感染と症状
症状
1.単純ヘルペス
古来「熱のはな」と呼ばれてきた皮膚病で、主に顔面、特に口の周囲に出る。最初は皮膚に赤く変化して、ムズ痒く(またはヒリヒリ)なり、数時間後にはその部分に小水疱が出現する。水疱は数個がかたまりとなり、次第に大きさを増す。
風邪などの病気や、海水浴やスキーなどの紫外線のストレスが、誘因となりやすい。
再発性であることが特徴で、人によっては毎週のように出る事もあるが、数年間出ないこともある。
このほか、陰部や(性器疱疹)角膜(ヘルペス性角膜炎)に出るタイプもある。性器疱疹は性行為で伝染するため、広義の性病と認識されている。
2.帯状ヘルペス
俗に「ヘルペス」として知られている。
単純ヘルペスとちがい、広い範囲に帯状に発赤と小水疱がでる。必ず体の右または左側だけブロック状に発生し、全身に拡がることは殆どない。
最初の2、3日はピリピリした痛みが先行し、その後水疱が出てくるパターンが多い。症状は個人差が大きく、水疱もパラパラ程度の人もあれば、非常に多くでる人もある。一般的には高齢ほど悪化しやすく、治癒が遅れる。
一般に大きな病気を経験したりすると出やすいといわれるが、ちょっとした疲れでも出る場合が多いようである。
この病気で最も困る症状は、痛みである。これも個人差が極めて大きく、ほとんど痛みのないこともあれば、下着の摩擦だけでもピリピリとした目を剥くような激しい痛みに悩まされることがあり、皮膚症状が治っても、なお数カ月以上にわたって痛みが続く場合もある(ヘルペス後神経痛)。
側腹部の帯状疱疹 運動麻痺を伴った帯状疱疹
初感染
ヘルペスの感染はヒトに固有で、直接的な接触により伝播する。単純ヘルペスウィルスには2つの型があり、HSV−1型は大半が口腔と結膜の病変の原因となり、歯肉炎や口内炎が特徴的である。乳幼児や麻疹の回復期によく見られる。HSV−2型は、性器ヘルペスを起こす。熱発や所属リンパ腺の腫大、時には口唇周囲皮膚のヘルぺスを併発する。
A.新生児期
1.不顕性感染
症状が現れない感染。
2.肝炎・副腎炎を主とする全身感染
3.髄膜脳炎
多くは急性だが、亜急性、潜行性せある場合もある。初症状は全身感染症状(発熱
その他)、 または髄膜刺激症状(頭痛、嘔気、嘔吐、その他)のいずれかまたは両
方で、脳症状(意識混濁、痙攣、精神症状)はその後、またはそれと同時にでている。
4.血小板減少性紫斑病
感染後紫斑で主たる原因は血小板の減少である。回復するまでに数ヶ月を要す。
5.肝脾腫
6.疱疹性ひょう疽
指根、手掌まで拡大した写真
7.新生児ヘルペス
胎内、経産道、分娩後の感染がある。HSVが全身に広がる全身型(無治療の場合
B.小児期
乳幼児初感染の代表的なもの。通常38℃を超える発熱を伴い、歯肉の発赤・膨張、頬粘膜、舌、口蓋、歯肉等に半米粒大ないし小豆大の小水疱が多発する。
水痘は未罹患者が水痘患者と直接あるいは間接的に接触して、気道感染により感染する。
アトピー性皮膚炎の患者感染し、全身に発疹が生じ、リンパ腺が腫れ、高熱が出ることもある重篤な症状が現れる。脳炎を併発する場合もある。
C.成人期
樹枝状角膜炎(ローズベルガル染色)
地図状角膜炎(フルオレスセイン染色、一部樹枝状)
帯状疱疹が治癒後も1ヶ月以上疼痛を残した状態がつづく。痛みには、次の4種があ
る。
性器ヘルペス急性型(男性) 性器ヘルペス急性型(女性)
再感染
ストレスにさらされた者、感染症患者、あるいは細胞性免疫不全の者に出現する。最も多いのは、初感染部の領域に水疱が突発することで、皮膚粘膜部やしばしば口唇―口腔部、性器のヘルペスに見られる。自覚症状に現れるものに、焼灼感、掻痒感、疼痛があり、軽快するまでに数日を要す。これが繰り返し起こることが、患者の苦痛を増長する。
2.きわめて軽度の上記症状
再発性口内炎(アフタ)等。
〈参考〉
http://www.amda.or.jp/contents/database/5-3/a1.html ヘルペスの初感染 http://www.amda.or.jp/contents/database/5-3/a3.html 症候 http://www.aids-chushi.or.jp/c4/nif/113.htm 単純性ヘルペスウイルス感染症の治療 http://www.iwate.med.or.jp/kenkouzoushin/12/herpes.html 県民のための健康増進情報 単純ヘルペス(P) http://www.m-nomura.com/der/herpes.html ヘルペス戸田新細菌学
臨床ウィルス学
講義編 講談社ヘルペスウィルス感染症
森 良一/川名 尚 編 メディカルトリビューン水痘・帯状疱疹
高橋 理明/新村 真人 編 メディカルトリビューン