8班 肝炎ウィルス(学籍番号)97070〜97078

G.I.O. 肝炎ウィルスによる病変について理解し、その対処の仕方を学び、

今後の学習に役立てる。

S.B.O

1.肝炎ウィルスの形態、特性、所在など総論としての説明ができる。

2.A型肝炎について説明ができる。

3.B型肝炎について説明ができる。

4.C型肝炎について説明ができる。

5.D型肝炎について説明ができる。

6.E型肝炎について説明ができる。

 

1.肝炎ウィルスとは

肝炎ウィルスとは、肝細胞を主たる標的細胞として感染するウィルスであり、

これは臨床的な分類である。肝炎ウィルスには、A〜G型ウィルスがある。

以下にその特徴をまとめる。

                      感受性の有無

ウイルス      ゲノム 脂質膜 サイズ  高温加熱 触媒・界面活性剤

--------------------------------------------------------------------

A型肝炎ウイルス  RNA   なし 〜25-30    +    なし

B型肝炎ウイルス  DNA   +  〜40     +    +

C型肝炎ウイルス  RNA   +  〜50     +    +

D型肝炎ウイルス  RNA   +  〜35     +    +

G型肝炎ウイルス  RNA   +  〜50     +    +

------------------------------------------------------------------

2.A型肝炎ウィルスとは

1)ウィルスの性状

ピコルナウィルス科に属し、以前はエンテロウィルス72と呼ばれていたが、最近ヘパト

ウィルスという新しい属に分類された。

ウィルス核酸は一本鎖RNAで、約7.5kb、プラス鎖である。

(pH3.0)に安定であり、エンヴェロープを持たないので胆汁酸成分にも抵抗性であり、加熱

(60℃、60分)にも耐える。しかし、100℃、10分以上の煮沸や次亜塩素酸ナトリウ

ムなどの消毒液で不活性化される。

感染肝細胞の細胞質中で増殖する。肝臓にのみ強い親和性を持ち、肝細胞以外の細胞、

肝臓以外の臓器、組織での増殖は明らかではない。培養細胞での増殖も一般には極めて悪い。

マーモセットやチンパンジーに実験的に感染しうるが、通常は人を唯一の宿主とする。

 

2)病原性と免疫

A型肝炎は、A型肝炎ウィルスに汚染された生水や食品、特に生の魚介類を食べて起こる。

口から侵入したA型肝炎ウィルスは、腸で吸収されて肝臓に入り、肝臓の細胞内で増殖する。

侵入しただけではすぐに発病せず、約4週間の潜伏期間を経て肝細胞内のウィルスがある程

度増殖すると免疫機構が働く。その結果、肝細胞が破壊され、A型肝炎が発症する。

主な症状:発熱、下痢、倦怠感、食欲不信、黄疸

尿:濃い茶褐色、ビリルビンやウロビリノーゲンの増加

血液:GOT,GPT,LDH,ビリルビン値の上昇

【HA抗体】

A型肝炎ウイルス(HAV)に対する抗体で、HAVに感染すると生体中でIgG、

IgMおよびIgAクラスの各HAV抗体が漸次産生され、これらを総称していう。

  A型肝炎およびその既往感染。HA抗体陽性のみではA型肝炎に感染しているとはいえ

ず、次に述べるIgM抗体の測定で感染の有無を判定する。

【HA−IgM抗体】

  HAVに対するIgMグロブリンクラスの抗体で、HAVに感染し発症時より一過性に

2〜3カ月間認められる。

  HAVに現在感染していることを示す。一般にIgM型抗体は発症後2〜10日で陽性

となり、60日以降陰性化する。IgM型抗体が陰性であってもB型およびC型肝炎の

可能性があるので、これらの検索も必要である。

【HA−IgG抗体】

  HAVに対するIgGグロブリンクラスの抗体である。

A型肝炎およびその既往感染。A型肝炎発症2〜4週間後から出現し、2〜5カ月頃

に最高値に達し、その後は低下するが一定レベルの値が持続され、感染防御抗体として

作用する。IgM型抗体が陰性でIgG型抗体陽性は、過去のHAV感染を意味する。

 

3)診断

血中に存在するIgMクラスのHA抗体、または糞便中に出現するIgAクラスの

HA抗体を検出することによって、早期に、かつ一時点での測定によって、A型肝炎

の診断を行うことが可能である。さらに、血中のIgAクラスHA抗体測定用のRIA

キットも販売されており、最近のA型肝炎の血清学的診断は、これらの方法によって行

われるようになっている。ただし、これらの抗体は、肝炎の症状が最も重篤となる時期(血

清GPT値の極期)の少し前から出現するが、約3〜4か月後には血中から消失するこ

とが知られており、その測定時期について注意する必要がある。

 

4)疫学

  全世界に散発性あるいは流行性に発生し、特に環境衛生あるいは個人衛生が不良な地域

や施設内に多発する傾向が認められてきた。幼若年層に好発し、西欧各国では秋から冬に

かけて好発するが、日本では2〜5月に好発する傾向がある。

  全国各地の住民におけるHA抗体の保有状況を年齢階級別に検討した成績によると、

40歳以上の年齢層では大部分が抗体を保有しているのに対して、それ以下の年齢層では

保有率が次第に低下し、20歳末満では極端に低くなっている。これは、日本国内では、

HAVの感染が約20年前から激減し、感染機会がほとんどなくなったためである。

  一方、東南アジア諸国などの開発途上国では、A型肝炎がなお常在伝染病となっており

、すでに幼小児期からHA抗体を高率に保有しているのが認められる。これらの地域への

旅行者あるいは長期駐在者に対する感染予防が重要問題となっており、予防ためのワクチ

ンも開発されている。

5)予防

免疫グロブリン製剤(3〜6ml)の筋注による受動免疫が3〜4ヶ月間有効

3.B型肝炎ウィルスとは

B型肝炎ウィルス(HBV)はヘパドナウィルスに属する約3.2kbの不完全二

重鎖DNAウィルスである。この遺伝子には外被(HBs抗原)蛋白、殻(HBc抗

原)蛋白、DNAポリメラーゼ、X蛋白がコードされている。これらの遺伝子の転写

は4つのプロモーター、2つのエンハンサーおよびグルココルチコイド・レスポンシ

ブ・エレメントにより強調され、少なくとも4種類のRNA転写体が転写される。B

型肝炎ウイルスの複製には、プレゲノムRNAからの逆転写のステップが存在し、ウ

イルス+鎖および−鎖DNAそれぞれの5′末端近傍に存在する11塩基からなる反

復配列が重要な役割を果たしている。また、ウイルス核酸のコア粒子へのパッケージ

ングには、encapsidation signal、コア領域のC末端近傍のプ

ロタミン構造が関与している。

 

B型肝炎 

昔は輸血や母子感染、今は主に性行為で感染

 大人では性行為での感染が多く、急性肝炎をおこすが、慢性化はしない。ただし、

出生時や乳幼児期に感染するとキャリアとなる。キャリアとなっても、症状のないま

ま(無症候性キャリア)一生を終える人が大部分だが、23割は慢性肝炎へすすみ、

さらに肝硬変や肝臓がんになる人も。なお、母子感染は、出生後ワクチンや免疫グロ

ブリンが接種されるようになり、今ではほとんどなくなった。夫婦間の感染もワクチ

ン等で防げる。輸血による感染も、輸血用血液のチェックでほとんどない。

 

B型肝炎ウイルスの検査(HB=Hepatitis B)

HBs抗原:B型肝炎ウイルスの殻に存在します。陽性であれば体内にB型肝炎ウイルス

が存在することを示します。よくスクリーニングや手術前の検査で行なわれます。

HBs抗体:過去にB型肝炎ウイルスの感染があったことを示します。

 

HBe抗原:この抗原は、B型肝炎ウイルスが増殖するときに産生する物質に存在しま

す。

したがって、この抗原が陽性であれば、B型肝炎ウイルスが存在しており、しかも高

い感染力を持っていることを示します。

 

HBe抗体:過去に感染力に強い時期があったが、現在は感染力が落ちたことを示しま

す。

 

B型肝炎 B型肝炎ウイルスの感染による肝炎

  一過性と持続性の感染がある

一過性感染/ 感染は一時的で、肝炎の症状が現れた状態をB型急性肝炎といいます

が,2^3ヶ月で治るのがふつうです。ウイルスが感染しても肝炎にならなないです

む場合もあります。

持続性感染/ B型肝炎ウイルスの感染が数十年に渡って続いている状態で、このよ

うな状態の人をB型肝炎ウイルスキャリア,または単にキャリアといいます。

日本人の2^3%の人がキャリアであるといわれていますが、殆どが2^3歳までの

乳幼児期に感染を受けています。

まったく肝炎の症状がない無症候性キャリアとして数十年経過し、徐々に症状が現れ

てきて、B型肝炎となります。

 

◇B型慢性肝炎

B型肝炎ウイルスの感染が長年に渡って続いている状態を持続性感染といい,このよ

うな人をHBe抗原キャリアといいます。

このような人のほとんどは、免疫力がまだ十分に備わっていない2^3歳までにB型

肝炎ウイルスの感染を受けていますが、最も重要なのは、HBe抗原陽性の母親から

の感染です。(母子感染)

乳幼児頃にB型肝炎ウイルスの感染を受けてキャリアになった人は、長年にわたって

症状の現れない無症候性キャリアとして経過しますが、10^30歳頃になって肝炎

を発症してきます。この肝炎は、慢性肝炎のことが多いのですが,ときに急性肝炎様

のこともあります。

慢性肝炎をおこしても,急激に病状が悪化しない限り黄疸などの症状が現れることは

なく、血液検査でHBs抗原が証明されて初めて肝炎がわかります。

 

しかも、この肝炎の90%は半年から2^3年で病状が落ち着き、治ったのと同じ状

態になります。

肝炎が落ち着くときには、血液検査でHBe抗原が陰性となり,かわってHBe抗体が

陽性になるのでわかります。この現象をHBe抗体へのセロコンバージョンといい、

慢性肝炎がおさまるよい徴候です。

HBe抗体陽性の無症候性キャリアといいますが、キャリアといわれる人の75%は

この状態になっています。

しかし、血液検査でHBe抗原が陽性と出た人の約10%は、慢性肝炎が長い年月続

き,肝硬変へと進む危険があります。キャリアのなかで治療が必要となるのはこのよ

うな人です。

 

予防

免疫グロブリンの使用とワクチンの接種によって,B型肝炎ウイルスの感染をほぼ完

全に予防する事ができます。

妊娠中の検査で、キャリアであることが判明した場合は,出生後、子どもにこの予防

的治療を行ってもらって、母子感染を予防することが大切です。

 

4C型肝炎ウィルスとは

C型肝炎ウイルスhepatitis C virusHCV

1988年アメリカのカイロン(Chiron)社は,非AB型肝炎に感染しているチンパン

ジーの血漿中の核酸をcDNAとして大腸菌に発現させたタンパク質を,非AB型肝炎患

者の血清と反応させウイルスの遺伝子を同定した.約9,500の塩基配列のすべてがそ

の後明らかになり,一本鎖RNA遺伝子であることが解明された.まだウイルス粒子そ

のものは発見されていない.その遺伝子配列には高頻度に変異が起こることが知ら

れ,変異の多い領域の塩基配列をもとに46型の亜型に分類されている.これがC

肝炎の臨床的多様性を説明する根拠になっている.わが国ではII型の頻度が高く,II

型は血中ウイルス量も多い.インターフェロン療法はIII, IV型に有効率が高い.ま

だ予防法はない.

 

C型肝炎

C型肝炎ウイルス(HCV)感染が,その発症と持続の原因と考えられる肝炎をC型肝炎

と呼ぶ.患者の血中にはHCV抗体HCV antibodyが検出される.かつて非AB型肝炎とされた肝炎のほとんどがこのC型肝炎である.1988年,アメリカのカイロン

Chiron)社が開発したHCV抗体の検出系,さらに第二世代の測定系の出現によって

診断が可能になった.A型肝炎やB型肝炎と異なり急性肝炎から経過が遷延して慢性肝

炎,肝硬変へと進展する例がかなり多い.主たる感染経路は輸血であったが,献血時

の抗体スクリーニングが徹底して輸血後肝炎としてのC型肝炎は激減した.しかし慢

性肝炎や肝硬変にまで至っているC型患者の半数には輸血歴がないことから,母児感

fetomaternal infection, maternal infection, vertical infection,性行為(性感染症),予防注射などB型肝炎と同様の感染経路が想定されている.B型に比べ進展が緩徐であり経過が長いため肝癌の合併する例が目立つ.慢性肝炎の段階でのインターフェロン療法による病勢の鎮静化に期待がかけられている.

ウィルスの構造

 HCVゲノムは、既に述べたように9500ヌクレオチドの長さの、一本鎖RNA

で、プラス鎖であり、3’末端にpolyAを持たない。全塩基配列が決定され、その比

較を通じて、HCVは数種の遺伝子型に分けられ、日本人型のHCVの存在が示されてい

る。

HCVゲノムには、5’末端側から、C(core),E(envelope),NS(non structural

protein)1(E2,NS2,NS3,NS4,NS5の各領域が、この順序で存在する。C領域はコア

タンパクを、E領域とNS1(E2)領域はエンベロ−プ糖タンパクを、NS3領域はプロテ

アーゼとヘリカーゼを、NS5領域はRNAポリメラーゼ(レプリカーゼ)をコードしてい

る。 

これらの遺伝子領域から逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、それをベクターに組み込

んで、酵母に発現させ、リコンビナント抗原を作り、それを利用してHCV抗体の検出

・測定が行われている。

AB型肝炎ウイルス  nonA nonB hepatitisvirus

輸血に際し,B型肝炎ウイルス保持者を完全に除いても,なお輸血後肝炎がなくなら

ず,またA型,B型いずれの肝炎ウイルスもそのような患者に見いだせないのでこの概

念ができ上がった.1989Chiron社がこの原因ウイルスのクローニングに成功し,C

型肝炎ウイルスと命名されている.なお以前の記載には経口感染をするE型肝炎ウイ

ルスも非AB肝炎ウイルスに入れられている場合がある.

 

インターフェロン  interferonIFN

長野とIsaacsにより,ウイルス感染細胞が産生しウイルス感染細胞を抵抗性にする物

質として独自に発見された.インターフェロン(IFN)は程度の差はあるが種々のウ

イルスに対して抗ウイルス作用を示すが,それが産生されたのと同種の細胞にのみ有

効である.この宿主特異性はIFNレセプターINF receptorにより規定されている.

IFN‐α(白血球型)とIFN‐β(線維芽細胞型)はIIFNと呼ばれ,ウイルス感染や

二本鎖RNAなどのIFN誘導剤によって白血球と線維芽細胞によってそれぞれ産生され

る.IFN‐γ(リンパ球型あるいはII型)は免疫された動物の活性化リンパ球によっ

てマイトジェン*mitogen刺激によって産生される.IFNは分子量17,000のタンパク質

で,β型とγ型は糖鎖を有するが糖鎖は生物活性に必須ではない.α型とβ型はpH 2

の酸性条件でも安定であるがγ型は不安定である.IFNは宿主細胞の遺伝子によって

決定されているがそれ自体抗ウイルス作用を有するのではなく,いくつかのタンパク

質合成を誘導することによって,抗ウイルス作用のほかに細胞増殖抑制,免疫調節,

細胞高分子合成調節などの制御作用を発揮するcytokineの一つと考えられている.

IFN製剤としては,天然型のIFN‐α,IFN‐β,遺伝子組換え型のIFN‐α‐2a

IFN‐α‐2bがある.B型慢性活動性肝炎,C型急性および慢性活動性肝炎,種々の悪

性腫瘍の治療薬として臨床的に使用されている.

 

D型肝炎ウィルスとは

疫学

 HDVは直径35nm程度で、外被にHBsAg、内部にデルタ抗原を含有する粒子。後者は一本鎖RNAで、線形または円形をとる。

HDVは、HBVと同時感染、または慢性B型肝炎患者に重複感染することが特徴。即ち、HDVはHBs抗原の存在なしに、単独でヒト細胞に侵入することは出来ない。

 HDVは世界中に分布すると考えられるが、特にHBVが浸淫しているロシア、ルーマニア、イタリア南部と、アフリカ、南米からの症例報告が多い。

欧米では、重症のB型肝炎の25-50%はHDVの感染も認められると云う。

 伝染形式はHBVと同様、汚染血液、性行為、汚染した注射筒や針を介しての感染が殆どと考えられている。

HDVの感染力は発病前の潜伏期が最大で、発病と共に血中ウイルス量は減少していく。予防

 HDVにはワクチンが開発されていない。従って、血清学的な直接の予防法はない。

けれども、HBVの存在なしにHDVは感染しないことを考慮すれば、B型肝炎の予防が間接的な最良の予防法である。

HBVキャリアには、免疫グロブリンを含めて、如何なる予防法も確立されていないので、充分な注意が必要。

診断

 現在のところHDVの感染を簡便に証明する市販キットがないため、熱帯地方で確定診断を下すことは、研究目的でない限り不可能。

デルタ抗原の証明は、先進諸国でも特殊研究機関でのみ行われている。

治療

 インターフェロンがHDVに対してどの程度有効かは、未だ議論の一致をみていない。

けれどもHBVが感染している以上、B型肝炎の治療に準じた医療を施すべきであることは確かである。

 

6.E型肝炎ウィルスとは

 以前は便口(経口)伝搬型の非AB型肝炎enterically trannsmitted non-A,

non-Bと呼ばれていたものの中から、新たに発見されたウイルスで、「経感染

enterically transmitted」の頭文字:e:の意味も含めてE型肝炎と名付けられた。E

型肝炎は,RNA型のウイルスで、A型肝炎ウイルスと同じように経口感染する。水から

感染する病気で,流行することもあるし,散発的に発生する場合もある.このウイル

スは,アフガニスタン,バングラデシュ,中国西部,エリトリア,エチオピア,イン

ド,インドネシア,イラン,ケニア,メキシコ,ミャンマー,ネパール,パキスタ

ン,ソマリア,スーダン,旧ソ連のアジア地域の共和国などで流行した肝炎から分離

された.このウイルスはたぶんアジア,北アフリカ,サハラ以南のアフリカ,地中海

東部地域に広く分布しているだろう.主に青年層がこの病気に罹り,臨床的にはA

肝炎に良く似ており,慢性病にはならない.しかし,この病気にかかった第2期から

3期の妊婦のうち,15-20%は劇症肝炎fulminent hepatitisで死亡する可能性があ

る.E型肝炎に対してはワクチンはなく,ヨーロッパやアメリカ合衆国で作られた免

疫グロブリンには予防効果がない.経口感染する他の多くの感染症に関しては,病原

体が混入した飲食物を避けるのが,唯一の効果的な予防法である.

 

<劇症肝炎>

肝臓は非常に再生力の高い臓器です。したがって急性肝炎にかかっても多くの場合、

自然に症状が消え、肝機能も改善します。ところが細胞の破壊があまりも激しいため

に再生が追いつかず、肝機能がうまく働かなくなることがあります。これが劇症肝炎

です。

 

7.その他の肝炎ウィルス

1)F型肝炎ウイルス(HFV)

フランス人の散発性急性肝炎患者の便から分離された直径27〜37nmの

ウイルスである。ゲノムは約20kbpの二本鎖DNAとされるが、分類上の位置は

不明である。経口的に感染するが、慢性化しないと考えられている。

アカゲザルに感染し、継代が可能である。

2)G型肝炎ウイルス(HGV)

輸血後慢性肝炎患者の血漿から、米国のGeneabs社の研究者が遺伝子操作

技術により、新しい肝炎ウイルスのRNAが検出された。一本鎖(−)RNAをもつウイルス

で、フラビウイルス科に属すると考えられている。輸血により伝播する。

3)GBウイルス(GBV

同様にAbbott社の研究者により、見出された一本鎖(−)RNAをもつ

ウイルスで、フラビウイルス科に属するとされる。タマリンで継代することができる。

1967年に急性肝炎を発症した34歳の外科医の血清から分類されたので、

患者のイニシャルをとってGBウイルスと呼ばれている。

HGVに近縁であろうと考えられている。