オウム病
●オウム病とは
鳥類からうつる病気で、オウムの病気に思われがちだが、すべての種類の鳥が保菌して
いる可能性がある。とくに、セキセイインコの保菌率は高い。鳥の場合は、不顕性感や全身感染となるため症状は、まちまちである。 オウム病クラミジアによって引き起こされる非定型感染性肺炎で,ある種の鳥によってヒトに伝搬される。ヒトの場合主に成人に発症し、小児は軽症の場合が多い。オウム病の患者数は国内外を問わず増加傾向にある。
●病原体
クラミジアはヒトをはじめ、哺乳動物、鳥類などに広く分布する偏性細胞寄生性の微生物で、
Chlamydia psittaci,Chlamydia trachomatisおよびChlamydia pneumoniaeの3種に分類される。 クラミジアは DNAとRNA の2つの核酸を持っており、その増殖は2分裂形式であることから明らかにウイルスとは異なり、リケッチアと同じく形態学的にはグラム陰性の細菌に似ている。オウム病の病原菌は、クラミジア・シッタシでウイルスよりも大きい宿主の細胞内に潜む微生物である。
●感染経路
オウム病の鳥からヒトの感染は、病鳥・保菌鳥の羽毛や排出物からのほこりの吸入により感染する場合がもっとも多い。ついで、餌の口移しによる経口感染である。
また、感染した鳥に噛まれることにも起因する。まれには感染した患者の咳の小滴を吸
入するか,性感染により起こることもある。人から人への伝染は病原性の高い鳥類株に関連している可能性がある。
●クラミジア感染症が証明されている鳥類
オウム、セキセイ、ヒインコ、ボタンインコ、カナリア、
フインチ、九官鳥、カモメ、アヒル、ガチョウ、白鳥、
コウノトリ、フラミンゴ、鷹、鷲、鳩、ニワトリ、ウミツバメ、
ウズラ、雉、アホウドリ、ツル、ペリカン、フクロウ、ペンギン、
オオハシ、カッコウ、など15目、140種で証明されている。
●症状と徴候
1~3週間の潜伏期に続いて病状の始まりは潜行性あるいは突然であり,熱,悪感,全 身倦怠,食欲不振を伴う。体温がしだいに上昇し,咳が出現する―最初は乾性だが時々粘液膿性のこともある。第2週目では,二次性の化膿性肺感染を伴った肺炎像と明瞭な硬化像が起こる。体温は2~3週間上昇が持続し,その後ゆっくりと下降する。経過は患者の年齢や肺炎の広がりによって重症度が異なる。脈拍や呼吸数の急激で著しい増加はよくない徴候である。致死率は,重症で未治療の場合には30%にも達し,毒性の強い菌株ではさらに高い死亡率さえ報告されている。重症の場合は特に回復には長い時間がかかる。
●予防と治療
飼育小屋の中の感染した鳩やその他の病気の鳥,羽毛や鳥かごのほこりは避けなけれ ばならない。輸入したオウム類には,クロルテトラサイクリンで処理したえさを45日間連続で強制的に食べさせると,鳥の血液や排泄物から原因微生物を排除できる。
他の人が咳の小滴や痰を吸入することよって感染することがあるので,臨床像や疫学
的背景(感染源となる可能性のあるものへの暴露)からこの診断が疑われるときは、厳格に患者を隔離する必要がある。テトラサイクリン1~2g/日を6時間毎に分割経口投与またはドキシサイクリン100mgを1日2回経口投与が効果的である。熱や他の症状は通常48~72時間以内におさえられるが,抗生物質は少なくとも10日間は続ける必要がある。厳格なベッド上での安静,必要ならO2吸入,鎮咳が必要とされる。
<参考文献>
http://www.kitasato.or.jp/rcb/kical/note23.html http://nagoya.cool.ne.jp/tubotyan/chlamydiosis.htm http://www.vets.ne.jp/%7Emukumuku/jintiku/jintiku.html http://merckmanual.banyu.co.jp/cgi-bin/disphtml.cgi?c=%A5%AA%A5%A6%A5%E0%C9%C2&url=06/s073.html#x38