マラリアの種類と特徴

 

種類

潜伏期間

発熱

症状

急性期発熱抑止療法

根治療法

(再発予防)

熱帯熱

マラリア

13

殆ど毎日

脳症,腎症,肺水腫/ARDS,出血傾向,低血糖,代謝性アシドーシス,肝障害

(クロロキン),ファンシダール,メフロキン,ハロファントリン,キニーネ,チンハオス製剤,マラローン

必要なし

三日熱

マラリア

10日〜4

初めは殆ど毎日,その後一日おき

軽症

クロロキン

プリマキンが必要

卵型

マラリア

10日〜4

初めは殆ど毎日,その後一日おき

軽症

クロロキン

プリマキンが必要

四日熱

マラリア

10日〜4

初めは殆ど毎日,その後二日おき

軽症,時にネフローゼ症候群

クロロキン

必要なし

 

 

 

熱帯熱マラリア

マラリアのうち致死的なのは,「熱帯熱マラリア」(falciparum malaria)と呼ばれるものである。三日熱や四日熱とはまた別の種の原虫によって発病する。悪性マラリアともいう。熱帯熱マラリアは不規則な三日熱様の症状を呈するが,迅速に意識混濁(stupor),発作(fits),昏睡(coma)へと悪化することで,その臨床像は飛びぬけてひどい。死に至ることも多い。

 

三日熱マラリアと四日熱マラリア

マラリアの典型的な症状は,6から8時間続く,激しい発熱である。二日から三日ごとにこの発熱は再発する。Plasmodiumの二つの種によって,二つの異なるタイプの間欠熱が起こる(図1)。一つは三日熱(二日毎に発熱する,すなわち一度熱が出た日を一日目として,三日目に(=tertian)発熱するタイプ)である。もう一つは四日熱(四日目に(=quartan)発熱するタイプ)である。発熱のほか,病気が進行するにつれて,貧血と脾臓の肥大がおこってくる。

 

三日熱マラリアと四日熱マラリアの発熱パタン

上に述べた定期的な発熱発作が,マラリアを他の疾病と区別するものである。発作はしばしば激しいものとなる。患者は非常に具合が悪いと感じ,頭痛や背中の痛みを伴う。堪え難い寒気を急激に感じ,猛烈で制御不能な震えをおこす。震えからほぼ一時間以内に,体温は40から41℃(華氏105から106度)にまで上昇する。次いで堪え難い暑さが訪れ,もう12時間続く。大量の発汗が始まると一回の発作は終わりである。5から8時間後には,体温も上昇前の状態に戻る。一回一回の発作は患者を疲れ切らせるが,発作と発作の間には,ほとんど他の症状はない。

 

 

マラリアの発病機構 

 

  1. マラリア原虫に感染したハマダラカ(Anopheles)雌がヒトを刺咬し,マラリア原虫を血管内に注入する。原虫は迅速に肝臓に到達する。
  2. 続く710日の間,原虫は肝細胞中で増殖し,何も症状をあら

わさない。

  1. 原虫が肝細胞を破裂させて赤血球中に侵入し,再び増殖する。新しく生まれた原虫はもっと多くの赤血球に侵入する。このサイクルは繰り返され,原虫が赤血球を破裂させて新しい赤血球に侵入するときに患者を発熱させる。
  2. ハマダラカ雌がこの患者から吸血すると,原虫は蚊の胃壁で増殖する。次にこの蚊が吸血したときに唾液とともに血管内に注入 されるべく,数千もの新しい原虫が唾液腺へ移動する。
  3. 蚊が別のヒトに原虫を接種(inoculation)する。(→サイクルが再開する)

 

http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/didai/malaria2.html

http://www.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/m1.htm