感染しやすい因子(宿主側の要因)
院内感染増加の内的要因には生体の内的環境と外的環境の二つに分けて考えられるが、ここでは内的環境について考えてみたい。
内的環境因子、すなわち生体側要因は、以下に述べる要因のいくつかが重なり合っていることが多い。
@)定着因子:抗生物質による菌交代現象
A)発症因子:生体の全身または局所の“抵抗力”の減退
局所性 局所性(自然、人工)
原発性、全身性因子としては、新生児とくに未熟児とか原発性免疫不全症候群があげられる。原発性、局所性因子としては、先天的の形態学的奇形、例えば尿路奇形があげられる。
続発性、全身性因子としてはいろいろの原因によって誘発される続発性免疫不全がある。その中には、自然因子によるものの例として、造血器腫瘍があり、人工因子によるものの例としては、各種の医原性の免疫不全があげられる。
続発性、局所因子としては局所の形態学的欠陥があげられる。このうち自然的因子によるものとしては、慢性疾患の再発の繰り返しによるもの、例えば気管支拡張症とか、脊髄疾患に基因する膀胱障害などがあり、人工的因子によるものとしては、手術、外傷などによる不慮の形態異常があげられる。