インフルエンザウイルスの

ウイルス学的特徴

 

インフルエンザウイルスの性状

 インフルエンザウイルスは直径が1万分の1ミリメートルの球形をしたエンベロープという脂質でできた膜をもつRNAウイルスです。

エンベロープとは、赤血球凝集素(HA)とノイラミニザーゼ(NA)という2種類の蛋白がスパイク状に突出している構造のここで、その内側に膜蛋白が裏うちし、内部には8本に分節した遺伝子RNAが入っています。

インフルエンザウイルスにはABCの3つの型がありますが、その内A型ウイルスには、先に説明したHANAの種類によっていくつもの亜型に分けられておりこのHNが変異しやすいのが特徴で、Aソ連(H1N1)型とかA香港(H3N2)型というのがこれに当たります。

さらにスペイン風邪(191819年に流行)Hsw1N1、アジア風邪(1957)H2N2、香港風邪(196869)H3N2A型インフルエンザウイルスによるものです。

このように、A型インフルエンザでは、H、Nの組み合わせで、違う型が存在します。このうち、これまで大流行した地名や最初に見つかった場所などに因みに、香港型、ソ連型などと呼ばれます。

 

 A型インフルエンザウイルスの亜型と流行

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H1N1型  スペイン風邪 (1918 - 1956)

H2N2  アジア型    (1957 - 1967)

H3N2型  香港型 (1968 - 現在)

H1N1型  ソ連型 (1977 - 現在)

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インフルエンザウイルス HA 分子の1量体の立体構造モデル。1つの球が1つのアミノ酸を示します.実際には,これと同じ分子が3つの分子がくっついています.HA 分子は,蛋白が合成された後,HA1 HA2 に開裂します.青色で示したところが HA2 分子で,下の部分は,ウイルス膜に貫通しています.緑色で示したところが HA1 分子で,白色で示した受容体結合部と呼ばれる部分で、口のように穴があいていて、細胞の糖鎖をちょうどくわえる形で細胞に吸着します。その回りの部分、つまりヒトで言えば唇の部分に抗体がつくとウイルスは細胞に吸着できなくなり感染できなくなります。しかし、この唇の部分は大変変異しやすく(変異したアミノ酸は赤色で示してある)、変異すると抗体はくっつけなくなりウイルスは再び細胞に感染できるようになります。