<ヘモフィルスインフルエンザ菌の病原性・症状>

生後2ヶ月から3歳までは、抗体が少ないためによく本菌に感染するが、抗体価が高くなるにつれて罹患率が減少し、大人では希になる。きょう膜形成が病原性に関係しており、エクソトキシンは見つかっておらず、エンドトキシンは病原性に関与していないと考えられている。病原性が有る分離菌の大部分はきょう膜を持った血清型b型で生物型T型の菌株である。

人の鼻咽頭に常在しているので、感染経路は気道であり、まず鼻咽頭炎で始まり、そこにウィルス感染が重なって悪化することも有る。

この鼻かぜから副鼻腔炎中耳炎肺炎となる。重症の場合には急性細菌性髄膜炎となるが、特に子どもの髄膜炎では、髄膜炎菌性の髄膜炎の流行時を除いて、本菌(b型、T型)による場合が最も良く見られる。

其れほど頻度は高くないが、b型によって起こる緊急を要する疾患は急性喉頭蓋炎である。咽頭部の感染に始まり、喉頭蓋に広がり短時間のうちに喉頭部の閉塞が起こって窒息死するので、診断がついたら早急に気管切開をしなければならない。ヒトの気道・副鼻腔・中耳・結膜などの慢性感染症から分離されるのは、きょう膜を持たない生物型UまたはV型の菌株が多い。

重症の場合は通常初期から菌血症となるので、血液から菌体が分離可能である。

(以上、戸田新細菌学より)

 

本菌がインフルエンザウィルス感染に相乗的に働いて病像を悪化させていることより、インフルエンザの病像についても調べてみた。

<かぜ症候群の病型の分類>

・普通感冒

・インフルエンザ

・咽頭炎

・肺炎

この中から普通感冒とインフルエンザの違いについて以下に示す。

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<普通感冒>

これは私たちがふだん「かぜ」と呼んでいるものである。

鼻炎症状が強いので、鼻が出たり喉が痛かったりするが、一般的に軽い症状である。経過・予後ともに良好で1週間ほどで治る。全身症状はほとんどない。

 

症状

・くしゃみ、鼻水がおおく、せきやのどの痛みがある。

・発熱はないか、あっても37度代。

・全身がだるかったり、頭が痛いこともあるが、一般に軽度。

 

 

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<インフルエンザ>

ふつうのかぜが喉の痛みではじまることが多いのに対して、インフルエンザは寒気や倦怠感、あるいは全身の痛み(頭痛も含む)ではじまる。

かぜに比べて熱も高く、しかもそれが継続する。

インフルエンザは何種類かあるインフルエンザウイルスによって引き起こされる。このインフルエンザウイルスは咳やくしゃみなどの飛沫にによって散布され、それを吸入することによって伝染する。しかもかなり強い伝染力をもっているので、学校などでは学級閉鎖などの措置をとって流行をくい止めようとする。

 

また流行する時期も大体決まっていて、1月から3月が多く、夏に流行することもある。

症状

・寒気、倦怠感 頭痛 全身の筋肉、関節痛で始まる。

・熱は39度から40度になることもある。

・全身症状は普通感冒に比べ重く、食欲減退、吐き気、下痢などがでてくることもある。

(・ウイルスによる流行のため、世界的な大流行がかつて何度かあった。

1918-19年のスペインかぜの流行はなんと!約2万人の死亡者を出したといわれている。また、1957年のアジアかぜ、1968-69年の香港かぜも世界的に大流行した。)

 

 

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普通感冒とインフルエンザ一覧表

項目

普通感冒

インフルエンザ

発症

徐々に

急性

初期症状

くしゃみ・鼻水咽頭乾燥感

寒気・頭痛

主症状

鼻水・鼻づまり

発熱・全身通

寒気

ある

ない

発熱

37.5

39−40

全身筋肉痛

ない

ある

食欲不振

ない

ある

鼻炎

ある

ない(少し)

咽頭充血

ない

ある

結膜充血

ない

ある

合併症

ない

肺炎

病原ウイルス

ライノ・コロナ コクッサキー

インフルエンザ

 98063 平野 悌志

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