試験問題
1. 以下の問いに答えなさい。( )内の正しいものをひとつ選び、丸印をしなさい
インフルエンザウイルスウイルスについて
1. インフルエンザウイルスには(A型とB型、○A型、B型とC型, A型、B型、C型とD型)があり、この中でヒトに病気を起こすのは(A型とB型)である。
2. インフルエンザウイルスの治療薬には二種類あり、一つはA型にのみ有効な薬剤(アシクロビル、○アマンタジン、オセルタミビル、ガンシクロビル、サキナビル、ジドプシン、ビダラビン、ラミブジン)ともう一つはA型とB型療法に有効な薬剤(アシクロビル、アマンタジン、○オセルタミビル、ガンシクロビル、サキナビル、ジドプシン、ビダラビン、ラミブジン)である.
3. 迅速診断法はありますか、あるならどのような方法で検査しますか
インフルエンザ抗原検出キット。患者の鼻腔拭い液を採取して、ウイルス抗原を高感度に検出する方法で、20-30分でA型かB型、あるいは両方かの鑑別ができる。迅速診断キットには下記のような種類があります
(http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1112-1d.html)。
補体結合法(CF )、赤血球凝集阻止反応(HI)などの血清診断法は、いずれも急性期と回復期の抗体価の4 倍以上の上昇をもって診断するので、確定診断には2 〜3週間を要する. 急性期の患者の咽頭拭い液やうがい液からウイルスを直接に分離するには、検体を発育鶏卵羊膜腔や組織培養細胞に接種して培養し、増殖してきたウイルスの同定を行うが、約1週間を要する。患者検体からウイルスの遺伝子を選択的に増幅して検出する遺伝子診断法(RT−PCR)が開発されているが、まだ実用化されていない.
4. インフルエンザワクチンはウイルスの最表層にある二つの抗原(A, B, RT, CD4, CD8, ○HA, HB, ○NA, NB)を用いた(生ワクチン、不活化ワクチン、○成分ワクチン、トキソイド)である.
5. 毎年インフルエンザワクチンをする理由について述べなさい
インフルエンザウイルスのHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)は、同じ亜型の中でも点突然変異に基づくわずかな変化が常に見られます(連続変異)。このためウイルスは巧みにヒトの免疫機構から逃れます.宿主が感染を受けた場合宿主の免疫状態によってに今までの免疫で防げる場合もあれば、防げない場合もあります。このため、ヒトによっては毎年のようにA型インフルエンザに感染することも起こりますし、インフルエンザの流行も毎年起こっています。この変異の幅が大きいほど宿主免疫の効果は低くなり、感染して発症した時の症状も強くなるとされています。したがって毎年その冬に流行すると推定されるウイルスのワクチンが必要となります.
6. インフルエンザウイルスの始まる季節、易感染性宿主は、インフルエンザウイルスワクチンと、もうひとつ肺炎を予防するためのワクチンをすることが薦められている。そのワクチンとはなにか
肺炎連鎖球菌莢膜多糖体に対する、23価ワクチン.高齢者がインフルエンザウイルスに感染すると、呼吸器粘膜上皮細胞の破壊が起こり、二次的な細菌感染が起こりやすくなります.この二次性細菌感染の中で特に注目されていて、かつワクチンの利用できるものがこのワクチンです.アメリカでは7価ワクチンが使用されていますが、血清型による肺炎連鎖球菌感染症の頻度を参考に決められています.
7. 混合ワクチンは、2種以上の病原体に対するワクチンを混合して接種するもので、あなたの知っている3種混合ワクチンを二つあげ特徴を簡単に述べなさい
1.MMR measles (麻しん) 、munpus(流行性耳下腺炎)、Rubela (風疹)の生ワクチンである.
2.DPT Diphtheri (ジフテリア)、Pertussis(百日咳)、Tetanus(破傷風)それぞれの毒素のトキソイドワクチンである.
8. 生ワクチンと不活化ワクチンについて述べなさい
生ワクチンとは弱毒化した病原体を抗原としている.効果的な液性免疫と細胞性免疫ができる.特に粘膜免疫が必要な感染症では威力を発揮する.しかし免疫不全患者などでは、ワクチンそのものによる感染症が起こる. BCGによる粟粒結核、ポリオの生ワクウイルスによって実際の感染症が起こったり、便から環境中に散布され、先祖がえりの危険があったり、またはエイズ患者などでは実際の病気が発症する.
これらの欠点は不活化ワクチンでは起こりえないが、能動免疫のうち液性免疫は十分できるが、細胞性免疫及び粘膜免疫の出来が悪いことが知られている.
2. 以下の問いに答えなさい。( )内の正しいものをひとつ選び、丸印をしなさい
両親がSARS流行地域から、昨日帰国しました、
1.
あなたは両親に帰国後(3日、5日、7日、○10日)間は朝夕の体温測定を実施し、両親の健康状態を確認してください。
2.
もしこの期間内に両親が発熱(38℃以上)、せき、呼吸困難の症状が現れた場合は、最寄りの(医院、病院、市役所、○保険所)に相談をしてください、あるいは
3. 両親が医師の診察を直接受けるときは、(通常の患者として受けてください、○感染地域からの帰国であることをあらかじめ告げてから受けてください). その際、(手洗い、○マスク、ゴーグル)をして下さい。
1. SARS とは、日本語でなんの略ですか
severe
acute respiratory syndrome 重症急性呼吸器症候群
2. SARSの病原体はなんですか 新型コロナウイルス SARS-CoV
3. SARSの疑いで入院することになりました。看護上どのような注意が必要か
隔離する、都会では陰圧病室に隔離するが、感染病棟に隔離するのみでもよい(ベトナムでの実例に基づく).
治療薬はまだないので、スタンダードプリコーションによる患者管理が必要である.すなわち医療従事者が患者と対応接触する必要のあるときは、マスク、手洗い、ガウンを付ける.咳が強い患者さんでは、ゴーグルが必要となる。患者及び部屋の清拭などでは手袋を使用できることが望ましい.患者さんも移動に際しては、手洗い・マスク装着が望ましい.
3. ウイルスとは
1. ウイルスとはなにか、一般細菌とは異なる特徴について述べなさい
細菌の10分の一以下のサイズで、細菌ろ過膜を通過できる、
人工培地では増殖できない.
ウイルスの適した培養細胞に感染させるとウイルスの増殖が可能である.
(偏性細胞内寄生病原体)
核酸はDNAかRNAのいずれかである.
感染細胞内で増殖をするには、宿主細胞の蛋白合成経路を利用する.
2. enveloped viruses とnon-enveloped virusesの基本構造を図解して述べなさい
3. タバコモザイクウイルスを例にして、ウイルスが生物としての性質を持っていることと無生物としての性質を持っていることをわかりやすく説明しなさい.
配布シラバス参照
無生物としての特徴:結晶化できる
すなわち、生物としての特徴である、増殖をすることができる
4. エイズに関する問題
1. エイズ(AIDS)とは、略語だが、正確な病名はなにか
acquired immunodeficiency syndrome 後天性免疫不全症候群
2. エイズの病原体はなにか
HIV human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス
3. 病原体の特徴について、述べなさい.また( )内の正しい言葉に丸をつけなさい
1. エイズウイルスは、(○enveloped virus, non-enveloped virus)で、核酸は(DNA, RNA)で、ウイルス表層に糖たんぱく質(GP100, ○GP120, GP150)をもち、このGPと反応できるレセプターをもつ宿主細胞(白血球、B細胞、○CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞)に感染する. 感染するとウイルスの持つ酵素(ノイラミニダ−ゼ、ヘモアグルチニン、蛋白分解酵素、○逆転写酵素)によってDNAをつくり、感染細胞の染色体に組み込まれる.
2. ウイルスの一段増殖曲線を図解して説明しなさい.
3. エイズ病原体に感染後、エイズを発病するまでに体内で何が起こっているのかを述べなさい.
HIVウイルスは、CD4陽性T細胞に感染し、DNAとして染色体に組み込まれたあと、半減期6時間という速さで増殖し、感染T細胞を破壊し、毎日100億個前後のウイルスが複製されている。増え続けるウイルスは、リンパ節などで新たに生産されるCD4陽性リンパ球に次々と感染し、感染したCD4陽性リンパ球は平均2.2日で死滅する。このようにして宿主のCD4
T細胞がおよそ500個/μl 血液より減少するころから種々の日和見感染症を発症し、AIDS として発症する
5. グラム染色
1. グラム染色について述べなさい
オランダの医師Hans Christian Gram が肺炎連鎖球菌と肺炎桿菌を区別しようとして偶然見つけた染色法で、グラム陽性菌とグラム陰性菌を区別できる.ゲンチアナバイオレットかクリスタルバイオレットで塗抹標本を染色したあと、ヨウドカリウム液をかける.この操作によってヴァイオレット色素とヨードの複合体が細菌細胞壁に作られる.つづいて95%アルコール(またはアセトンアルコール混合液)で肉眼的に脱色をする.このとき細胞壁の構造の違いから、上記の複合体が外れて流れ出してしまう細菌と、細胞壁にとどまったままの細菌に分けられるが、脱色されて見えなくなった細菌には、サフラニン(ピンク色)で対比染色をする.アルコールで脱色されなかった紫色の細菌をグラム陽性細菌、脱色されたあとサフラニンに染まったピンク色の細菌をグラム陰性菌という.
2. グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁の特徴を簡単に述べなさい
細菌は細胞膜の外側に細胞壁構造を持つ.
グラム陽性菌は、細胞壁構造として、厚いペプチドグリカン層をもち、さらにタイコ酸及びリポタイコ酸を結合している.病原性の強い細菌は莢膜多糖体をペプチドグリカン層の外に持っている。最表層にたんぱく質からなるS-Layerを持つものもある.細菌の菌種によっては、ペプチドグリカンに多糖体とリピドを結合しているものもある
グラム陰性菌は、薄い(通常1層の)ペプチドグリカン層を持ち、その外側にもう一層の細胞膜(外膜)をもつ.この外膜を持つのがグラム陰性菌の特徴である.外膜を構成する内側は細胞膜(内膜)と同じリン脂質からなるが、外側の脂質層にはLPSとよばれる独特な構造物、リポポリサッカライドを持っている.このLPSの基本構造は、最表層にO多糖体(O抗原)、コア多糖体、つづいて3分子のKDOがあり、最も重要なリピドA から構成されている.
3. 喀痰のトマツ標本を作りグラム染色をしたら、
1. 白血球に食されたグラム陽性双球菌が多数見られた.最も可能性の高い細菌の名前はなにか. この細菌の特徴を述べなさい.
肺炎連鎖球菌、莢膜の有無によって、強毒株と無毒株に分けられる
2. 白血球に食されたグラム陰性双球菌が多数見られた. 最も可能性の高い細菌の名前はなにか. この細菌の特徴を述べなさい.
1. ナイセリア(淋菌または髄膜炎菌)淋病を起こす菌と髄膜炎を起こす菌
2. ブランハメラカタラーリス 呼吸器感染症
6. 内毒素と外毒素について
1. 内毒素とはなにか、基本構造と生理活性について述べなさい
O抗原(多糖体)-コア多糖体-リピドA という基本構造を持ち、O抗原を決める多糖体の構造によってグラム陰性菌のO抗原の型が決まる.
LPSの生理作用は以下の図に示されるように多彩である.
• 発熱( fever). Endotoxins,pyrogenic
• 末梢血白血球数の変化Changes in white blood cell counts
• DIC (Disseminated intravascular coagulation )
• 腫瘍壊死
• 血圧低下,血管透過性亢進,shock
• 致死作用
• 免疫機能亢進
などの作用を示す、図解すると、
または次のように説明することもできる
1. 外膜は毒物( penicillin G and lysozyme)などの侵入を防ぐ. LPS はペプチドグリカンやタイコ酸のように細胞壁の補強作用がある.
2. LPSは宿主のパターン認識レセプター(TLR4)によってキャッチされ,細胞内へ信号を与える.
3. LPS は補体別経路とレクチン経路を活性化する.
4. LPS が宿主の体外から体内に入ると内毒素(endotoxin)として有害な作用をする. LPS は血中のLBP( LPS-binding protein)と結合し細胞膜上のレセプター (CD14)と結合すると、さらにマクロファージの toll-like receptor TLR-4 と結合刺激し、さまざまなサイトカイン ( IL-1, IL-6, IL-8, TNF-alpha, and PAF)分泌を促進する. サイトカイン・サイトカインレセプターの一連の作用で炎症反応が開始する、補体経路の活性化、凝固形の活性化などが起こり、ショックやDICの誘引となる.
2. 外毒素について、グループ発表した内容の概略をわかりやすく説明しなさい.
省略
7. 以下の問に答えなさい. ( )内の正しい言葉に丸を付けなさい.
結核感染:抵抗力のない赤ちゃんは、感染すると結核性髄膜炎や粟粒(ぞくりゅう)結核といった命にかかわる重症の結核を発病しやすく、後遺症も深刻なので生後できるだけ早い時期にBCG接種を受けましょう。接種を受けることにより、かなりの確率で発病を防げます。平成15年度より,小中学校の健康診断におけるツベルクリン反応検査と陰性者へのBCG接種が廃止となりました。BCG接種を受ける機会は,乳幼児期の一回だけとなりました。一生に一度のBCG接種! だからこそ質の高いものを!!
そのために技術評価が必要である.
1. BCG接種とは、所定量に調節された(○生きた、死んだ)(人型、 ○ウシ型、 とり型)結核菌液を1滴たらし、広げ、9本の針先を持った摂取器で強く皮膚に押し当てる.2箇所に接種(18穿刺あとが残る)する.およそ1ヵ月後にはほとんどのヒトは免疫を獲得する.
2. BCG接種によってできる免疫は、(液性免疫、○細胞性免疫)で、その判定は(抗体産生、○ツベルクリン反応、両方)でみる.
3. ツベルクリン反応とは、結核菌の培養ろ液から精製した蛋白成分(DPT, ○PPD,)、所定濃度量を0.1ml(皮下、○皮内、筋肉、静脈)注射して、注射後(30分、3時間、24時間、○48時間、72時間、7日)に判定する.判定は注射局所の(発赤、浮腫、水疱、○硬結)の長径を測り、(1mm, 5mm, 9mm, ○10mm)以上を陽性と判定する.
5. 結核の集団感染が近年多く報告され、青少年が感染する例が多い.このことについてなぜこのような報告が増えているのか、またなぜ感染の危険のある青少年が増えているのか、そしてそれを防ぐにはどのようにしたらよいのかについて、ドクターを目指すあなたの考えを書きなさい.省略する