動脈硬化症 ateriosclerosis 

 

 動脈壁が肥厚し、弾性を失った状態をいう。動脈硬化には、アテローム(粥状)硬化、メンケベルグ型動脈硬化、細小動脈硬化の3型がある。

 アテローム硬化は、大動脈や中等大の動脈にみられる。主病変は内膜にあって、脂肪斑、繊維性硬斑、複合病変へと漸次進展する。一般にまず病変は20歳代で腹部大動脈に始まり、胸部大動脈、総腸骨動脈におよび、さらに冠状動脈、腎動脈、腸間膜動脈へと進む。アテローム硬化のもっとも進んだ段階である複合病変では、潰瘍形成、カルシウム沈着、出血、血栓形成などがみられる。大動脈のアテローム硬化では、大動脈瘤や解離性大動脈瘤が形成される。冠動脈ではアテローム性動脈硬化症により主として内腔の狭窄ないし閉塞をきたして虚血性心疾患を発症する。脳動脈では、粥腫による高度狭窄、血栓性閉塞などが起こり、臨床的には脳梗塞が発生する。

 メンケベルグ型動脈硬化は、主として上下肢の中等大動脈の中膜の石灰化をきたすものであるが、内膜は侵されたいため内腔の狭窄はみられない。従って支配領域の虚血をきたさないので、偶然X線で発見されることが多い。

 細小動脈硬化は、細動脈あるいは細小動脈の中膜変性が主な変化であり、壁の肥厚や内腔の狭窄を生じる。脳血管障害や高血圧に関連が深い病変である。

 

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