細菌など とすることができる。

グラム陰性菌→病原性細菌・組織細胞など

図の青く染色された部分が、グラム陽性菌でる

乳酸桿菌のアシドフィラス菌。

上に示すとおり、グラム染色は、簡単で10分未満でできる検査である。また、陽性菌は球菌が多く、陰性菌は桿菌が多いことため、染まり方(陽性か陰性か)や、細菌の形態(球菌か桿菌か)、コロニーの形態から、ある程度菌の推定ができる。よって、細菌検査における迅速検査としての意義が大きい。

 

参考文献:

「標準微生物学」医学書院出版