ネコひっかき病
(cat scrach disease:CSD)
●ネコひっかき病とは
ネコひっかき病とは、ネコとの接触後にリンパ節の腫れをきたす良性の感染性疾患である。小児に多い疾患で、ネコによる掻傷だけでなく、接触でも感染することがある。特に子ネコからの感染が多いが、イヌから感染することもある。これは、媒介者であるネコノミがイヌにも存在することがあるためである。季節的には秋~冬期に多い。
B.ヘンセレという細菌が原因といわれている。
●症状
1.
ネコに引っ掻かれた部位に、3~10日後に3~5mmの紅斑や水泡が生ずるがカユミはない。この皮膚病変は数ヶ月で治癒する。2.
掻傷の2週間後(7~60日)に掻傷部位より中心寄りのリンパ節(所属リンパ節)腫張が見られる。1~5cm大の圧痛を 伴うリンパ節腫張は、初期に発赤を伴うことがあり、通常2~4ヶ月以内に軽快、縮小する。掻傷部位が上肢に多いため、腋下、頚部、鎖骨上部、肘関節部のリンパ節腫張が多い。3.
全身状態は良好で、約50%の患者に発熱、倦怠感、頭痛、関節痛、食欲不振などの全身症状を認め、まれに脳症、多発神経炎、片側性麻痺、結膜炎などの神経症状を合併するが、2~6ヶ月ほどで回復する。4.
全身性CSD:約5%の患者に発熱が長引き、体重減少し、リンパ節腫張が全身性となる。肝臓、脾臓の腫大、胸水貯留も認められるが、殆どが治癒する。エイズなど免疫能が低下した人では重症化する。
●診断
1.
リンパ節腫張2.
ネコとの接触歴、掻傷痕の存在3.
CSDの皮内反応陽性、あるいはB.ヘンセレの確認
●治療
1.
自然治癒が多いが、場合によっては抗生物質を使用する。2.
リンパ節の疼痛が強い場合には穿刺吸引にて疼痛が軽減される。
●予防
予防的処置は特になく、感染源と考えられるネコは健康で、処分は妥当ではない。ネコの爪切りが多少有効。ヒトからヒトへの直接的な感染はない。
<参考文献>
動物と人間
http://www.nsknet.or.jp/katoh/pet.html