細胞生物学T グループワーク 9班>

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「グラム陽性菌と陰性菌の違い/好気性菌と嫌気性菌の違いを

大腸菌を好気的環境と嫌気的環境で培養したときのATP合成酵素の

役割について」

 

(GIO)

グラム陽性菌と陰性菌の違い、好気性菌と嫌気性菌の違い、

大腸菌を好気的環境と嫌気的環境で培養したときのATP合成酵素の

役割について調べ、知識を得る。

 

(SBO)

1.グラム陽性菌について説明できる。

2.グラム陰性菌について説明できる。

3.グラム陽性菌と陰性菌の違いについて説明できる。

4.グラム染色とはどのような染色法なのか説明できる。

5.好気呼吸と嫌気呼吸についてそれぞれ説明できる。

6.好気性細菌について説明できる。

7.嫌気性細菌について説明できる。

8.好気性細菌と嫌気性細菌の違いについて説明できる。

9.大腸菌を好気的環境で培養したときのATP合成酵素の役割について説明できる。

10.大腸菌を嫌気的環境で培養したときのATP合成酵素の役割につい て説明できる。

 

 

 

 

SV

1. グラム染色陽性の真正細菌。

菌体表層に外膜はなく、比較的厚いペプチドグリカン層(ムラミン酸を含む)膜の二重構造となっている。

細菌の形は球状、桿状、糸状と様々で、放線菌は分岐を形成する。

増殖は通常二分裂によるが、一部では耐熱性の休眠内生胞子を形成する。

 

2. グラム染色陰性の真正細菌。

菌体表層構造は外膜(リポ多糖、リン脂質、タンパク質を含む)、薄いペプチドグリカン層(ムラミン酸を含む)、内膜(リン脂質、タンパク質で構成)の三重構造を特徴とする。

外膜が存在することで通常グラム染色陰性となる。

 

3. グラム陽性菌の菌体表層構造は、外膜がなく、二重構造であるのに対して、グラム陰性菌の菌体表層構造は、外膜があり三重構造である。

また、グラム陽性菌のペプチドグリカン層が比較的厚いのに対して、グラム陽性菌のペプチドグリカン層は薄い

4. C.Gram(1884)によって経験的に考案された実用性の高い細菌の分別染色法

多数の変法があるが、原理的には顕微鏡スライドガラス上に熱固定した細菌を塩基性染色剤(例えばクリスタルバイオレット)で染色、ついでルゴール液で処理してから、 極性溶媒(アルコ−ルかアセトン)で短時間洗浄する。

グラム陰性細菌はこの洗浄により脱色されるので、洗浄後色調の異なる染色剤で再染色すると、陽性、陰性の区別が容易になる。

 

. 酸素を必要とする「好気呼吸」と、酸素を必要としない「嫌気呼吸」とに分かれる。ほとんどの生物は好気呼吸を行っており、ミトコンドリアが重要な役割を果たしている(ちなみに、お酒を造る酵母の発酵は、嫌気呼吸です)。

好気呼吸は3つの段階{1.解糖系2.クエン酸回路3.電子伝達系(水素伝達系)}からなる。

炭水化物は消化管の中で糖類(ブドウ糖や果糖、麦芽糖など)に分解されて吸収されるが、我々の体にとり、もっとも重要なエネルギー源、ブドウ糖で説明することにする。

ブドウ糖は、脳細胞や筋肉の細胞で、特に重要なエネルギー源である。この、酸素を使わずにブドウ糖を分解してエネルギーを作り出す働きを「解糖系」という。このシステムでは、2個のATPをつかって4個のATPを作り出す。差し引き、2個のATPが得られる。ブドウ糖は、ピルビン酸(または乳酸)まで分解され、次のシステムへと渡されることになる。

ここからが、ミトコンドリア内での反応になる。解糖系で産生されたピルビン酸は、ミトコンドリアの中に運ばれ、クエン酸回路という機構により、水と二酸化炭素にまで分解される。このクエン酸回路では、水素イオンや電子が産生される。

クエン酸回路で産生された水素イオンや電子は、電子伝達系というシステムに引き渡され、分子状の酸素を使って水を産生し、その際に発生したエネルギーでADPとリン酸から、ATPを合成する。

解糖系から電子伝達系までを総合して考えると、細胞質内の解糖系で2個のATP が産生され、ミトコンドリア内で36個のATPが産生され、合計、38個のATPが産生されることになる。

嫌気呼吸は、酸素を用いないで有機物を分解してATPを生成(呼吸)することのできるものである。好気呼吸が有機物を完全に分解するのに対して、嫌気呼吸は有機物の分解が不完全なので、生じるATPは少ない

ブドウ糖からピルビン酸に分解されるまでの過程は好気呼吸と同じであるが、嫌気呼吸では脱水素された水素を受け取る酸素がないため、ピルビン酸が水素受容体となる。水素を受け取ったピルビン酸は、酵母菌では二酸化炭素とエタノールに、乳酸菌では乳酸に変化する。

主なものとして、アルコール発酵・乳酸発酵・酪酸発酵・腐敗などがある。

 

.生育に分子状酸素の存在を必要とする細菌。

グラム陰性細菌、グラム陽性細菌にわたり広く分布し、多様な有機炭素化合物を栄養源として用いる。

酵素は呼吸の際の最終的な電子伝達受容体として利用される。

代謝系としてTCA回路(クエン酸回路)をもち、炭素化合物の最終産物は 多くの場合二酸化炭素であるが、一部の細菌では部分的な酸化にとどまり酢酸などを蓄積する。(酢酸菌)。

呼吸の際の電子伝達と共役して生じる膜内外の電気化学的プロトン勾配を主とした電気科学的エネルギーを利用してATPが合成される。

電子伝達系とATP合成系の酵素は細胞膜に結合していて、その主要な構成要素は真核生物のミトコンドリアのものと類似している。

ある種の好気性細菌が共生によってミトコンドリアに進化したとの説もある。(共生説)。

 

.分子状酸素が存在すると生存できない生物。

グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、古細菌に広く分布する。

生育のためのエネルギーを多様な有機化合物を基質とした発酵に依存するもの、
水素、エタノール、乳酸などを電子供与体、硫酸または硫黄を電子受容体とした謙気的呼吸によるもの、
および光エネルギーを利用する一部の光合成細菌、
水素、ギ酸、などを電子供与体として二酸化炭素をメタンに還元するメタン細菌がある。

 

 

8. 好気性細菌が、生育に分子状酸素の存在を必要とするのに対して、嫌気性細菌は分子状酸素が存在すると生存できない。

好気性細菌では、電子伝達系がHを細胞からくみ出し、そこにできるプロトン駆動力ATP合成酵素を働かせてATPを生産している。

電子伝達系を欠く嫌気性細菌ではATP合成酵素が逆向きに働き、解糖系が作り出したATPを使ってHをくみ出し、細胞膜を介するプロトン駆動力を作りだす。

 

 

9,10. 膜貫通タンパク複合体であるATP合成酵素は、大腸菌(細菌)では細胞膜に存在している。

 

 

この酵素は、大腸菌においては細胞膜に親水性の通路をつくって、プロトンが自身の電気化学的勾配に従って流れるようにする。プロトンがAPT合成酵素を通り抜けるのと共役して、ADPPiからATPを合成するエネルギー的に起こりにくい反応が始まる。

 

 

 

好気的条件下では、グルコースは解糖系、クエン酸回路を経て代謝され、酸化的リン酸化を行う電子伝達系をNADH由来の高エネルギー電子が通る。この際、水素イオンが細胞膜の細胞質側表面から友細胞質側表面に向かってくみ出され、膜を隔ててプロトン勾配(水素イオン濃度勾配)ができる。ATP合成酵素はプロトンが電気化学的勾配にしたがって流れるのを利用してATPを合成する。

 

一方、嫌気的条件下では、グルコースは解糖系を経て2個のピルビン酸に変換された後、乳酸に還元されるため、電子伝達によるプロトン勾配はできない。この時、ATP合成酵素は解糖系で作られていたATPの一部を加水分解して、プロトンを電気化学的勾配に逆らって細胞外にくみ出し、プロトン勾配を再形成するように働く。

 

ATP合成酵素は好奇的条件下と嫌気的条件下で電気化学的プロトン勾配のエネルギーを化学結合のエネルギ−に変え、またその逆を行うことができる。