インフルエンザの治療方法

 

基本的に、ちゃんとしたインフルエンザの治療法というものはありません。私たちがインフルエンザにかかって、病院に行って出される薬は、ほとんどがかぜの諸症状に対する対症療法としての薬です。これらの薬は発熱、痛みなどの症状を抑えますが、インフルエンザを根本的に治す力はありません。

インフルエンザの養生、三つのポイント

保温・・・温度条件を寒くすると、発熱反応が加速されますから、

     からだを冷やさないようにしっかり保温しましょう。

睡眠・・・睡眠時は、抗体をつくるリンパ球の活動が促進されます。

     つまり睡眠を充分とることによって抗体をたくさん作る

     能力(抗体産生能)が上がり、回復が早くなります。

栄養・・・栄養のあるものを食べ、水分を補給することも大切。

     極端に食欲が落ちている場合は、おかゆをとりましょう。

 

インフルエンザをしっかりと治そうと思ったら、思い切って仕事や学校を休んで休養をとるのが一番で、自然治癒力が大切です。

そうは言っても、会社や学校を休めないということもあると思うので、その場合は必要最小限の薬を使って症状を抑えるようにしましょう。

 

具体的な治療方法

@軽度の鼻症状・発熟・筋肉痛

 

A細菌が感染している場合

 

Bその他

 

抗生物質について

抗生物質は、細菌を殺すための薬です。インフルエンザはほとんどがウイルスによって起こるのです。つまり抗生物質は、インフルエンザに直接効く薬ではありません。もちろん、鼻水を止めたり咳を止める効果もありません。細菌によって起こる病気、例えば膀胱炎、扁桃炎、肺炎、とびひ、化膿性の疾患等に効果があるのです。

 抗生物質を使うことによる問題点には、抗生物質を飲むと下痢をするということがあります。細菌を殺すわけですから、人間のからだの中にある必要な細菌例えば腸内細菌も殺してしまいます。その結果下痢が起こってくるのです。1日や2日で下痢が起こることはあまりありません。その場合はむしろインフルエンザの症状としての下痢が起こることが多いようです。しかし継続することによって、下痢の頻度は高くなっていきます。整腸剤を併用することによって、下痢を少なくすることが出来ます。もう一つ大きな問題点は、耐性菌です。細菌は抗生物質といつも競争しているのです。抗生物質が開発されると、細菌はそれに勝つ(耐性となる)方法を獲得していくのです。抗生物質の効かない菌が出てきて、重症な患者の治療に難渋することになるのです。抗生物質を必要以外に漫然と長期間にわたって使うことが、耐性菌を作り上げることになるのです。

解熱剤について

解熱剤は体温が40度を超えたら使った方がいいでしょう。

それ以下のときは、体温よりもその人の全体状況から判断します。

・元気で食事がとれる状態

服用の必要はありません。かりに39度をさしていても全く元気で、食事をとれると言う場合があります。こういうときは、解熱剤を使う必要はありません。頭の下に氷枕、腋にアイスノンをはさみ体を冷やして下さい

・体が非常にだるく食欲もなく頭痛もする

解熱剤を服用する。37.5度の熱でも体が非常にだるく食欲もなく頭痛もするという場合は解熱剤を服用してもいいでしょう。解熱剤を飲んで体が楽になったとこで栄養のある物を食べましょう。

また、わずかな体温の上昇によって精神が不安となる人がいます。このような人も解熱剤で下げることにより、食欲も出て免疫力が向上します。

 

また、解熱剤を使ってはいけないときというのがあります。それは、

・体温の上がり方から病状の進行を診断するとき

病気によっては、体温の上がり方から病状がどのくらい進んだかを判断するものがあります。このようなときに勝手に体温を下げてしまうと、病状の進行具合がわからず重大な問題を引き起こす可能性があります。高熱時に解熱剤を使うときには、まず医師に相談してからにしましょう。

・解熱のさいの発汗や、あるいは寒気が強いとき

高熱のときには寒気があるものです。しかし、解熱剤を使うことにより、この寒気が強くなった場合は、やはり医師に相談してください。また、解熱のときの発汗はあるのが当たり前ですが、これも必要以上に多い場合も注意が必要です。

 

下痢止め・吐き止めについて

 嘔吐すれば吐き気止め、下痢をすれば下痢止めと考えるのは、当たり前かも知れません。吐き気や下痢の大部分は、細菌、ウイルスや毒素が原因となって起こります。身体に不都合な細菌などが口から入れば排泄のために嘔吐が起こり、入ってしまったものを外に早く出すために下痢が起こるのです。つまり嘔吐や下痢も、自分を守る防御反応の一つ考えられているのです。気持ちが悪い時に吐くとすっきりする、急にお腹が痛くなって下痢をすると腹痛が治るということは、時々経験することでしょう。こんなときに無理に吐き気や下痢を止めると、かえって症状がひどくなる場合もあるのです。また細菌や毒素などの排泄が遅れ、病気が重症化することもあります。O-157が問題になり、下痢止めを使うと重症化するということが分かってから、吐き気止めや下痢止めの使い方に慎重さが要求されるようになりました。もちろん、これ以外の病気でも嘔吐や下痢が起こります。

医師の正しい診断を受け、適切に使うように心掛けることが大切です。

 もう一つ大切なことは対処法です。嘔吐や下痢の対処の基本は、お腹を休ませることです。吐いたら3〜4時間ぐらいはなにも食べない、下痢をしたら水分を十分とり、穀物を中心とした食べ物を食べて下さい。

 嘔吐すれば吐き気止め、下痢すれば下痢止めという、意識を変えていくことが必要です。