・感染性と非感染性が考えられている

・感染経路:最も多いのが逆行性感染(尿道より前立腺に至る感染)。

・分類:

<感染性>

細菌性 :急性細菌性前立腺炎・慢性細菌性前立腺炎

非細菌性:慢性非細菌性前立腺炎・前立腺症(前立腺痛)

※前立腺症(前立腺痛):炎症所見を認めない前立腺炎症状を有するもの。

<非感染性>

骨盤内静脈うっ滞・自己免疫疾患・下部尿路機能障害・ストレスなど(推測)。

 

2.男女比・発症年齢

・男性のみ発症(前立腺は男性の性殖器のため)。

・発症年齢:大体20〜50歳。

 

3.病

・発症の誘因:

会陰部の充血をきたす飲酒、過度の性交、会陰部の圧迫・刺激(自転車・オートバイの長時間の乗車など)、尿道カテーテルの使用

など、外尿道口から細菌が逆行して感染する。

・起炎菌:

急性細菌性;グラム陰性かん菌中心(大腸菌7割)

慢性細菌性;グラム陰性かん菌が主体。

※慢性非細菌性は、一般細菌が証明されない場合を総称するが、クラミジア、ウレアプラズマ、マイコプラズマ、トリコモナス等の関

与が考えられている。

 

4.症

1.急性細菌性前立腺炎 :38℃以上の発熱、会陰部痛、肛門部痛、頻尿、膿尿排尿後痛、排尿困難など

2.慢性細菌性前立腺炎 :下腹部から会陰部の不快感、鈍痛軽度の頻尿、排尿時不快感、性欲減退、射精時痛など

3.慢性非細菌性前立腺炎 :慢性細菌性前立腺炎と同様

4.前立腺症(前立腺痛) :慢性前立腺炎様症状

 

5.治療方針

<一般療法>

1.前立腺炎の誘因を遠ざけるよう指導する。

2.刺激性飲食物の摂取を禁じ、便通を整える事が必要。

3.尿閉時には細いカテーテルによる間欠導尿を行い、尿道留置カテーテルは極力避ける。

<抗菌薬療法>

急性細菌性前立腺炎の場合:

注射剤: 第一世代セフェム系、第二世代セフェム系、ペニシリン系、カルバペネム系、アミノグリコシド系

経口剤:ペニシリン系、ニューキノロン系、セフェム系

慢性細菌性前立腺炎の場合

経口剤:ニューキノロン系、セフェム系

慢性非細菌性前立腺炎の場合:

抗菌薬:テトラサイクリン系、ニューキノロン系

経口剤:セフェム系

<その他>

前立腺マッサージ、生薬、経穴療法、温熱療法

<インタ−ネットで紹介されていた座浴による前立腺炎の治療>

ある40代の男性が、1日10分間の座浴で前立腺炎の症状が軽くなった。前立腺炎の原因は、細菌の侵入だけでなく、不眠やストレス、

過度の飲酒、長時間のドライブやデスクワークなど、長時間同じ姿勢で座り続ける事で前立腺が圧迫されて血流が悪くなるためであっ

た。そのため、前立腺を温めて血流をよくする座浴は、慢性前立腺炎に効果があるとともにリラックスするためにも座浴は治療の一環

としていい方法といえる。

 

6.予

前立腺炎は再発を繰り返しやすいため、定期的に薬を飲んだり、診断を受けるといった自己管理が必要。

 

7.予

早期に原因を追求すると共に、尿流の状態と発熱、疼痛などの症状を観察し、水分摂取などによって利尿を促す。急性期の症状は、前

立腺炎による発熱などがあり、患者の苦痛や不安、恐怖が大きい。従って、

  1. できるだけ早く症状を取り除くための処置が受けられるように援助する事。
  2. 検査、処置に対する苦痛や羞恥心の緩和につとめる事。
  3. 入院による環境の変化に適応するための援助や家族への配慮などが必要。

 

8.患者や家族の抱える問題

1.診察に対し、強い羞恥心を抱く。

2.性についての悩みは自己概念とのかかわりが強く、不安や自信喪失等の精神的要素が加わる。

3.妊娠への影響や再発の恐れ

等。

 

9.解決の方法

1.患者の自己表出の場を確保する。

2.性や生殖に関しては、配偶者への指導も行う。

3.原因となっている長時間のデスクワークや過度の飲酒などの日常生活の改善を図る。