溶血性尿毒症症候群(HUS)について

 

HUSは、ベロ毒素が血管内に入り込んで起こるもので、下痢などの症状が初めて現れたときから2週間以内(多くは57日)に発症することが多いです。また、O-157に感染した患者の約5%の割合で見られます。多くの場合、次の3つの症状が同時に進行します。

  1. 尿毒症(腎不全)

ベロ毒素が血管内に入り込むと、血液を介して体内のあちこちを障害するようになります。なかでも腎臓は、他の臓器よりも細かい血管がたくさん集まっているため、ベロ毒素の障害を受けやすい部分です。腎臓が障害を受けると、血液を濾過する働きが低下し、尿として体外に排泄されるべき老廃物が血液中に残ったままになります。これが尿毒症です。尿毒症が起きたら、緊急の治療が必要です。尿毒症の治療では、人工透析(機能の衰えた腎臓の代わりに人工的に血液を濾過する方法)が行われます。

 

2) 血小板減少症

ベロ毒素が、血液内に入り込むと、血管の内側が傷つけられます。すると、血液が血管内をスムーズに流れなくなり、血液中の血小板(血球の一種で血液を固める働きがある)が集まって血栓(血の塊)ができやすくなります。その結果、血液中の血小板の数が減少し、出血を起こしやすくなるのが血小板減少症です。治療では、血小板輸血で血小板を増やす方法がとられます。

 

3) 溶血性貧血

ベロ毒素によって、血管の内側が傷つけられると同時に、溶血(赤血球もが傷められて壊れる)が起こります。溶血が起こると、貧血が起こり、顔色が悪くなるなどの症状が現れます。治療では輸血によって赤血球を増やします。