腸管病原性大腸菌:細菌の付着と削除の機構の研究モデル
病原性大腸菌の種は発展途上国で厳しくてしつこい幼児性の下痢を引き起こしつづけている。しかしながら、EPECは主要な下痢を引き起こす病原菌として認識されている。毒素原生大腸菌や細胞侵入性大腸菌のようなほかの病原性大腸菌の発病機構に対するわれわれの理解についていけなくなったのだけれども。
EPECは腸内細胞にA/E損傷を引き起こすことで、病原性がある菌の種類である。A/E病原菌は典型的に主上皮細胞の表面を土台に住みつき、最終的には微絨毛のひどい混乱を引き起こす。
似たようなヒスト病原菌の特徴を示すほかの病原菌にはHafnia alvei、Citrobacter rondentium(正確にはC.freundii biotype 4280)と、腸管出血性大腸菌,溶血性尿毒症症候群を引き起こすもとも含まれる。
EPECが引き起こすA/E損傷形成の細菌要因
EPECと主細胞の相互作用は三つのステージに分けられる。最初に培養された上皮細胞に付着することで,線毛の束を形成するBFPとして知られているタイプW線毛によって成立する。しかし特徴的なA/E損傷は絶対必要なのではなく、初期付着は細菌が宿主細胞と密接な関係を持つのを助けている。BFPは腸の器官の培養モデルで細菌‐細菌の相互作用を成立させる。
EPECによるA/E損傷の形成に必要なすべての遺伝子はthe locus of enterocyte effacementと名づけられた35kbpの病原性の島の中に含まれている。これらはesps(大腸菌分泌タンパク)、escs(大腸菌分泌)、sep(大腸菌タンパクの分泌)、eae(インチミンをコードする大腸菌付着,削除),tir(インチミンレセプターの移動)遺伝子を含んでいる。
EPEC病原菌の第2ステージは細菌タンパクの分泌である。宿主細胞の中に分泌されるものもあり,EspA,EspB,EspDが含まれる。これらのタンパクは宿主細胞の温度を最高にする働きがある。そして,胃腸の管のなかで見られるのとよく似た状態を作る。このことは暗に毒性が含まれているかもしれないことを意味する。これらのタンパクの移動は多くの形質導入の過程を動かすために必要である。しかし,それらの正確な病原性としての役割ははっきりとはわかっていない。EspAは細菌の外側に線維性付着物を作り,他の毒性タンパクを運ぶ移動機構の一部であるかもしれない。EspBは宿主細胞質と細胞膜に移動し,そこでそれは宿主細胞のシグナル伝達経路を変化させる効果があるだろう。これらすべての効果タンパクはescとsep遺伝子によってコードされるタイプV分泌系によって分泌される。タイプV分泌系はまたYershniaのような他のグラム陰性病原性細菌においても重要な役割を演じており,毒性因子を菌の細胞質から,宿主細胞の膜や細胞質へと直接移動させることも可能である。
EPEC感染の3番目のステージは宿主細胞との親密な付着によって特徴付けられる。インチミンはeae遺伝子によってコードされる細胞膜外タンパクであるが,宿主細胞の中にあるphosphorylated タンパクである90kDaチロシンに巻きつく。このレセプターは元来宿主細胞由来のものであると考えられていたが,最近細菌に由来していることが発見され,Tirと名づけられている。(translocated intimin receptor)名前が示すとおりTirは最近の細胞壁から宿主細胞の膜へと移動する、そこで、phosphorylated on one or more tyrosineとなるかインチミンという結びつく相手のレセプターとしての機能がある。結果としてできた硬い結合は10Åの長さにまで達するアクチンの土台の形成を伴う。浄化されたインチミンはまたインテグリンと結びつき、このことから上皮細胞のひとつのレセプターよりも強く結びつくことがこれから推測される。しかし,インテグリンは腸の細胞の表面頂上にあるのではない。それらは細かく折り重なった細胞の表面頂上に位置し,腸の内腔に沿って,Peyer’s 斑点として見られる。
サルモネラの侵入に含まれるバクテリアの要素
サルモネラの非食上皮細胞への侵入は病原島 (SPI1:Salmonella pathogenicity island 1)に集まる遺伝染色体を必要としている。EPECの様にSPI1はタイプ3分泌システムや分泌物の毒性要素をコードする。タイプ3分泌システムは宿主細胞のバクテリアの取りこみに影響する部位に接触し、宿主細胞に直接毒素を注入する役目をしている。近年、SPI1でコードされるバクテリアタンパクSptPはチロシンフォスファターゼの作用でアクチンを調節する宿主細胞の骨格宿主上皮細胞に配置されることが知られてきた。触媒領域にあるSptPシスの残存の分裂はフォスファターゼの作用を失わせる結果となる。そこで、SptPは宿主のアクチン繊維の分裂に作用し膜輸送やそれに伴って起こるバクテリアの取りこみを促進すると仮説された。
Salmonellaについて
他のバクテリアの因子はその分泌機構に次いで、コード化されていないが、しかし暗号化されたゲノム上に置いてはバクテリオファージはサルモネラの染色体内に見られる。最近、毒性の因子、SopEがこのゲノム内にコード化され、SopEは効果的なバクテリアの宿主細胞への侵入のために必要であるということが証明された。SopEはタイプ3の分泌機構を要する。それは、宿主細胞へ入り込むためであり、宿主細胞において、SopEは直接アクチン細胞骨格の配列変換を起こさせる。それは小さなGTPaseのRho亜科のひとつであるグアニジン交換因子として作用する。SopE突然変異は野生型のそれよりも上皮細胞への侵入におけるアクチン細胞骨格の配列変換を、幅広く、することができない。この発見は病原体(もっとも重要な宿主蛋白との順序相応関係は含まない)がどのように細胞内で宿主細胞の蛋白に酷似したものを使って宿主自身の信号機構を破壊するのかを明らかにする。
宿主の因子はサルモネラの侵入に深く関わっている
サルモネラの侵入中に、宿主の大きな細胞骨格構成改変はたくさんの宿主の因子を必要とする。Rho亜科のひとつ、Cdc42は膜をなみだたせることによってバクテリアの吸収を伝える必要がある。SopEのグアニジン交換活性は宿主におけるCdc42の刺激を起こす。病原体は、またバクテリアの接触において宿主PCPを活性化し、さらに信号を送る2次メッセンジャーの産生を引き起こす。結果として宿主細胞のCa2+濃度が変化する。これはサルモネラの侵入において細胞骨格の配列変換のきっかけとなる。EPECとサルモネラはいくつかの同じ信号構造(PLC,Ca2+、Fluxes)を使うけれども、それぞれの病原菌による細胞骨格変換はそれぞれの病原体の宿主細胞が全く異なることを誘発する。このことは信号の通路において、流れに逆らうあるいは、流れに従うエフェクター(効果器)という違う結果がありうる。侵入に深くかかわるいくつかの細胞骨格構造は同一であると認められている。これらはα―actinin、トロポミオシン、ezrin、そしてtalinを含む。サルモネラの侵入におけるこれらの蛋白の特別な役割は明らかではない。
細胞内の運動型の赤痢属flexneri.(B亜群)モデル
ヒトに桿菌性の下痢を引き起こすグラム陰性桿菌であるS. flexneriは、サルモネラの摂取と同様の方法で波状の膜を通過し結腸の粘膜で食作用により取りこまれる。取りこまれた後、病原菌は宿主の膜小胞により囲まれる。しかしながらサルモネラと違い、赤痢は急速に小胞を溶かし細胞質ソルに放出され、そこで成長し分裂する。ひとたび病原菌が小胞から放出されるとそれは急速にアクチンフィラメントを覆い、最後には細菌の極にアクチンの列を形成する。このアクチンの重合は0.4m/secに達する速度で細胞質を通ってバクテリアを移動させる。病原菌が細胞の原形質の膜に達すると、それは隣接した細胞に長い突起部を形成し、それはその後病原菌を内在化する。細菌は再び小胞から脱しそれにより新しい宿主細胞新しく伝染して行く。この過程により赤痢菌は細胞外の環境に接することなく細胞から細胞へ移動することができる。
赤痢菌の運動型に含まれる細菌の要素
細胞内の運動型の欠けた突然変異種や細胞から細胞への広がりを解析し、赤痢菌の移動に必要なicsAという細菌の遺伝子を識別した。IcsA(VirGとも呼ばれる)はATPを加水分解する120-kDa外膜タンパク質でであり、そして病原菌とアクチンの列の間の接合部で細菌の極に局在する。赤痢菌の表面上のIcsAの発現はアクチンを基礎とした運動性を導くのに十分である。事実IcsA を発現しているE.coliは細胞膜の抽出物にアクチンの列を合成することができる。感染の間、IcsAは120-kDaの十分な長さのタンパク質の90-kDaアミノ末端の断片として見つけることもできる。このIcsAのタンパク性の分裂は細菌のプロテアーゼであるSopA(IcsP)のためである。分裂は細菌の表面上にIcsAの分極化した配分し、感染した細胞に赤痢のアクチンを基にした運動型を正しくする。
赤痢菌の運動型に含まれる宿主の要因
赤痢菌の表面上のIcsAの発現は細菌の回りに急速にアクチンを蓄積させる。細菌の分裂やIcsAの分断に従い、アクチンの列が細菌の端に形成し始める。各宿主の細胞骨格のタンパク質、α-アクチン・フィラミン・フィブリン・ VASP・ビンクリン・N-WASPを含む、が列形成に巻き込まれる。これらのタンパク質の中で、ビンクリンとN-WASPだけがIcsAを結びつけることができる。赤痢の感染は90-kDaの断片を作り出すために完全なビンクリン(120-kDa)を分裂した結果生じる。この明らかにされたアクチンを基にした運動型はビンクリン上に位置し、これはVASPを結びつけることができるポリプロリン部分を含む。その結果、細菌の表面へのVASPの補充がアクチンやプロフィリンのような他の細胞骨格のタンパク質の補充を可能にし、アクチンを基にした赤痢菌の運動型の基礎を形成する。最近、N-WASPが赤痢菌の運動型として示された。ビンクリンのように、それは直接IcsAを結びつけることができる。VASPに加え N-WASPが赤痢菌上にプロフィリンやアクチンを集め、それによりアクチン重合を成立させることができる。その上、N-WASPはアクチン未重合因子/コンフィリンの相同部分を含む。それはポイントした端でアクチンフィラメントを切断し単量体のアクチン集合物を増やすために使われていた。しかしながら赤痢菌を動かすアクチン重合を伴うその正確な機構ははっきりとしない。
結論
細菌の病原体は宿主細胞のシグナル機構をのっとり、細胞骨格を崩壊させるためのいくつかのメカニズムを発展させてきた。EPEC(大腸菌)は、宿主細胞への影響を細胞表面から伝える。それは、自分自身のレセプター(Tir)を宿主の中へ隠し、それから外側の膜タンパク(インチミン)によって、宿主と結合する。Tirとインチミンの結合で、劇的な細胞骨格の再構成が結果として生じ、EPEC(大腸菌)が住む基盤を構成する。他方、サルモネラは、活発に膜に波立ちを導くことと大きな飲作用によって、腸上皮細胞を侵す。侵入は、毒性のあるタンパク質(SptP SopEを含む)を宿主細胞のなかに隠すことによる。そして、宿主への影響を膜境界の小胞の中から伝える。赤痢菌もまた、侵入する病原菌であるが、食細胞を溶解し、細胞内のアクチンを基礎とした運動を始め、細胞質中を細胞から細胞へと広がっていく。この自動性は細菌の外膜のタンパク質であるIcsAによっておこる。IcsAはアクチンに関連するいくつかのタンパクを細菌の表面へ補充する。発病の方法の間の外面の違いにもかかわらず、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌は、自分自身の目的のために宿主の細胞骨格を効果的に崩壊させ、重度の下痢を生じさせるのである。