治療
コレラに対する治療法として、大量かつ迅速な補液と電解質補給を数時間で行うこと
が、本症の蘇生となる。
抗生剤治療はビブリオ菌に直接作用するものである。投与により下痢の期間を短縮
し、保菌の持続期間を短くするため、他への感染の可能性を低下させる重要性があ
る。
コレラ菌が
sulfamide系に感受性を示す場合は、 sulfadoxine(Fanasil)の単回筋注を施行することがある。本剤は腸胆管系に長時間作用する
sulfamide で、作用時間は8日間である。下痢は2日から4日以内に止まり、コレラ菌は便中から3日以内に消
失することが最も多く、持続しても7日である。また、
sulfadoxineを最初に1回投与しておけば、その後の抗生剤治療の手間が省け、病原菌の拡散を防げる。
実際には最も簡便な方法で最大の効果を上げるために、治療中の患者を病期に応じて
大まかに分けて、テントや仮設病棟に収容しなければならない。患者を茣蓙や地面に
横たわらせるのでなく、中央に穴のあいたコレラ患者用ベットに乗せる。半坐位にす
れば嘔吐が抑えられる。排泄物を処理して、個人の衛生的に予防し、消毒と清潔を注
意深く行なう。
治療後の経過
迅速かつ十分な治療を行なえば、コレラによる死亡の危険性は高くならない(1
-5%)。急速かつ大量の輸液と抗生剤治療で、実質的に蘇生する。
コレラはいかなる後遺症も残さない。
合併症は稀で、基礎疾患(心疾患、低栄養、高齢など)が関係する。コレラ感染後の
無尿性の急性腎不全は稀である。逆に高齢者や栄養不良児に大量または急速過ぎる輸
液を行なうと、心不全を起こす。