VCMの作用機序と耐性獲得

VCMは芳香族アミノ酸を含むアミノ酸7個のペプチド側鎖にアミノ糖が付加されたグリコペプチド骨格を有するグリコペプチ ド系抗生物質である。グリコペプチド系抗生物質は、ペニシリンをはじめとするβラクタム系抗生物質と同じく細菌細胞壁の合成阻害作用を持つが、その作用機序は全く異なる方法を採る。VCMはペプチドグリカンの構成成分のN-アセチルムラミン酸につくペンタペプチド末端のジアラニンに対して、水素結合5つで結合する。このために細胞壁合成系はストップしてしまい、細菌細胞は死滅することになる。

これに対して耐性菌では、VCMが結合する部位のジアラニンを別のジペプチド(D-Ala-D-X)にかえることでVCMとの結合性を低下させる。従って、耐性遺伝子にはこれに関する酵素の遺伝子が存在することになる。

耐性遺伝子のタイプを分類すると、最も高頻度で分離され、高度耐性を示すVanAVCMには耐性を示すが同じグリコペプチド系抗生物質テイコプラニン(teicoplanin, TEIC)には感受性のあるVanB、種固有の自然耐性で軽度耐性を示すVanCに分類される。これらの検査方法は、KBディスク法とPCR法がある。KBディスク法はVRE培養培地にVCMTEICを置き、ディスクによる阻止円形成の程度で判定する。PCR法ではそれぞれの固有のプライマーセットを用いて、PCR産物をアガロースゲルに電気泳動させて、バンドの有無で判定する。

 




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