・O-157とは?
長さ約2ミクロン、幅約1ミクロン弱の
棒状細菌(桿菌)。O-157の「O(オー)」は「曇りを生じない」というドイツ語の頭文字。培養した時一面に広がって透明な培地を曇らせることなく、点状のコロニーを作るという見かけ上の性質を表している。大腸菌は菌体の表面にある糖鎖がつながった「O抗原」のタイプの違いで現在173種類に分類され、O-157は、157番目に認定されたことを意味している。べん毛にも抗原性があり「H抗原」と呼ばれる。
1982年(昭和57年)、米国でハンバーガーによる集団下痢が起きた時、初めて患者の便から見つかった。
ベロ毒素(VT1, VT2)と呼ばれる出血毒をつくり、血便を伴う激しい下痢を起こすことがあり、腸管出血性大腸菌ともいわれる(O-157を含めて6種類ある)。ベロ毒素の毒性はフグ毒の30-50倍もある。VT1は志賀毒素(Shigatoxin, ST)と同一である。
食品や飲料水、患者の便などを通じて
経口感染する。潜伏期間は4−9日間、平均5.7日と比較的長い。感染力や毒性は赤痢菌並に強いものの、熱には弱く、75度に加熱して1分間置くと死滅する。尚、酸には比較的強い。大腸菌は
塩素に弱いので、十分に塩素殺菌されていれば上水道、プールは基本的には心配は要らない。大人、子供にかかわりなく下痢をしている時は、一緒の入浴や水泳は避けた方がよい。