病院内感染

新生児9人がMRSA感染

1999930 1339 共同通信社

神戸市須磨区の国立神戸病院で7月から9月にかけて、同病院の母子医療センターで生まれた新生児九人がMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に感染していたことが、30日までに分かった。

症状はいずれも軽く、六人は既に退院、3人も数日中に退院できる見込みという。

--------------------------------------------------------------------------------

セラチア菌は同一 東京・墨田中央病院の集団感染

10:18p.m. JST September 02, 1999

東京都墨田区の墨田中央病院(小嶋邦昭院長)で7月下旬、入院中のお年寄りが腸内細菌のセラチアに集団感染し、5人が死亡した問題で、都の調査班(班長・増田剛太都立駒込病院感染症科部長)は2日、感染した10人から遺伝子の型などが同じ菌を検出したことから、同一感染源から集団感染したとの検討結果をまとめた。感染原因は、患者に投与する点滴をつくる際に菌が液内に入った疑いがあるとしている。感染経路の調査も進めたが、病院の空調施設や床などからは同型の菌は見つからなかった。

調査班は、病院内の入院患者や施設などから採取した255サンプルを調べた結果、9種類のセラチアを検出した。このうち、遺伝子の配列などから10人の感染者の菌はすべて同一だったが、他の入院患者や環境中の菌と感染者の菌は違う型であることが分かった。感染者から検出された菌は、いくつかの抗生剤で殺すことができ、特別に強い毒性や薬剤耐性をもつものではなかった。

感染原因については、5人の死因がいずれもセラチアによる敗血症だったことから空気からの感染ではなく、菌が直接血液中に入って発病したと判断。すべての感染者に共通する原液や薬剤がないことから、点滴を調合する段階で菌が混入した疑いがあるとした。

--------------------------------------------------------------------------------

耐性菌の広がりを警告 米疾病対策センター

1:15p.m. JST August 21, 1999

米疾病対策センター(CDC)は20日、この2年間で、抗生物質の効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に病院外で感染して病気になった人が200人以上にのぼり、子供4人が死亡していると発表した。耐性菌が一般社会にとっても大きな脅威になりつつあることを示すものとして警戒を強めている。

感染例はミネソタ州とノースダコタ州のもので、病院以外での感染による死者は米国では初めてという。死亡した子供は1歳から13歳で、病院などで感染した形跡はなかった。高熱などの症状で病院で手当てを受けたが、抗生物質が効かずに亡くなった。

--------------------------------------------------------------------------------

長野のVRE感染者8人に

6:36p.m. JST August 10, 1999

長野県中野市の「北信総合病院」(西村博行院長)の入院患者が、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に感染していた問題で、西村院長らは10日、記者会見し、新たに4人の患者がVREに感染していたことを明らかにした。これで感染が確認されたのは計8人になった。今回の4人はいずれも発症していないという。

入院患者や家族、職員などを対象にした検査の結果、分かった。感染経路については、同県松本市の信州大学医学部付属病院に、検出された菌の遺伝子解析を依頼している。これまで4人分の菌がvanB型であることが分かったほかは、まだ詳しい結果が出ていない。

西村院長は「感染者はいずれも発症者の出た病棟から出ており、院内感染の可能性は否定できない」と話した。また、感染予防策をとっていることなどから「他病棟やほかの患者への感染拡大は防げた」としている。

同病院は、10日までに病院全体の消毒を済ませたほか、感染症予防}ニュアルの見直しなどを行い、新たな感染防止策をとっている。

--------------------------------------------------------------------------------

セラチア感染、墨田中央病院で5人目の死者

5:23p.m. JST August 08, 1999

東京都墨田区の墨田中央病院(小嶋邦昭院長)で起きたセラチアの院内感染で、重体が続いていた81歳の男性が8日午前、多臓器不全のため死亡した。セラチアによる一連の死者は5人になった。

男性は6月上旬に右足骨折の手術のために入院。手術後の治療中だった7月27日に発熱し、感染したと診断されていた。

   ◇

この問題では、東京都衛生局の調査班が立ち入り調査を行って感染源や経路などを調べている。セラチア菌はありふれた細菌で健康な人が感染しても病気になる可能性は低いが、高齢者や抵抗力が落ちている入院患者などは感染症を起こす場合がある。

同病院の小嶋院長は「亡くなった患者さんおよびご家族に心より深くおわび申し上げます。今後も都の調査班に全面的な協力をし、再発防止に全力を尽くす所存です」とのコメントを発表した。(この項時事)

--------------------------------------------------------------------------------

都がセラチア菌調査班を設置

11:03p.m. JST August 03, 1999

東京都墨田区にある民間病院の墨田中央病院(小嶋邦昭院長)で、セラチア菌に感染したとみられるお年寄り3人が死亡した問題で、都衛生局は感染の原因や感染経路を特定するため、3日付で同病院や都立衛生研究所、感染症の専門家らによる調査班を設けた。

同日午後、記者会見した小嶋院長によると、これまでの調査で発熱などの症状を訴えた入院患者は13人にのぼり、このうち死亡した3人を含む7人からセラチア菌が検出された。また、現在も2人の患者が重体だという。小嶋院長は「26日に院内のクーラーやスプリンクラー、給水タンクなどを一斉に掃除した。その水回り環境からの感染か、別の原因による院内感染の二つの可能性が考えられるが、きちんと原因究明して再発防止に力を入れたい」と話している。

都は2日に同病院の立ち入り検査をしたが、一つの病院で一度に多くの患者が出たことや、これまでのセラチア菌の症例に比べて症状の進行が極めて早いことなどを重視している。感染源としては注射器などの医療器具も考えられるほか、何らかの理由で菌の毒性が強まった可能性もあるとして、今後、原因菌を遺伝子レベルで調べるなどして、病院内のどこにあった菌から感染したのかなどを明らかにしていく方針だ。

--------------------------------------------------------------------------------

3人目の死亡発覚、加古川市の診療所で肝炎の集団感染

01:18a.m. JST May 30, 1999

 兵庫県加古川市の診療所・福原泌尿器科(福原公院長)で、人工透析患者がB型肝炎を相次いで発症し、劇症肝炎で2人が死亡していた問題で、兵庫県は29日、同診療所で人工透析を受けていた患者のうち、新たに1人が慢性C型肝炎で死亡し、1人が急性C型肝炎を発症していた、と発表した。これを受けて福原院長は人工透析を中止するとのコメントを出した。

 同県疾病対策室によると、新たに死亡がわかったのは40代の男性。3月末に発症し、転院後の4月8日に慢性C型肝炎で死亡した。急性C型肝炎を発症したのはR0代の女性で、病状は安定しているという。女性の感染については29日、県に届け出があったが、死亡した男性の届け出はなかった。

 同県は、同診療所のカルテをもとに死亡した男性の転院先の調査を行うとともに、県内で透析を実施している医療機関についてウイルス性肝炎の患者数を把握し、感染対策の実施を徹底するよう立ち入り調査を行う方針。

 今回の院内感染をめぐって、同県は28日、院内感染調査委員会を設け、10月をめどに調査報告をまとめる方針を決めている

--------------------------------------------------------------------------------

結核に院内感染?2人死亡、福島県喜多方市の病院で

7:24p.m. JST May 29, 1999

 福島県喜多方市の佐原病院(佐原元院長)で、結核と診断された80歳代の男性患者を看護していた看護婦ら7人と、この患者と同じ病室に入院していた70歳代の男性、孫2人の計10人が結核に感染し、うち男性患者2人が死亡していたことが29日、明らかになった。菌の鑑定を研究所に依頼中で、死因はいまのところ分かっていない。県は、院内感染の可能性が大きいことや結核予防法で定められた報告義務を病院側が怠った疑いが強いことから、週明けにも、医療法に基づく指導に乗り出す。

 県健康増進課などによると、死亡した80歳代の男性は昨年9月、肺炎の疑いで佐原病院に入院。11月に結核と診断され、結核患者用の病床がある県立病院に移されたものの、12月23日に死亡した。しかし、佐原病院は、発症の事実を当該保健所に届け出ていなかったという。

 また、70歳代の男性は、9月から11月までは80歳の男性と同じ病室にいた。結核に感染したことが分かったため県立病院に転院したが、今年4月27日に死亡した。

 一方、感染した看護婦2人は発症して入院しているほか、別の看護婦4人は抗結核剤を内服している。さらに、死亡した70歳代の男性の孫で小学生の女児2人と、男性の看護実習生1人も結核に感染したが、発症はしていないという。

 県立病院から結核患者発生の報告を受けた保健所は、報告があった翌々日の昨年12月4日から調査に入った。が、接触者に検査の承諾を得ることなどに日数がかかり、80歳代の男性の家族の検診は今年1月中旬、男性の1次接触者の検診は3月中旬までかかった。発症者が確認された今月、2次接触者の検診をしていた。

 佐原院長は「県には、確定診断をした転院先から連絡されるものと認識していた。結果的に迷惑をかけ、反省している」と釈明している。

--------------------------------------------------------------------------------

MRSAのワクチン開発

1999528 1556 共同通信社

 抗生物質が効かず、院内感染による死亡や重症例が問題になっている、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のワクチンを米ハーバード大のジェラルド・ピアー博士らが開発、動物実験で高い効果を確かめ、28日付の米科学誌サイエンスに発表した。

ワクチンは、治療の切り札とされる抗生物質バンコマイシンが効きにくい新種MRSAにも効果があり、院内感染防止の決め手になると期待される。

 

新生児3人が院内感染

慶応病院 肺炎で1人死亡

 東京都衛生局に九日入った連絡によると、東京都新宿区の慶応大学病院で今年一月、レジオネラ菌による院内感染が原因で新生児三人が肺炎や気管支炎にかかり、うち一人が肺炎で死亡していたことが分かった。新生児室用給湯設備のお湯から菌が検出されたことから、同病院では加湿器などから感染した可能性が強いとしている。医療機関での新生児の感染死亡例は初めてで、厚生省や都は事態を重視、感染原因の調査に乗り出すとともに、全国医療機関にも再発防止徹底を呼びかける。  都や同病院などによると、死亡した新生児は昨年暮れに同病院で生まれた女児で、退院直後の今年一月十一日に肺炎を起こし、再び入院したが回復せず一月二十日に死亡した。病理解剖したところ、肺からレジオネラ菌を検出、残る十人の新生児の血清を調べた結果、二人が感染していた。

 死亡した女児は、再入院の際、既に重症の肺炎で呼吸困難を起こしており、治療は間に合わなかったという。残る二人は肺炎と気管支炎だったが治療の結果、いずれも全快した。

 その後、同病院が新生児室のある小児科フロアの数十カ所の水質検査をした結果、新生児室の給湯口や加湿器、シャワーヘッド、ミルク加湿器などから同菌を検出した。このため、給湯設備に菌の発生源があったとみられる。

 レジオネラ菌は温度が六〇度から七〇度で死滅するが、同病院の給湯設備の温度は六〇度に設定してあり、蛇口付近の水温は五〇度に下がっていた。給湯タンクのお湯からは検出されなかったことから、タンクから蛇口までの配管途中で菌が繁殖したらしい。

 同病院関係者は「新生児室では冬場、加湿器を使っており、新生児がそれを吸う可能性はある」と加湿器が感染源である可能性を示唆した。

 事故後、病院側は病棟を加熱消毒し、給湯設備も温度を九〇度まで上げて業務を開始するなどの措置を取り、二月二十一日以降、新たな感染例はないという。しかし、都への報告は七月になるまでなかった。

 レジオネラ菌はビルの空調設備の水の中などに繁殖し、吸い込むと高熱を出し肺炎などを起こす。厚生省研究班の調査によると、昭和五十四年から平成四年までの間に国内で八十六人が同菌に感染、二十六人の死亡が確認されている。

 しかし医療機関での新生児の感染死亡例は初めて。都や厚生省は、飲料水となる給湯施設から菌が検出されたことを重視しており今後、調査を進めるとともに、同病院の施設改善などの指導を行う。

 倉文明・国立予防衛生研究所主任研究官(細菌学)の話 「病院内で、しかも体力の弱い新生児室の施設で発生するなど、不幸なケースが重なった。一昨年、東京都内の民間のビルで四十五人の患者が発生する集団感染が起きたが、いずれも成人で症状は軽かった。レジオネラ菌は自然界に普通にいる細菌で完全に取り除くことは不可能。このため給湯器など増殖しやすい場所をこまめに点検し、消毒するなど菌の増殖を防ぐしかない」