輸液 ゆえき
Fluid Transfusion おもに静脈などから輸液剤を大量に体内に注入すること。または、それにもちいる液体。患者の水電解質のバランスを是正する水・電解質輸液と、栄養補給を目的とする栄養輸液に大別される。水・電解質輸液では、輸液剤の静脈内への注入は、点滴注射ともよばれ、通常は静脈に注射針をいれ、その注射針をとおして輸液瓶にいれた輸液剤を少量ずつ注入する。輸液剤の浸透圧やpHは、体液とほぼ同じに調製されている。血液を体内に注入する場合は、輸血という。輸液の目的と種類
水分や塩分を補給する水・電解質輸液と、手術後などに
栄養を補給する栄養輸液、一時的に血漿(けっしょう)量を確保するための代用血液などがある。はげしい嘔吐や下痢で水分が多量にうしなわれたときに、体液をおぎなうためにおこなわれる電解質輸液剤としては、おもに生理食塩水やリンゲル液がもちいられている。栄養輸液剤の投与方法は、経口・経腸管投与法と静脈投与法に大きくわけられる。静脈投与法としては、末梢静脈栄養と中心静脈栄養とがある。末梢静脈栄養は、上腕静脈などから点滴静脈注射によって輸液剤を徐々に注入する方法で、輸液剤としては
5〜10%のブドウ糖液に食塩などの微量栄養素を配合したものがもちいられる。1968年には、ブドウ糖の濃度が高い高カロリー輸液剤が開発され、中心静脈栄養にもちいられている。中心静脈栄養とは、正中肘(せいちゅうちゅう)静脈や鎖骨下静脈などからカテーテルを挿入し、カテーテルの先端が上大静脈などにとどくように固定し、そのカテーテルを通じて注入する方法である。経腸管投与法は、鼻から胃や腸に管を挿入し、栄養輸液剤を持続的に投与する方法で、
クローン病などの炎症性腸疾患、食道癌(がん)の術後などにもちいられる。