感染と看護H16/1/ テスト解答例
問題1.
問1.原因菌として考えられるのはどれか。またその理由を簡単に述べよ
正解2. 一才未満の乳幼児の白色便下痢症である。冬季の乳児下痢症の多くの原因となっている。
問2 ウイルス性下痢症の病原体を三つ上げよ、簡単に説明せよ
解答 1. ロタウイルス 冬季の乳幼児下痢症
2. ノロウイルス 晩秋から冬季はじめ、子供から大人までの下痢症
3. エンテロウイルス 四季を問わない下痢症。
問3 感染性胃腸炎の中で、細菌性食中毒について以下の問いに簡単に答えよ
3-1 感染型食中毒とは、汚染された食材を経口摂取することによって胃・腸管内で病原体が増殖し食中毒症状を発症する
1 サルモネラ菌 鶏卵.
2. 腸炎ビブリオ 海産物類
3. カンピロバクター 鶏肉
4. 病原大腸菌 魚介類・野菜類、
5. セレウス菌 米飯、
6. ウエルシュ菌 土壌糞便に汚染された食材
3-2 毒素型食中毒とは、汚染された食材の保存中に、病原体が増殖し、同時に毒素を
産生する。この食材を摂取し、食材中の毒素による胃腸症状が出現する
1.黄色ブドウ球菌 グラム陽性球菌、多種類の毒素を産生する。腸毒素エンテロト
キシンによって食中毒症状を出す。
2.ボツリヌス菌 芽胞を有するグラム陽性嫌気性菌、ボツリヌス毒素を産生し、胃
腸および神経毒としての作用を持つ。
問題2.ミコバクテリアについて以下の問いに簡単に答えよ
1. ミコバクテリア属の三つの種類を上げ、それぞれの特徴を簡単に述べよ
解答 1.結核菌 抗酸性、人の結核の病原体、細胞内寄生性細菌、人工培養可能
2.らい菌 抗酸性、ハンセン病の病原体、細胞内寄生性細菌、人工培養不可
3. 非結核性抗酸菌 抗酸性、人工培養可
2. 結核菌による感染を予防するワクチン:BCG ウシ型結核菌、エイズなどの免疫機能が低下した人以外にはほとんど病原性がないので、生ワクチンとして使用される。
3. ツベルクリン皮内反応とは、結核菌の培養ロエキから精製された生成たんぱく質を抗原として、結核菌に感染しているか、結核に対する免疫が成立しているかを判定する皮内テスト。抗体を調べる即時型皮内テストとは違って、細胞性免疫の成立を判定する遅延型の皮内反応である。48時間目に判定する。硬結が10mm以上を陽性、それ以下を院生と判定する。ツベルクリン皮内反応陽性化は、結核感染後通常4週間以上経ってから成立する。既感染者は陽性であるが、数年から十年以上経つと陰転化することがある。
4. 抗酸性染色(チ−ルネルゼン染色)とは抗酸菌の染色に用いられる。
5. DOTSとは何か、その意義についても簡単に述べよ
Directly observed treatment, short course の略で、結核治療に際し、患者が飲み忘れたり、故意に飲まなかったり、副作用のために勝手に飲まなかったりすると、耐性菌が出現するので、これを防ぐために、投薬はすべて毎回チェックしつつ管理者の目の前で服用させる方法で、かくすると、短期治療で回復する。
5. 結核の治療薬
1.RFP リファンピシン、リファンピン、リマクタン 肝障害
2.INH イソニコチンサンヒドラジド 肝障害
3.EB エタンブトール 視神経障害
4.PZA ピラジナミド 腎障害・関節障害
問題3.以下の問いに答えよ。エイズは、他の性感染症(性器クラミジア・性器ヘルペスなど)にかかっていると感染しやすいといわれている。
問1. エイズとは 後天性免疫不全症候群
問2. エイズの病原体は HIV ヒト免疫不全ウイルス
CD4陽性T細胞およびCD4陽性マクロファージに感染し、増殖する
問3 エイズの感染経路と、その予防法について簡単にのべよ
性感染症 性行為に際し、コンドームを使用する
血液感染(血液製剤を含む)輸血・血液製剤のスクリーニングの徹底。ドラッグ注射器からの感染があるので、注意する。
母子感染(主意直感染)妊婦はエイズの治療を受ける
問4 エイズの治療薬には3種類の作用の異なる薬剤がある。何か
解答 1. 核酸系逆転写酵素阻害剤 AZT
2. 非核酸系逆転写酵素阻害剤 EFV エファピレンツ
3. プロテアーゼ阻害剤 インジナビル、リトナビル
問5
解答 1-2 帯状疱疹ヘルペス・結核菌いずれも可 3.カリーニ肺炎
4-6.真菌・サイトメガロウイルス・非結核性抗酸菌いずれも可とした。
問6 エイズになると結核の化学療法に抵抗して、多剤耐性結核菌を排出し、急速に悪化する理由を述べよ。
HIV感染によって、宿主の結核菌に対する免疫抵抗力(細胞性免疫)が落ちたために結核が発症する。この状態では、結核菌を体から排除しようとする防御細胞の機能が低下しているため、細胞内で結核菌が増殖をする。外から抗結核剤を投与しても細胞内に十分量の濃度をあげることが出来ないので、使用された薬剤に対する耐性結核菌が出現し、ついには多剤耐性結核菌となってしまう。
問題4.肝炎ウイルスについて以下の問いに簡単に答えよ
問1 肝炎ウイルスを5種類あげ、感染経路の特徴を簡潔のにべよ
1.HAV 経口感染
2.HBV 唯一DNAウイルス、血液感染
3.HCV 血液感染
4.HDV 血液感染
5.HEV 経口感染
問2 次の文章に間違いがあれば正しい文章に訂正せよ。
A型肝炎は、慢性化し肝硬変や肝がんになる
急性肝炎を惹起し、慢性化しない。またはAをB,Cに変える
B型肝炎とC型肝炎は性行為で感染はしない
感染する
E型肝炎は、針刺し事故や輸血や血液によって感染する
E型肝炎は経口感染である。
問題5.細菌性髄膜炎の起炎菌を5つ上げよ
1. B型連鎖球菌
2. 大腸菌
3. 黄色ブドウ球菌
4. 髄膜炎菌
5. タイプbインフルエンザ菌など
問題6.インフルエンザウイルスについて以下の問に答えよ
1) 毎年ワクチンをしないといけない理由を述べよ
A型は毎年流行時に表面抗原(HA、NA)を変異させ、
交差抗原性がほとんどないので、ワクチンは毎年必要である
2) 連続変異と不連続変異について簡単に述べよ
不連続変異とは大変異ともいい、ヒトおよび鳥のインフルエンザが豚に同時感染したために、お互いの遺伝子の組み換えが起こり、ウイルスが多数産生される。その中で、人への感染力を保持できた組み換えインフルエンザウイルスがヒトに感染すると、免疫がないので大流行をもたらす
問1
A型インフルエンザ治療薬
リマンタジン(RIMANTADINE)type A
only,
アマンタジン(AMANTADINE)
A,B型両方に有効なインフルエンザ治療薬ウイルスの侵入を阻止する
ウイルスのノイラミニダーゼ酵素阻害
ZANAMIVIR 粉剤で吸入
OSELTAMIVIR タミフル(75mg)2X 5日間 経口投与
問3.
インフルエンザ重症化の主因は細菌性二次感染により肺炎が重症化することが多い。そのため細菌性肺炎の予防としてある細菌のワクチン接種が薦められている。
肺炎連鎖球菌 莢膜多糖体
問題7.今年のインフルエンザ流行時期に、SARSが流行するかもしれないと恐れられている。
1) SARSとはなにか severe
acute respiratory syndrome 重症呼吸器症候群
2) SARSの病原体はなにか (新型)
コロナウイルス(SARS-CoV)
3) SARSの潜伏期は 通常10日(〜14日)
3) SARS流行地から昨日帰国した患者が39℃の発熱・咳等のインフルエンザ様症状で突然外来に来たときにはどのようなことに注意しないといけないか。
空気感染に対する予防策として、
患者にマスクをさせ、隔離する。
マスクはサージカルマスク、N95を使用する
隔離病棟(結核病棟に準じる、または陰圧病室で厳重に管理)
患者と接する人はすべてマスク・ガウン・ゴーグルをして患者に接する。
手洗いは感染予防に準じてしっかりとおこなう
まずインフルエンザとの鑑別のため、鼻口腔からのウイルスチェックをする
インフルエンザとわかれば A型、B型に応じた治療薬を投与して治療する
インフルエンザが否定されたらSARSの可能性例に準じた治療を行う。
他の病原体との鑑別診断として
血液検査、喀痰培養(一般細菌、結核菌、SARS培養)
胸部レントゲン検査などを施行する。
最近、SARSウイルス診断用キットが利用できるようになった。