担当 G11 班 (99061〜99066)
99061 砥上妃美子 99062 戸高 香菜子 99063 長友大輔 99064 中 野 さやか 99065 中 山 敦 史 99066 長 嶺 京 佳
目次
1.
GIO2.
SBO3.
CONTENTS
1.
<GIO>B型肝炎ウィルスの構造や増殖の仕方を理解し、医療人としての予防・治療に役立てる。
2.
<SBO>以下の項目についてそれぞれ説明することができる。
●B型肝炎の増殖について
●B型肝炎の構造の特徴と感染方法について
●B型肝炎の感染予防法と治療法について
●B型肝炎の現在の状況について
3.
<CONTENTS><B型肝炎とは>
B型肝炎は、
HBV(B型肝炎ウイルス)によって引き起こされる肝炎である。HBVは、血液・体液中に存在し、皮膚・粘膜を介して感染し、体内に侵入すると肝臓で増殖する。ウイルス自体には肝細胞障害、壊死作用はないが、肝臓の中でウイルスを作るために種々の蛋白(抗原)を作り、それを標的にしてリンパ球がウイルスに感染した肝細胞を破壊する。この状態が肝炎である。HBVの感染は
一過性感染と持続性感染の二つに区別される。免疫応答が十分に備わっている状態で感染を受けると、一過性感染となる。大部分は不顕性感染であるが、一部は急性肝炎を、約1%は劇症肝炎を発症する。急性肝炎の場合は、感染を受けた肝細胞は宿主のHBVに対する免疫反応で破壊され、HBVは宿主から排除されて感染は一過性に終了し、宿主は免疫を獲得する。これに対して、免疫応答能が不十分な状態でHBVの感染を受けると、ウイルスは排除されず、持続感染(キャリアー状態)となる。この状態になりやすいのは新生児(母子感染による)や2〜3歳までの乳幼児、免疫不全患者などである。大部分のキャリアーは無症候性に経過するが、一部のキャリアーは慢性肝炎となり、その一部は肝硬変に移行し、さらに肝癌へと進展する場合がある。
<肝炎の種類と症状>
急性肝炎 :
ウイルスに初めて感染して肝炎を起こしたものが
急性肝炎と呼ばれており感染して1〜3ヶ月後に肝炎がおこるとされている。肝炎の程度により無症状のものから、様々な症状がある。初期症状として発熱、衰弱・疲労、悪心、嘔吐などで、次に右上腹部の痛みと茶褐色の尿、黄疸が見られる。
劇症肝炎:
急性肝炎の重症化したものが
劇症肝炎である。劇症化すると死亡率が70%と極めて予後不良になる。(また、劇症肝炎をおこしやすいウイルスのタイプがあると報告されている。HBe抗原の消失した症例の大半はウイルスが激減して肝機能が安定するが、約20%の症例で HBe抗体陽性にもかかわらず、血中のHBV-DNAが陽性でGPTが変動する症例がある。これはウイルスの遺伝子が変化することで、HBe抗原のもとになる蛋白に変化が生じ、肝細胞から血中に分泌できなくなったためと考えられている。 このタイプのHBVに感染すると劇症肝炎をおこす可能性があることがわかってきている。)
慢性肝炎:
慢性B型肝炎
の多くは無症状で,一部が疲労,腹部不快,まれに急性肝炎の症状を示す。さらには肝細胞の継続的破壊と炎症,線維化,硬変が生じ,肝機能不全,肝硬変,肝癌になる場合もある。
<検査法>
肝機能検査:
肝機能検査には主に以下のものがある。
@ 壊れている肝細胞の量を反映するもの GOT、GPT、LDH
A 残った肝細胞の量を反映するもの アルブミン、
(肝臓で作っている蛋白を見る) コリンエステラーゼ
B 肝臓が壊れた後の傷跡としての線維の ヒアルロン酸、
量をみるもの W型コラーゲン
C 肝炎の進行具合をみるもの 血小板、超音波検査、
肝組織検査(肝生検)、
膠質反応(ZTT、γ-グロブリン)
D ウイルスについての精密検査 ウイルスの有無、抗体価
( ウイルスマーカー ) ウイルスの型、ウイルス量
肝炎ウイルスマーカー:
B型肝炎ウイルスの
抗原、その抗体、酵素などを調べることによって感染の状態がわかる。
HBs抗原(+) ■HBVに感染している。
HBs抗体(+) ■過去に感染していたが、免疫が出来ている。
HBe抗原(+) ■HBVが多いので、肝臓が悪くなる危険性がある。
他人への感染力も強い。
HBe抗体(+) ■血中にウイルスが少なく、感染力が弱い。
HBV関連DNA-P ■HBVが増殖を表している。
HBV-DNA定量 ■HBVの遺伝子を直接的に測る。
<ウィルスの性状>
ビリオン
(ウイリオン)は直径42nmの球状粒子であり(Dane particle),表層のリピドを含むエンベロープ(厚さ7nm)と内部のコアまたはヌクレオチドカプシド(直径28nm)よりなる(図X‐14‐2)。コアには不完全な二本鎖で環状のDNA,DNAポリメラ−ゼ、プロテインキナーゼが含まれる。(図V14‐3)。エンべロープとコアは抗原性が異なり、それぞれhepatitis B surface antigen(
HBsAg)およびhepatitis B core antigen(
HBcAg)と呼ばれる。さらにHBcAgを界面活性剤(SDS)で処理して分解するとhepatitis B e antigen(
HBeAg)が出現する。(図V-14-3)。HBsAgはHBVの表層をおおうほか、過剰に生産されたものは、血中に小型球状粒子(直径22nm)または桿状粒子(22nm×50〜700nm)として存在する(図V‐14‐3)。
HBsAgには、群特異的な共通の抗原決定基a、亜型特異的な抗原決定基dかy、wかrがあり、それらの組み合わせにより、4つの亜型に分けられる。
HBcAgとHBeAgは密接に関連し、HBeAgはHBcAgの一部であるがHBcAgへ組み込まれると
本来の抗原性を示さなくなる(cryptic antigen)。HBeAgと感染性のHBVビリオンの存在は相関するのでHBeAgの存在は感染性の指標になる。HBcAgおよびHBeAgには亜型による抗原性の差異は見られない。HBVのゲノムは不完全な
二本鎖の環状DNAであり、3182塩基対の長さを持つ長鎖(−鎖)とその50〜85%の長さの短鎖(+鎖)よりなる。したがって15〜50%の部分は一本鎖DNAである。
HBVのゲノムはヒトに感染する二本鎖DNAウィルスの中で最小であるが、効率よくタンパクをコードしている。すなわち同一の塩基配列を読み取り枠をずらすこと(frame shift)によって、別のコドンとして読み取り、別のタンパクをつくることができる。HBVの遺伝子としてはsurface(pre-S1,pre-S2,S領域よりなる)、polymerase、X(ほかの遺伝子をトランスに活性化するタンパクをコードする)およびpre-core/core(両者からHBe、後者のみからはHBc抗原がつくられる)の4つが知られている。Surfaceおよびpolymeraseの両遺伝子は前述の理由で遺伝子地図上重複している。
DNAポリメラ−ゼは一本鎖DNAを
二本鎖とし、プロテインキナーゼはコアタンパクをリン酸化してDNAに結合させる。完全な二本鎖となったウィルスDNAはスーパーコイルDNAとなり、宿主細胞のRNAポリメラ−ゼにより転写されてプラス鎖のRNA(プレゲノムRNA)が作られる。プレゲノムRNAからはウィルスがもっている逆転写酵素によってマイナス鎖のDNAがつくられ、それからプラス鎖のDNAが合成される。それと同時にRNAはRnaseHによって分解される。この増殖過程はレトロウィルスに類似している。HBVはヒトの肝細胞で増殖する。HBcAgは
核内に、HBsAgは細胞質内に検出される。また肝細胞中にHBV-DNA、HBV-mRNAが証明され、肝細胞のDNA中にはHBV-DNAが組み込まれて存在する例も示されている。HBVは培養細胞での増殖が見られないので、その増殖様式は明らかではない。しかし、遺伝子工学の手法により、HBV-DNAや各遺伝子産物が酵母、大腸菌、培養細胞などで量産できるようになった。
B型肝炎ウィルスは世界の
肝臓病の最大の原因といわれている。肝炎という病気は古くから知られていたが、B型肝炎ウィルス(HBV)が発見されたのは、1960年代になってからである。HBVの感染者は世界に2億人といわれ、その感染者の一部の人が、肝硬変や肝癌を発症している。B型肝炎ウィルスは、一般に“HB(Hepatitis B…B型肝炎の意)抗原”と呼ばれている。HBVは、直径42nmの球形の粒子で、血液中を流れている。その粒子は二重構造になっていて、表面の部分をHBs抗原(小さいsはSurfaceつまり表面の意)と呼ぶ。その中にはHBc抗原(小さいcはCoreつまり核,芯の意)と呼ばれる蛋白がある。HBs抗原は、ウィルス本体は別に、単独でも球状粒子や管状粒子という形で蛋白中に存在する。そして、そのHBs抗原の中には更にHBe抗原と呼ばれる蛋白があり、その中にウィルスの本体であると考えられるデオキシリボ核酸(HBV-DNA)さらにウィルスの増殖に必要なDNAポリメラーゼと呼ばれる酵素がある。HBVには肝細胞に親和性があって、ここに定着・増殖すると、HBV感染肝細胞には
HBV関連ペプチドが表出する。そして、これを認識した細胞障害性Tリンパ球との免疫反応によって強い炎症反応(単核球の浸潤、肝細胞の壊死・変死)が出現し、その結果として肝機能障害が出現する。したがって、生体の免疫反応が強ければ、過度のTNF-αとIL‐1の産生亢進が類洞内凝固を亢進させて、肝細胞の広汎な壊死を引き起こす。つまり劇症肝炎となる。
HBVは、基本的にキャリアの血液から感染する。具体的な感染経路としては、現在のところ、以下の4パターンが判明している。
<医療事故>
処置、針刺し、臨床検査、手術、病理解剖など
医療従事者の事故。種々の予防法が確立されてからは、激減している。<母子感染>
約5%が経胎盤感染で、残りの大部分は出産時の経産道感染と考えられている。しかし、最近では妊娠が判明した時点でスクリーニング検査し、ウィルス抗原陽性の母親から生まれる新生児に
ヒト免疫グロブリン(HBIG)とワクチンを併用している。これにより、母子感染はほぼ100%防止できている。<輸 血>
HBs抗原スクリーニング方法の進歩につれて、輸血後肝炎は激減した。今後この経路での感染は、緊急時など「HBs抗原を調べずに行われた場合のみ」と思われる。
<性行為感染症>
最近では不特定の相手との性的接触でHBVに感染する例が最も多く、上述の地域特異性から考えても、東南アジア地域での性的接触はハイリスクと思われる。
このような場合、HBs抗原のサブタイプを調べてみると、日本のそれとは異なっており、明らかに現地のものと一致する。
ただし、エイズの恐怖が知れ渡った頃と時期を同じくして、最近は減少傾向にある。
ところが、夫婦間での感染その他、気付かないうちに感染し、知らないうちに治って抗体だけできている等の原因不明の感染例が約30%と、実は最も多い。飲酒量とウィルス肝炎の相関性を指摘する報告もある。
現在、感染予防が重要な課題となっている。
特に医療に携わる人物は、医療現場での事故など、常に命懸けで仕事をしているわけだが、感染の予防、防止のためにHBウイルスに対するワクチンをほとんどが注射しているといわれている。
HBワクチンとは、HBs抗原を不活性化したものである。(現在は、遺伝子工学によって合成されたHBs抗原を使ったワクチンもある)ワクチンを使わなければならない人物は、医療に携わる人のほかに、
などが挙げられる。投与は一般的に、一回20μg(マイクログラム)を筋肉に注射する。その後、1ヶ月後、6ヶ月後にも注射する。
主な副作用は
などだが、それほど重い症状ではない。一般に希望してワクチン注射を受けることに対しては、保険が適応されない。
この注射で抗体がつくかどうかについてだが、これには個人差が大きく関係する。早期に抗体ができる人と、何回も続けないとできない人がいる。
また、その他の予防の方法として
抗HBグロブリンがある。これは、グロブリン製剤とは異なるグロブリンで、血液中にこの抗体(抗HBグロブリン)を大量に持っている人の血液から精製したものである。抗HBグロブリンを使用するのは、医療現場での事故と母子感染予防である。
ここで、キャリアの者の、日常生活で人への感染を予防する方法を挙げる。
以上のように数多くの予防法がある。
昨年12月に香港でアジア地域のメディアを対象として開かれた、グラクソ・ウェルカム社(英)主催のセミナーで、台湾大学病院内科胃腸病学部長のDing-Shinn Chen教授が「HBV感染はアジアの慢性肝炎、肝硬変、肝癌の約80―90%の原因となっている。同疾患に対する正しい知識を持ち、感染を予防することが重要だ。」と述べており、前述したように、感染予防には
抗HBヒト免疫グロブリンとHBワクチンの併用が有効だとも述べている。
<医学的な見地からの診断法>
臨床的な症状としては
前駆症状として
全身倦怠感や食欲不振、感冒様症状、胃腸症状などがあって、黄疸期として黄疸の出現とともに倦怠感が取れ、食欲が出てくる。
このような場合は急性肝炎を疑って酒飲歴、輸血歴、家族歴、服薬歴、常用薬、海外渡航歴などを聴取する。
そして血中ASTと腹部超音波検査、そしてプロトロンビン時間をみる。
超音波検査では念のため、肝外閉塞や肝内腫瘍の有無をチェックする。プロトロンビン時間は重症度の判定に有用で、特に40%以下であれば、劇症肝炎に移行する危険性が高い。
合併症にはGianotti病、蛋白尿、末梢神経炎、関節炎、そして回復期には骨髄抑制がある。但しいずれも必発ではない。
その他、肝機能検査、肝炎ウィルスマーカー、画像検査、肝組織検査などがあるが、HBVに最も特異的なものは肝炎ウィルスマーカーである。
B型肝炎と診断がついたら、まず最初に初感染による急性発症なのか、あるいはキャリアからの発症なのかを鑑別する。前者なら一過性感染として治癒し、終生免疫が成立する。しかし後者の場合9割は臨床的に治癒しても体内にHBVが残っており、再びキャリアに戻ってしまう。
HBVは
細胞増殖関連遺伝子を持っており、HBVの侵入に対して起きる炎症反応や、遺伝的因子などが組み合わさると、長期的には慢性肝炎→肝硬変→そして肝癌へと進展していく。HBV性肝癌の特徴は肝炎が沈静化しても肝癌になり得ること。つまり、肝炎を発症していない普通の肝臓から発癌することである。治療は安静と食事療法が何よりで、特に急性期には、食後2時間は臥位をとること。感染源がHBV陽性ならHBIGとワクチンも投与するが、安静を保っているだけで軽快する例も少なくない。
<インターフェロン>
インターフェロンは身体がウィルスに感染したときに体内に作られる物質で、間接的にウィルスの増殖を抑える作用をする。インターフェロンがウィルスに感染した細胞と結合すると、その細胞がウィルスの増殖を抑える
酵素を作り出す。もともとインターフェロンは必要に応じて体内で作り出されるのだが、慢性肝炎を治療するには量が足りないため、それを助けるかたちで体外から補充する。インターフェロンには白血球が作る
α型、繊維芽細胞が作るβ型、リンパ球が作るγ型がある。中でもα型には天然型と遺伝子組換型がある。現在慢性型肝炎の治療に使用されるのは抗ウィルス作用のあるα型とβ型で、その抗ウィルス作用には差がないと考えられているが、天然型のほうが守備範囲が広く多くの人に効く可能性がある。しかし天然型は遺伝子組換型に比べて高価で、そのぶん患者の負担は多くなる。
インターフェロンの主な副作用は全身倦怠感、頭痛・頭重、関節痛、筋肉痛、食欲不振、嘔吐、精神不安定、脱毛、白血球や血小板の減少などだが中でも特に目立つのが
発熱である。投与中はウィルスの増殖を抑えられるが、投与後に再び増殖が起こることも少なくない。
<核酸合成阻外剤(ラミブジン)>
本来、、HIVの逆転写を特異的に阻害することで注目されていた。しかしHBVに対しても
増殖抑制効果を発揮し、効果も強いことが分かった。ただし、耐性株の出現が問題となっている。<ステロイド離脱療法>
免疫抑制として短期間大量に使用した後に急激に中断し、強い
免疫賦活作用を引き起こすもの。しかし免疫抑制によって肝細胞内のHBVが増えることと、肝炎の急性増悪のリスクが大きいという欠点があるため、黄疸歴や肝硬変がなく、肝の予備能が十分に保たれているなど、ごく限られた条件でしか行われない。また、例えば糖尿病を合併していれば、ステロイドの使用は禁忌となる。HBs抗原が消失すれば肝炎は沈静化し、HBc抗体とHBs抗体が出現すれば臨床的には治癒する。この時、ウィルス・ゲノム自体は肝細胞内に残っているが、その影響はまだわかっていない。そして退院の目安は、黄疸は2mg/dl、ASTが100IU/l以下である。
<最近の動向>
B型ウィルス肝炎の臨床研究では、放射線線量との関係などウィルス遺伝子の変異と病態の関連、また、ウィルス感染が肝炎および他の肝疾患の自然史において果たす役割について、いくつかの注目すべき報告が為され、進歩が見られている。
B型肝炎は日本では欧米並みに
減少したが、世界的には既感染者が20億人、キャリアは3億5千万人存在する。キャリア率は、アフリカ、アジア地域で高く、特に全キャリアの約75%が集中する東南アジアではB型肝炎ウィルス(HBV)の肝疾患による死亡率も高いため、大きな問題となっている。以下に中国、台湾、香港の状況を示す。
中国:公式統計によると、キャリアが1.2億人、その内約1200万人は慢性疾患の状況に
ある。中国予防医療学会によればHBVは毎年約30万人の死亡原因になっており、
半数は肝癌であるが、主な感染経路は母子間垂直感染(40%)である。都市部で
の予防接種率は90%程度に上昇しているが、
HBV関連医療費は年間60億米ドルに達するであろうという事だ。多くの場合、インターフェロン投与が行われてい
るが、高価で、高い効果は得られない。8月にGlaxo Wellcome社から経口HB治
療薬Heptdin(lamivudine)が中国内で販売される予定である。
台湾:小児のHBVキャリアが20%から1%未満に減少し、小児肝癌も減少したと報告
されている。
香港:成人の10%がHBVキャリアで、その25〜40%がHBVに関連した肝硬変または
肝癌で死亡している。
< B型肝炎患者に対する偏見・差別>
肝炎患者に対する差別や偏見が依然として多い。元肝炎患者による会合で、肝炎が治ってよかったのは、いつもの重圧から解放され、堂々と生きられるようになった事だと出席者たちが口をそろえて語った。これまで周りの人、ひいては家族に必要以上に気遣わなければならなかったし、結婚、就職、仕事など社会の偏見や差別に耐えながら生活しなければならなかったので、心理的にはかなりの重圧となっていたという。
一般の人々は肝炎が感染する病気である事は知っているが、それ以上の詳しい事は何も分からない。肝炎患者と一緒にいたり、同じ空気を吸ってもうつるという誤解を持っている人さえいる。結局こうした半端な知識が不安を煽り、偏見や差別につながる。
患者たちを取り巻く社会環境をよくするにはB型ウィルスは血液感染という経路以外は感染しないことをまず一般の人に理解してもらう必要がある。そして、今の患者たちは、どうして感染されたかなどを知ってもらわなければならない。その為には、医療関係者による一般の人たちへの肝炎知識の普及が必要だし、患者たちも患者同士の交流に留まらず、あらゆる機会を使い、肝炎を一般の人々に正しく理解してもらうための更なる努力も必要であろう。
参考文献および参考にしたホームページのURL
●戸田新細菌学
●http://www.medical-tribune.co.jp/mtbackno/3107/07hp/M3107101.htm
●http://www4.cds.ne.jp/~elote/mp/hbv.html
●http://www.cty-net.ne.jp/~shige/noimage/sickness/hepatitis_b.html
●http://lala.med.kobe-u.ac.jp/KENSA/VISITOR/TEST/IMMUNO/hbv.html