6.その他の真菌(C. aibicans aspergillosis)
どちらも、不完全菌類に分類される。
Candida属については6種類あるうちの特にC. aibicans について述べる。
Candida症の主な原因菌で、人の口腔、腸管、膣、皮膚などに常在し、日和見感染症や菌交代症の重要な原因菌のひとつである。
〈 形態 〉
栄養その他の環境条件により酵母型または菌糸型の二形性を示すが、ある条件下にお
いては厚膜胞子を形成する。酵母型は3〜5μmの卵円形ないし球形で、出芽により
増殖する。菌糸型は仮性菌糸と真性菌糸がある。
〈 病原性 〉
ヒトの常在微生物で内因感染を起こす。一般に病原性は弱いが日和見感染の原因とし
て、また薬剤感受性が低いために菌交代症の原因として重要視されている。
ヒトに病原性を示す真菌の中では最も多く見られるもののひとつで、本菌による疾患
はカンジダ症と呼ばれ表在性および深在性感染症にわけられる。
カンジダ症の起こる基礎疾患として糖尿病、ビタミン失調、ホルモン異常、結核、腫
瘍性疾患などがあげられるが、特に近年問題になっているAIDSでは治療不能な
Candida
症が見られるという。〈 真菌学的診断 〉
検査材料から塗抹染色、培養検査によりCandidaを検出するが、常在微生物であるこ
とに注意する。グラム染色性は陽性。サブローブドウ糖寒天培地、コールミール寒天
培地などにおける菌糸、厚膜胞子形成などの培養性状、血清培地での発芽管形成、生
化学的性状などにより他の酵母様真菌と鑑別する。同定上最も重要な性質は厚膜胞子
と発芽管の形成である。
Aspergillosis
症の原因菌でヒトのびょうげんきんとしては、A.fumigatus が最も重要である。自然界に存在するありふれた真菌の一つで、日和見感染症、菌交代症を起こすことにより注目されている。〈 形態 〉
集落ははじめ白色ビロード状で、分生子が着生すると種固有の色調を示す。
向かって伸び、頂点は丸く膨大して頂嚢になる。その表面には
〈 病原性 〉
ヒトに病原性を示すのはおもにA.fumigatusでA.nigarがこれにつぐ。Aspergillosis
症のなかでは肺aspergillosis症が重要で、肺結核の空洞内に増殖し、直径1〜5cm
の菌塊を形成する。Aspergillosis肺炎は肺実質内に菌糸が増殖したもので白血病など
の末期に見られる。肺の浸潤は一過性である。そのほか外耳道、角膜、鼻腔、副鼻腔
などが侵される。
〈 真菌学的診断 〉
組織内では有隔でねじれた分枝の多い菌糸型を示す。染色はグラム染色、PAS染色が
用いられる。分離培養には抗生物質加サブローブドウ糖寒天培地を用いる。