膀
胱 炎1.
定 義1.大部分は、細菌による感染性。膀胱炎は尿路感染症の中で約半数を占める最も頻度の高い疾患。
2.感染性膀胱炎と非感染性膀胱炎に分類。
3.病型分類:基礎疾患の有無と発症様式により、急性単純性膀胱炎、慢性単純性膀胱炎、慢性複雑性膀胱炎(急性憎悪)に分類。
※基礎疾患は、腎盂腎炎参照。
2.男女比
男女比:女性に多い。
3.病
因・発症の誘因:
排尿機構による尿の流れによる洗浄作用、上皮脱落による細菌の粘膜内侵入防止、粘膜からの免疫抗体の分泌、食細胞による食菌
能などの防御能を障害する誘因(尿意の我慢、過労、感冒、局所の冷却、不潔な性交)および基礎疾患がある場合。
・急性単純性膀胱炎の起因菌:大腸菌(
E.coli;8割)、ブドウ球菌、プロテウス属、陽球菌。・慢性単純性膀胱炎の起因菌:当初、大腸菌、プロテウス属、クレブジエラが認められるが、再発再燃を繰り返しているうちに陽球菌、
緑膿菌、セラチアが多くなってくる。
・非細菌性の膀胱炎の起因菌:アデノウイルス、真菌のものもある。
・膀胱炎と腎盂腎炎の単純性および複雑性尿路感染症の菌種を下記に示す。単純性膀胱炎で最も多い起炎菌は大腸菌、複雑性膀胱炎
の起炎菌は
Pseudomonas属である。4.症
状1.2−3日の経過で発症する頻尿、排尿困難、排尿終末時痛、残尿感、血尿が主徴。
2.発熱は一般にないが、急性腎盂腎炎、副睾丸炎、前立腺炎合併すると38℃以上の高熱を生じる。
3.恥骨上の不快感、鈍痛を訴える事が多い。
4.急性期:排尿痛、尿混濁、頻尿が著名。
5.男性は、前立腺肥大、前立腺炎、尿道狭窄、神経因性膀胱等残尿を生じる基礎疾患に合併して起きる。女性は、尿道よりの逆行
性感染で起きる。
<疾患別症状の特徴>
・急性単純性膀胱炎:性的活動期の女性に多い。
・慢性単純性膀胱炎:中年以降の女性に多い。
・慢性単純性膀胱炎:頻尿、下腹部痛等の症状(尿所見は正常なことが多い)。急性膀胱炎を繰り返し後起こったり、骨盤内炎症症候
群の
1症状として出現することが多い。・複雑性単純性膀胱炎:基本的には慢性で、急性憎悪を起こす事もある。
<膀胱炎の検査所見>
5.治療
治療と管理の最終目標:病的状態の消失と再発防止
<一般療法>
水分摂取の増加および安静と保温(細菌の
wash outが目的)<抗菌療法>
・単純性、複雑性膀胱炎:経口ペニシリン系、セフェム系、ニュ−キノロン系、1−3日間投与。
・急性単純性膀胱炎 :ニュ−キノロン系、アミドグリコシド系薬剤の単回療法も効果的。
※複雑性や再発性のもの、糖尿病や器質的に異常のあるものは注意が必要。
・第1選択薬剤が有効な場合:治療終了可。
※第1選択薬剤が有効でない場合:感受性検査に従い、薬剤変更。それでも無効の場合、基礎疾患の検索と治療および是正を行い、
抗菌薬療法を行う。
・カテーテル留置症例は、感染必発であるが、急性憎悪がない限り、抗菌薬療法は行わない。急性憎悪にそなえ、定期的(月
1回程度)に尿細菌培養と感受性検査を施工するのが望ましい。
・膀胱炎に用いられる抗菌薬:
経口ペニシリン系
(アンピシリン、アモキシシリン、スルタミシリン)経口セファム系(セファクロル、セフィキシム、セフジニール、セフォチアムヘキセチル、セフテラムピボキシル)
ニュ−キノロン系(レボフロキサシン、フレロキサシン、シプロフロキサシン等)
6.予
後<単純性膀胱炎の場合>
抗菌剤の服用でほとんど完治。症状が長引く場合は、抗生物質を変更し、尿の細菌培養を行って起因菌を見つける。何度も再発する場合、膀胱の精密検査が必要。同じ細菌尿でも、腰部痛と高熱の場合は、急性腎盂腎炎の可能性が高いため、その検査・治療が必要。
7.予防策
8.看
護アセスメント、看護目標、看護活動などは、すべて腎盂腎炎の看護に準じるが、症状の軽減・消失に際しては下記の点に留意する。
などである。