1.薬剤感受性試験
耐性度が低い
vanBあるいはvanC遺伝子保有株の検出に際しては、ディスク法では偽陰性を呈する場合が多く、最小発育阻止濃度(MIC)の測定が望まれる。表2に米国CDCや仏国パスツール研究所から分与を受けたVREのバンコマイシンへの感受性 測定結果を示した。VanB遺伝子保有株では誘導型の耐性であるため、18時間判定と24時間判定で1管差、18時間判定と48時間判定では4管も耐性側にシフトする現象が認められた。これらの株の中には、18時間判定のMICが4μg/mlのものがあり、感受性と誤判定される可能性がある。したがって、通常の判定時間で低感受性が疑われる場合(MICが4μg/ml以上)は、さらに培養を続け48時間判定を行うことが、VREを検出するひとつのこつと考えられる。
2.
PCR法によるバンコマイシン耐性遺伝子の検出表
3にVREからのPCR法によるバンコマイシン耐性遺伝子の検出法の代表的なものとして、CDCのClarkらの方法とパスツールのDutka-Malenらの方法の比較を示した。Clarkらの方法は反応液を入れたPCRチューブに直接コロニーを接種し、サーマルサイクラー内で加熱溶菌・DNA抽出とPCRを連続して行う方法で、極めて簡便でありスクリーニングに適した方法であると考えられる。一方、
Dutka-Malenらの方法はvanA、vanB、vanC1、vanC2、3の各耐性遺伝子検出用のプライマー4組に、さらにE.faecalis、E.faeciumに菌種特異的な遺伝子検出のためのプライマーを加えた、計6組のプライマーによるmultiplex-PCRである。したがって1本のPCRチューブによる各遺伝子の増幅結果に基づき、菌種の同定と耐性遺伝子の有無の判定が同時に可能となる。これら
2つの方法の長所を組み合わせ、サーマルサイクラー内で加熱溶菌・DNA抽出とmultiplex-PCRを連続して行った結果を図1に示す。なお、
vanC2とvanC3遺伝子の相同性は98.3%と極めて高く、vanC遺伝子のPCR法では両者を鑑別できない。図2に、用いたプライマーの塩基配列等を示した。
Dutka-Malen
らが報告したものを基本に、vanB遺伝子増幅用のプライマーのみをClarkらが報告したものと入れ替えている。
3.選択培地を用いた
VREのスクリーニング臨床検体から
VREを効率よくスクリーニングする目的で、各種選択培地を用いた検討が行われている。CDCを中心とした米国の多施設での検討の結果、6μg/mlのバンコマイシンを含有するbrain heart infusion寒天培地がVREのスクリーニングの標準法として推奨されている。この培地を用いたVREのスクリーニングにおける感度は100%、特異度は96〜99%と報告されている。
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参考文献)日
本 ビ オ メ リ ュ ー 株 式 会 社 http://www.bvj.co.jp/news/no09/index03.html