原因となるウイルスについて

手足口病は、いくつかのウイルスが原因で起きます。(エンテロウイルス71型(EV71)、コクサッキーウイルスA16型、A10型等)もっとも一般的なのは、コクサッキーA16です。いずれのウイルスでも現れる症状は同じです。

(分離の例)

エンテロウイルス流行期後にA群コクサッキーウイルス(CA10型による手足口病、ヘルパンギーナの散発例がみられたので報告する。

島根県の感染症サーベイランスによると1996(平成8)年1月〜9月の間の手足口病は散発的であり14名が報告され、検査をおこなった3例のうち1例からCA6が分離されている。一方ヘルパンギーナは5月〜9月にかけて小規模な流行で経過し、CA6 を中心にCA4 、5、2が分離された。そして10月下旬〜12月にかけて県西部(浜田市、江津市)を中心に手足口病の発生がみられ、これらの患者から咽頭ぬぐい液19検体、水疱内容液3検体を採取しウイルス分離をおこなった。

分離方法は哺乳マウス接種法によった。同定は発症マウス乳剤を抗CA群マウス腹水で中和後、RD細胞に接種 1.5%メチルセルロース重層下のプラック中和法でおこなった。手足口病9検体のうち咽頭ぬぐい液から5株、水疱より2株のCA10、同時期のヘルパンギーナ10検体からCA10が3株、CA5 が1株、CB群が2株分離された。また同時期に発生した咽頭炎からCA10が6株分離された(表1)。同時におこなった培養細胞(VeroRDFL293)ではCA群は分離されなかった。分離株は詳細な検討はおこなっていないもののRD細胞でよくプラックを形成し、形態、出現日数、大きさも過去の分離株と違いはなく従来から使用している標準株、分離株の抗マウス腹水で良く中和された。