4. 生物兵器検知デバイスの開発

核・生物・化学兵器テロ(NBCテロ)は、東京地下鉄サリン事件以降、現代社会において、「今、そこにある危機」です。NBCテロ対策は、もはや、安全、安心な社会の実現のためには欠かせない、国際的な危機管理上の課題です。その現状をふまえ、国では、数々のNBCテロ対策をとってきましたが、文部科学省では、「安全・安心科学技術プロジェクト」と銘打って、平成19年度からNBCテロ対策に関わる研究の助成を開始しました。

佐賀大学では、この分野に限らず、Science for Society(社会のための科学)を常日ごろから心がけ、科学技術の社会への還元を進めて参りましたが、この度、佐賀大学全学を挙げて提出した研究課題が、18倍以上の競争率を経て本プロジェクトのフィージビリティスタディ(研究開発プロジェクト本格実施に向けた調査研究)に採択されました。

本プロジェクトは、今年度は平成19年4月2日から6月1日まで公募され、69件の提案(研究開発課題32件、フィージビリティスタディ37件)が全国より集まり、これらの提案について、有識者による審査委員会で、6月〜7月にかけて、書面審査、ヒアリング審査が行なわれ、研究開発課題3件、フィージビリティスタディ2件が採択されました。


本学が提案する研究課題名は、「設置型生物剤検知デバイス実用化に関わる研究」といい、大量交通機関、スタジアム、ショッピングセンターなどテロの標的とされやすい施設において、迅速に生物剤を検知する設置型装置の開発のための基礎研究を行います。このような装置の存在自体が生物テロの抑止力となり、また不幸にして生物テロが起こった場合にも、即応体制がとれる安全・安心な社会の構築に大きく貢献すると期待されます。

本研究は、最新のテクノロジーを使って、生物兵器である微生物をセラミックス多孔体で集め(捕集)、生物兵器であるかを蛍光染色により迅速に判断(検知)し、さらに連続的に分析するためプラズマ処理により多孔体を再生し再び微生物を集める(再捕集)、という三つの段階を閉鎖的にかつ連続的に行えるように実施するための調査研究で、次の本格的研究段階で試作することになる自動装置の基本原理を完成させます。

佐賀大学は、本研究の代表研究機関として、本研究の中核を担いますが、研究代表者は内閣官房危機管理監NBCアドバイザであり、本年1月に本学に新設された医学部危機管理医学講座の奥村徹教授(44歳)がつとめ、農学部生物環境科学科染谷孝准教授、理工部機能物質化学科渡孝則教授、医学部病因病態科学講座生体防御学分野宮本比呂志教授、理工学部電気電子工学科大津康徳准教授がそれぞれ専門分野の研究を分担し、学問領域を超え、佐賀大学の総力を結集して研究に当たります。

研究実施体制は佐賀大学と共に、400 年以上にわたって蓄積された佐賀の磁器製造のノウハウを有する佐賀県窯業技術センターのほか、先進的な研究を行っている(株)中央電機計器製作所、(株)アドテック・プラズマ・テクノロジーから構成され、学問の領域、大学と企業の枠を超え、心をひとつにして、国民のため、さらには、安全・安心な国際社会をめざし、研究を進めてゆきます。
(8/3/07 プレスリリース資料)



☆もっと詳しく知りたいかたは、宮本までお気軽にお尋ね下さい。
宮本比呂志

研究概要1.レジオネラ2. MRSA3.破骨細胞▲ このページ (4. 生物兵器対策) の先頭へ