2、 サルモネラ菌による病気…食中毒
いわゆるサルモネラ食中毒は急性胃腸炎である。その主な症状は下痢、
腹痛、悪感、発熱、嘔吐、などである。ときには脱水症状を伴う。症状の
軽度は個体およびその他の各種の条件によって異なり、死亡率は
0.1〜0.2%で、死因は内毒素によるショックである。死亡例は老齢者および小児に
多い。経過は通常1〜4日である。
約50%の患者には、回復後2〜4週間の排菌がみられ、また10〜20%
の患者では排菌は数ヵ月に及ぶ。サルモネラ症には、海外では老齢者と小
児以外では抗生物質治療を行わないことが原則とされ、抗生物質を投与さ
れた患者では、回復後長期間にわたって排菌が続く傾向があるといわれて
いる。
潜伏期間は平均12時間であるが、個体および摂取菌量によって相違が
あり、早いもので5時間、遅いもので72時間の記載がある。特に最近に
おける小児の
S.Enteritidis感染症ではしばしば3〜4日に及ぶことがある。サルモネラ急性胃腸炎は、下痢便中の白血球の存在によりコレラや毒素
原性大腸菌による下痢と鑑別されるが、カンピロバクター腸炎やエルシニ
ア腸炎とは鑑別困難で、確実な診断は菌分離によらなければならない。