麻 疹 (はしか)

8G

堀川 陽子

松枝 ひろみ

松永 朋子

松延 香織

松藤 彩

松本 純子

 

目次

  1. G.I.OS.B.O
  2. 麻疹とは
  3. 特徴
  4. 原因
  5. 感染経路
  6. 症状
  7. 合併症
  8. 保育所と学校の管理
  9. 治療
  10. 予防
  11. 看護
  12. 成人麻疹
  13. 麻疹撲滅計画:世界における進展、1998〜99年

 

 

G.I.O

幼年期におけるウィルス性感染症の代表格である麻疹の特徴、疾患について学び、感染に対する予防、小児看護に必要な知識、技術を習得する。また、成人期の発病、それによる影響から、予防の意義を考える。

 

S.B.O

1.麻疹の特徴をあげられる。

2.他の幼年期によくかかるウィルス性感染症との相違点をあげられる。

3.成人における発症の特徴を述べることができる。

4.麻疹ウィルスについて述べることができる。

5.感染の仕組みを説明できる

6.予防について説明できる。

7.症状を説明できる。

8.合併症に対する知識を習得する。

9.看護のポイントを習得する。

10.予防接種について具体的に説明できる。

 

 

麻疹とは

麻疹はウィルスによる感染症で極めて伝染力が強い病気である。一般には「はしか」の別名でよく知られている。古来から知られている疾患だが、重症化すると合併症を起こし、死に至ることもある。世界的にみて、麻疹患者は現在でも数千万人を超えて発生しており、特に発展途上国においては、毎年100万人以上の死者を出す為、非常に恐れられている病気となっている。予防接種の普及により急激に麻疹患者が減少したと言われる我が国においても、年間約50人の子供が命を落としている。

 

特徴

 

 

原因

現在知られている病原体の中で、最も感染力強い麻疹ウイルスの飛沫感染により起きる。

 

麻疹ウイルスは、パラミクソウイルス科のモルビリウイルス属に分類されるRNAウイルスである。野生麻疹ウイルスの変異として、1984年を境にH蛋白の変異が野生ウイルスにみられるが、ワクチン効果を減ずる程度の変異とはなっていない。

補体結合反応(CF)による麻疹ウイルス抗体価の測定は、赤血球凝集抑制試験(HI)や中和試験(NT)に比較すると感度が低く、感染後2週位から1年以内までの抗体の有無のスクリーニングとして利用される。

 

感染経路

主に前駆期または発疹期早期の患者の鼻、咽頭、口からの小飛沫(くしゃみや咳などでウイルスが飛び散ること)や空気中に浮遊する飛沫核により伝播する。非感染者や物による間接伝播はまれである。

伝染力のある期間は発疹出現の2〜4日前から始まり、発症後2〜5日まで持続する。

発疹が消えるまでには、ウイルスは鼻、咽頭分泌物から消失する。

 

 

症状

時期 カタル期発疹期回復期の3期に分けられる。

 

A. カタル期(3〜4日)

10-12日の潜伏期ののち、38〜39 ℃台の発熱、咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血、眼脂を認め、次第にこれらの症状が強くなる。発熱3〜4日目に頬粘膜にコプリック斑が出現する。コプリック斑は出現率90%以上であり、診断の決め手となる。伝染力はこの時期が最も強い。

B. 発疹期(4〜5日)

発症後3-4日目にいったん解熱した後、再度高熱が出現し持続する。同時に境界鮮明な斑状丘疹が出現して全身に広がる。この時期は咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血、眼やになどのカタル症状が強い。

C. 回復期

熱は下降し、カタル症状は漸減する。落屑や銅渇色の色素沈着を残して発疹は出現順序に消退し、発熱から7〜9日で治癒する。

 

主な症状

発 熱

38-39度の高熱が3〜4日間続き、いったんやや下がり気味となるがその後、発疹の出現とともに、再度39-40度の高熱が数日続く。(二峰性発熱)

あまり痰のからまない咳だが、かなり強くでる。そのうち痰 がからんでくることが多い。

目やに

黄色や黄緑色の目やにが数日間続く。(結膜炎)

発 疹

4日目ぐらいから出現することが多く、最初は2-3mm程度の丸い紅色の発疹が顔面や首に出現する。発疹は胸や腕に拡大し、そのうち背中やお腹、足にも広がる。それくらいになると発疹同士が融合し、色も暗褐色と変化し、徐々に色素沈着(しみ)を残し治っていく。色素沈着は、1-2週で消えていく。

コプリック斑

発疹出現1〜3日前から出ることが多い。ほっぺたの裏側に白色の斑点(炎症性のかさに囲まれた白砂の小粒に似る小さな灰白色の斑点)が多数見られる。斑が多数の場合、全体的に紅斑形成を認めることがある。約2日間程度で消える。

 

異常経過

A. 修飾麻疹

母体からの免疫(移行抗体)存在する期間に、または潜伏期間中にガンマグロブリン注射をうけたものが罹患すると、軽症に終わる。

B. 異型麻疹

不活化ワクチン被接種者が後に麻疹ウィルスに感染したとき、または生ワクチン接種を受けたときに見られる。高熱、異常な発疹、肺炎併発など非定型的病像を持った麻疹で、一種のアレルギーと考えられている。稀。

C. 重症麻疹

麻疹の経過中に発疹が急に消退するか褐色に変わり、肺炎と心不全による循環障害が加わり、一般状態が悪化する重症型。古くから「麻疹の内攻」と呼ばれた。最近は稀。

D. 重症出血性麻疹

急激に発症し、高熱、けいれん、昏睡状態へ進む。次いで強度の呼吸困難、皮膚や粘膜から広範に出血する重症型。「むらさきはしか」と呼ばれた。最近は稀。

 

 

合併症

麻疹の合併症の頻度

合併症 頻度(発症数/患者数)

中耳炎 8.5〜15/100

肺炎 3.8〜7.3/100

けいれん 0.5〜1.0/100

麻疹脳炎 1/1,000〜2,000

亜急性硬化性全脳炎 1/100,000(十万)

死亡 1/10,000〜10/100 (開発途上国)

 

[1]細菌の二次感染

細菌重複感染の頻度が高く、気管支肺炎、中耳炎、仮性クループ(急性喉頭炎)、その他の化膿性感染を起こす。

 

[2]麻疹脳炎

年長児や成人に起こりやすく、症状の軽重と無関係である。発疹出現後2日〜3週間で発症し、しばしば高熱、痙攣、昏睡で始まる。

 

[3]亜急性硬化性全脳炎(SSPE)

麻疹罹患平均5〜6年後に発症する。まれな疾患で、麻疹ウイルスの変異株の持続感染で起こる。患児の80%は0〜1才で麻疹に罹患し、当時は一般に軽症である。80%以上は6〜7歳にSSPEが発症する。行動異常、性格変化、知能低下、てんかん発作、昏睡、除脳強直状態となり数年で死亡する。髄液蛋白の増加、髄液IgG上昇と患者の血清・髄液中の麻疹抗体の上昇がみられる。

 

[4]麻疹アネルギー

麻疹ウィルスはT細胞機能を抑制し、ツベルクリン反応を陰性化する。したがってツベルクリン反応自然陽転児の結核を発病したり。静止状態の結核を増悪させる恐れがあるため、慎重な管理が必要である。

 

その他の合併症…下痢、ガンジダ症、口内炎

 

 

保育所と学校の管理

感染可能時期は発熱カタル症状出現時から発疹開始5日間であり、この期間は隔離しなければならない為、登園、登校停止になる。登園、登校は全身症状にもよるが、発疹消失から3日以降(色素沈着ではない)とする。すなわち、登園・登校が約10-14日間禁止となる。

 

 

治療

麻疹ウイルスに対する特異的治療法はなく、自然治癒するのが普通なので対症療法が中心となる。

 

[1]一般療法

有熱期間中は安静臥床させ、解熱後少なくとも3日間は安静にする。適度の室温と湿度を保つようにし、昔のような過度の保温は避ける。口腔内や皮膚の清潔に留意する。有熱期間が長く、食欲不振を伴って体力を消耗しやすいので、十分な水分と栄養を補給できるように注意を払う。重症例や肺炎、脳炎などの合併症のある例では入院治療を行う。

 

[2]薬物療法

a.鎮痛・解熱薬、鎮咳・去痰薬

c.抗菌薬

d.輸液療法

e.ビタミンA療法:

近年、麻疹罹患時にビタミンAの欠乏をきたし、疾病が重症化、遷延化することが知られてきた。ビタミンAの投与により下痢,肺炎などの合併症の頻度が低下することが報告され、WHO は麻疹による死亡率が1%以上の国々では、麻疹と診断した時点ですべての小児に40万 IU のビタミンAを投与すべきであると提唱している。これは発展途上国の児を対象に行われるが、近年わが国でもその使用が検討されている。1回投与量は20万単位(1歳以上)、10万単位(6か月-1歳未満)で、経口投与(1日1回、2日間)を行う。また角膜潰瘍は失明に通じるので必要に応じてビタミンAを与える。

 

 

予防

a.能動免疫: 

弱毒麻疹生ワクチンの接種を行う。潜伏期間中でもワクチン接種により発症を予防できる可能性がある。白血病、免疫抑制薬投与中の症例では禁忌。以前に使われていた不活化ワクチンは免疫不全者に使われることもある。

麻疹生ワクチンの抗体陽転率は97-98%で、副反応は接種1週間後頃からみられ、各社のワクチンで差はあるが発熱38 ℃以上8-15%、発疹は約20%程度でともに通常1-2日で消失する。重篤な合併症としては脳炎が報告されているが、100-150万接種に1例と報告されている。

 

ワクチンについて

麻疹ワクチン

何種類かのワクチンが実用化されている。

弱毒生ワクチン

Edmonston B 株をもとに1958年に開発された。このワクチンはEdmonston という患者から分離された麻疹ウイルスから調製され、細胞培養を何回か繰り返して弱毒化した。有効なワクチンだが、副作用を生じた。

不活化ワクチン

Edmonston 株のワクチンなどを、ホルマリンまたはTween Ether ヘマグルチニンで不活化したもの。副作用を殆ど示さないが、熱帯地方では効果が不十分なことと1ヵ月おきに3回皮下注射をし、さらに追加投与も必要なため、同地では使用されない。

弱毒強化生ワクチン

最もよく利用されるワクチン。Schwarz 株 (Rouvax*)はEdmonston B株を、鶏卵胚のファイブロブラストで繰り返し細胞培養して作ったものである。利点は、熱帯地域で唯一実用に耐える点である。皮内注射を1回すればよく、注射針を必要としない。

副作用は許容範囲内で、注射により時おり生じる副反応も常に軽微である。禁忌は、他のウイルス生ワクチンとの併用である。近年の研究では、4−5ヵ月目で接種しても抗体出現が十分得られることが、AIK-C 株(96%)とEdmonston Zagreb株(94%)で明らかとなった。予防効果は10日ほどで出現し、少なくとも10年間、恐らく一生持続する。問題点は価格が高いことで、麻疹が深刻な国々では、外部からの援助なしに購入することは難しい。

 

意義

麻疹は他のウィルス性のありふれた病気(例えば、水疱瘡、手足口病など)に比べ、かなり重症になる可能性がある。そして、特別な療法もないので、ワクチン接種により予防することが重要である。

 

歴史

わが国の麻疹予防接種は1968年に開始された。当初は国内で開発された弱毒生ワクチンを用いて、不活化ワクチンとの併用接種方式(KL法)が実施された。その後、高度弱毒生ワクチンの開発によって、1970年にKL法を廃し生ワクチン単独方式に切り替えられた。以後、このワクチンの接種が継続して実施されてきたが、麻疹ワクチンの接種は任意接種であったために、その普及度は限られた範囲にとどまっていた。1978年10月に麻疹予防接種は定期接種に組み入れられた。接種年齢は生後12月から72月に達するまでの期間とされ、原則としてかかりつけの診療所あるいは病院で実施する個別接種方式が、定期接種としては初めて採用された。さらに1988年12月、乾燥弱毒生麻疹・おたふくかぜ・風疹混合(MMR)ワクチンの使用が許可され、麻疹の定期予防接種に当たって申し出のあった者についてはMMRを使用できることになった。しかしその後、おたふくかぜワクチンに由来する無菌性髄膜炎の多発によりMMRワクチンは1993年5月その接種が一時中断され現在に至っている。

わが国では麻疹ワクチン導入以来、麻疹患者の発生は次第に減少した。最近流行が目立ったのは1984年で、この年は全国的に麻疹患者が増加した。翌1985年には減少したが、その後毎年ある程度の発生が報告されている。1991年には7年ぶりに患者発生の増加が目立ったが、1992年以降は低いレベルを保っている。

 

麻疹の罹患数

麻疹生ワクチンの普及による自然麻疹の減少

WHOは vaccine preventable disease として痘瘡、polioに次ぐ疾患と考えられている。

 全世界で麻疹は4500万人が罹患し、100万人の小児が死亡している。

 日本では年間35万人罹患していると推定されている。

 Vaccine prevenable diseaseでありながら、日本は麻疹輸出国に滞まっている。

 

わが国の現状

予防接種法の改正 1994年10月

定期接種から勧奨接種へ

予診票:医師のサインのあとに保護者のサイン

12カ月ー90カ月 接種期間の拡大

12カ月ー24カ月 標準的接種期間

カバー率を正確にだす方法がない。 

カバー率:通常前年度の出生数で翌年の無料券の回収数を除す。 時に100%を超える場合がある。この計算式で行うと、札幌市では、1993年 83.9%、1994年 81.1%と、変わりがないが、この値は全国的に70−85%の間にあり、感受性者の蓄積によって、全国各地で毎年流行している。

 

わが国の接種率向上のために

  1. 1歳半健診、3歳児健診で接種の有無を確認し、未接種者には接種を積極的に勧奨する。
  2. 小学校入学前健診時の確認、勧奨。90カ月はあくまでも救済的意味であることを徹底する。
  3. 日本小児科学会、日本小児科医会、日本小児保健学会の予防接種委員会への呼びかけ。
  4. マスコミへのはたらきかけ。

 

 

予防接種の方法

熱帯地方では、麻疹ワクチンは拡大予防接種計画(EPI)の中で適用されている。弱毒生ワクチンが利用され、この際、黄熱、破傷風、BCGワクチンも同時接種が可能である(コレラワクチンとは併用出来ない)。

地域から麻疹を撲滅するためには、感受性のある者の90%に予防接種をしなければならないが、浸淫度が低い地域で罹患率を下げるには、最低60−70%の接種でよい。ワクチンの接種率を上げるためには、予防接種を無料で強制的にしないと、なかなか上昇しない。特に感受性が生じる生後6ヵ月以降の小児には、定期的な予防接種が不可欠である。都市部では予防接種運動は半年おきのペースで進める。農村部では実施上の都合があっても、年に2−3回は施行する。

 

予防接種の結果と問題点

感受性のある集団全体への接種が失敗していること、乳幼児へのワクチン接種がうまくいかないことにより、一時的な発病率の低下にすら至っていない。接種運動を中止すれば、再び麻疹が発生する。予防接種運動が途絶しないようにするには、多額の国家予算を投入することが必要であり、海外からの援助(ODA) がこれを実質的に負担軽減している。

 

b.受動免疫: 

接触後72時間以内にガンマグロブリン製剤の投与により発症を予防できる。乳児、基礎疾患のある患者、入院中の患者、乳児院などの施設に入所中の小児が対象となる。

 

ガンマグロブリン(筋注用)について

ガンマグロブリンというのは人の血清から、いろいろな種類のウイルスに対する抗体を取り出したものである。もちろん麻疹の抗体もたくさん含まれており、これを注射することにより、生きた麻疹のウイルスが入ってきてもそれを退治することで、麻疹が軽くなる。 ガンマグロブリンは感染後4〜6日までに使用すると、発病予防ないし、軽症化に有効であるといわれている。ガンマグロブリンはその使用量で、効果に差がある。早ければ早いほど量も多ければ多いほど効果はよいといわれている。発症を予防したい、できるだけ軽くすませたいと思われるときには注射を受けることがよいと思われる。

 

特徴 筋肉内に注射する。潜伏期間が少々伸びてくる。

注意 ガンマグロブリンを受けると3ヶ月間はワクチンを受けることができない。麻疹が軽症化すると診断がはっきりしないことがある。症状がでなかったときには(麻疹にならなかったとき)3ヶ月間の後、麻疹のワクチンを受ける必要がある。

 

 

看護

ポイント

麻疹の経過中、子どもはかなりの体力を消耗する。特に高熱が続くので発疹期に入ると多くはぐったりとしてしまう。自宅での看護のポイントは安静と水分を十分に補給させる事。その時の好みに合わせて消化吸収の良い食事を与える事も重要。高熱時は布団をかけすぎたり厚着にしないように気をつける。麻疹ではかなりの体力を消費するので解熱後もしばらくは安静が必要である。体力(抵抗力)が回復するのに解熱後1週間程度は要する。高熱時は適宜解熱剤を使用する。肺炎が合併したり経口摂取が出起なくなると状態によっては入院が必要となる。

麻疹患児の看護 (O:観察項目 T:看護項目 E:教育項目)

カタル期より、感染力が非常に強いため、他児に感染する

O−1.発疹の状態

a.コプリック斑の有無 b.発疹の出現時期期 c.発疹の部位

2.一般状態

3.VS・発熱の有無

4.咳嗽・鼻汁・くしゃみの有無

5.結膜炎・眼脂の有無

T−1.VS4検

2.隔離の必要性を患児の年齢に応じて分かりやすく説明し理解させる

3.他への感染防止をはかるため、院内感染マニュアルに基づいた取り扱いを行う

4.隔離を要する患児の看護参照

5.面会謝絶の札をドアに表示する

E−1.面会制限についての説明

2.管理の必要性についての説明

3.手洗いの励行

4.ガウンの着用について

 

結膜炎があるために、羞明がある

O−1.眼充血の状態

2.眼脂の有無

3.羞明感

4.患児の精神状態

T−1.生食綿をベッドサイドに準備し分泌物をよく拭き取り清潔に保つ

2.点眼薬を定期的に施行

3.部屋が明るすぎないよう注意する

E−1.手で眼をこすらないよう指導する

2.ブラインドの使用方法

 

中耳炎・肺炎・脳炎を併発する可能性がある

O−1.中耳炎の症状

a.耳痛・耳閉塞感 b.耳なり・難聴・耳拍動感 c.発熱

2.肺炎の症状

a.発熱 b.感冒症状 c.呼吸状態

3.脳炎の症状

a.発熱 b.頭痛 c.頚部硬直 d.意識状態・精神状態

4.検査データ;WBC・CRP・胸部X−P・髄液

T−1.異常を認めた場合は速やかに主治医へ報告する

2.検査の介助を行う

E−1.合併症の症状について説明

 

食欲不振があり、体力低下や体重減少をおこす

Oー1.食欲・食事摂取量

2.体重の変化

3.活気の有無

4.患児の嗜好

T−1.患児の好む物を与える

2.同年代の患児と一緒に、楽しく食べる環境をつくる

 

 

◆◆◆ 成人麻疹にご注意を ◆◆◆

国内では、1978年に高度弱毒生麻疹ワクチンが定期接種となり、麻疹の発生は大幅に減少したが、依然として数年規模で全国規模または地域的な流行が見られる.平均すると1年間に約35万人が麻疹に罹患していると推定される。以前は小児特有の感染症であったが、特に最近では若年成人の麻疹が増加している.麻疹をめぐるこの様な状況に至るいくつかの理由が考えられる。

 

@ワクチン接種率が低率であるという問題.

現在の接種率は地域差はあるが、全国では約70%(神戸市は85−90%)である。流行阻止のためには95%以上の接種率が必要と言われているが現在それにはとうてい及ばない.

 

A最近流行している野生株とワクチン株の間には多くの抗原決定基の変異が見られる

特にH蛋白(赤血球凝集素)に大きな構造変化をさせる2つの変異があることが報告されている.流行野生株に抗原性が近く、かつより安全なワクチン株への改良が望まれる.

 

Bワクチンにより中途半端に流行が抑止された社会の中で、ブースター(追加免疫)がかからなくなり、ワクチン接種による麻疹免疫が減弱する.

ブースターがかからねば接種後10数年で免疫効果が減弱するため、若年成人の麻疹が生じることになる。3年前、われわれは当時10才から15才の約30名の麻疹のIgGをEIA法で測定したが、内33%はIgG(−)または(±)であった.そのためワクチンの2回接種の必要性が言われている.

 

Cワクチンの定期接種実施時(1978年以降)に未感染の児が、ワクチン接種の機会もなく、また自然暴露の機会も持たずに、成人になってから感染する.

現在30歳前後の成人麻疹の多くはこのケースに相当すると考えられる。

 

上記のABは、現在問題になっている、Secondary Vaccine Failure=SVF(ワクチン既接種者の抗体陽転後の罹患)の一因となる。

 

 

麻疹撲滅計画:世界における進展、1998〜99年

1998〜1999年における麻疹撲滅計画の世界における進展について、1999年8月時点での報告をしたものである。

 

1998年の世界における麻疹の予防接種率は、72%と報告されており、1997年の79%と比較すると低下が認められる。1998年の麻疹の予防接種率を地域的に見てみると、アフリカ地域49%、アメリカ地域86%、東地中海地域78%、ヨーロッパ地域71%、東南アジア地域67%、西太平洋地域93%と報告されている。また、WHOに対して麻疹予防接種率を報告した国数は1998年は164カ国であり、1997年における182カ国より減少している。特にヨーロッパ地域は57%の国が報告しているだけで、他の地域に比べて低い報告率である。

 

1998年の世界における麻疹の報告患者数は596,998であり、1997年の744,466と比べると、16%の低下が認められる。特に、麻疹の報告患者数の低下が著しいのは、アメリカ地域(75%減)、ヨーロッパ地域(59%減)、東南アジア地域(45%減)である。1998年の麻疹の人口10万対罹患率を地域的に見てみると、アフリカ地域55.9、アメリカ地域1.6、東地中海地域11.1、ヨーロッパ地域4.9、東南アジア地域4.2、西太平洋地域5.0と報告されている。

 

また、WHOに対して麻疹患者数を報告した国数は1998年には173カ国であり、1997年の199カ国より減少している。特にヨーロッパ地域は60%の国々が報告しているだけで、他の地域に比べて低い報告率である。

 

最後に、WHOは麻疹撲滅計画にあたって以下の戦略の重要性を強調している。

  1. 麻疹通常予防接種率の向上
  2. 補足的予防接種(catch-up, keep-up, and follow-up)の実施
  3. 麻疹サーベイランスの強化

(WHO、WER、74、No.50、429、1999)

 

 

 

 

参考HP

http://www.nsknet.or.jp/katoh/measles.html :麻疹 加藤小児科医院

http://www.ddc.co.jp/biken/code/ken03/3671/3671.html :江藤微生物研究所

http://www.biken.osaka-u.ac.jp/kenkyu/meneki/sinkeivi.old :神経ウィルス分野

http://www.oyako.net/mypages/disease_measles.html :子供の病気のもくじ しばざき小児科

http://www.harenet.ne.jp/senohpc/gamgl.html :ガンマグロブリンについて 妹尾小児科

http://www.amda.or.jp/contents/database/5-2/e.html :AMDAホームページ

http://village.infoweb.ne.jp/~nobeta/measles.htm :麻疹 川野辺医院

http://www.umin.ac.jp/kango/H/H41 :麻疹患児の看護 UMINのホームページ

http://www.kobe-med.or.jp/member/kansen/topich12.8.14 :成人麻疹にご注意を 神戸市環境保健研究所・寄生体部  秋吉京子

http://idsc.nih.go.jp/iasr/239/fr2391.html :麻疹撲滅計画 IASRのホームページ

http://www.wombat.or.jp/isikai/hosinp.htm :発疹その他写真で見る医学情報

http://www.nara.med.or.jp/kansenmokuji2/masin/ :奈良県感染症情報

http://www.ddc.co.jp/biken/code/ken03/3672/3672.html 3672

http://www.asahi-net.or.jp/%7Edp8t-wtnb/kodomoframe.htm :ゆりかごのある部屋

http://idsc.nih.go.jp/others/contents98/togasi.htmlhttp://idsc.nih.go.jp/others/contents98/togasi.html :プログラム

http://www2.starcat.ne.jp/%7Ekanocl/child/mashin.htm :かのうクリニック

http://www.mynet.ne.jp/%7Esatoshi/kansensho/mashin.htm :感染症発生動向調査対象疾患

http://village.infoweb.ne.jp/~fwkx2334/link41.htm蕁麻疹について:酒井医院

http://www.cdc.gov/mmwr/PDF/other/suppl48.pdf CDC…Measles(一般的な概略等)

http://www.childhealthresearch.org/ Measles ・ ( WHOの情報あり )

http://aepo-xdv-www.epo.cdc.gov/wonder/prevguid/m0053391/m0053391.htm#head001000000000000 http://www.unicef.org/apublic/measles.htm UNICEF

 

参考文献

図説臨床小児科講座13感染症 メジカルビュー社

現代皮膚科学大系6B感染症Tb 1983年 中山書店