M3発病機構入門パート1試験
Q1. グラム染色によってグラム陽性菌は(紫)色に、グラム陰性菌は(ピンク)色に染まる.グラム染色の機序について簡単に述べなさい。
オランダの医師Hans Christian Gram が肺炎連鎖球菌と肺炎桿菌を区別しようとして偶然見つけた染色法で、グラム陽性菌とグラム陰性菌を区別できる.ゲンチアナバイオレットかクリスタルバイオレットで塗抹標本を染色したあと、ヨウドカリウム液をかける.この操作によってヴァイオレット色素とヨードの複合体が細菌細胞壁に作られる.つづいて95%アルコール(またはアセトンアルコール混合液)で肉眼的に脱色をする.このとき細胞壁の構造の違いから、上記の複合体が外れて流れ出してしまう細菌と、細胞壁にとどまったままの細菌に分けられるが、脱色されて見えなくなった細菌には、サフラニン(ピンク色)で対比染色をする.アルコールで脱色されなかった紫色の細菌をグラム陽性細菌、脱色されたあとサフラニンに染まったピンク色の細菌をグラム陰性菌という.
Q2. 膿の塗抹標本をグラム染色したら、不規則なグレープ状の球菌の集団が見えた. 最も確率の高い細菌はなにか?
ぶどうの房状の形態をとるのはグラム陽性ブドウ球菌
Q3膿 (喀痰、尿、髄液など)の塗抹標本をグラム染色したら、双球菌が沢山見えた。
3-1急性感染症を起こす最も確率の高いグラム陽性菌またはグラム陰性菌は何が考えられるか.
解答 1. グラム陽性菌 1種 肺炎連鎖球菌 Streptococcus pneumoniae
2. グラム陰性菌 2種 1. ナイセリア属 髄膜炎菌 まれに淋菌
(Neisseria meningitidis , Neisseria gonorrhoeae,)
2. モラクセラ・カタラーリス
(Moraxella catarrhalis)
3-2 これらの双球菌の病原因子で、共通している因子はなにか 莢膜 Capsule
3-3 この因子に対して人の身体はどのような戦略で対抗しているか、それらの戦略についてのべなさい.
莢膜の有無に比例して病原性が異なり、莢膜の厚いものほど病原性が高いのは、
補体が有効に働かないためである.通常はプロパージンによる別経路の補体系で殺菌するのだが、莢膜が厚いとこの経路も無駄骨となる。食細胞は莢膜のある細菌を食作用で取り込めないが、宿主は莢膜多糖体に対する抗体を産生する事によって、補体との共同作用で、食菌を強力にすることができる(FcRとC3bR)
3-4 これらの宿主の示す戦略に対して、病原体が示す対抗手段について述べなさい.
1. 莢膜を厚くする.莢膜の抗原構造を変える.
2. 補体を活性化して補体を消費させる
3. 食細胞に食されない
4. しっかりと付着して流されないで増殖をする
Q4:抗酸性細菌についての説明です。適切な言葉を入れなさい
4-1. 抗酸性染色では結核菌は、通常 (赤)色に染まって見える.
4-2. __ミコール酸___ と _ペプチドグリカン____ とは抗酸菌の細胞壁成分で、サイトカイン産生や炎症反応を惹起するグラム陰性菌の LPS と同様の作用をする.
4-3. 病原性のある抗酸菌を三つ上げ、それぞれの引き起こす病気を述べなさい.
A. 結核菌 結核
B. 非結核性ミコバクテリア 非結核性抗酸菌症
C.
ライ菌 ハンセン病
4-4. 結核菌が証明されたときに、培養をする必要があるのはなぜか
塗抹によって、あるいは遺伝子診断で結核菌が証明された場合、培養して、
目的の結核菌の薬剤に対する感受性(耐性)を調べることが重要である.
耐性の度合いに応じて、適切な薬剤の選択ができる.さもなければ、多剤耐性菌を作り出す結果となる
4-5. ツベルクリン反応の注射の方法、判定時間、判定方法及び
結核菌に感染してどれくらいで「ツ」反が陽転するかを述べよ
ツベルクリン反応は、結核菌の培養ろ液から精製した蛋白成分(PPD,)、所定濃度量を0.1ml、通常前腕に皮内注射し、注射後48時間目に判定する.判定は注射局所の硬結の長径を測り、10mm以上を陽性と判定する.
ツベルクリン反応は、BCG接種または結核に感染して、4-6週(約1ヶ月)ぐらいして成立する細胞性免疫を測定する方法のひとつである.来年(2005年)からはより結核菌に特異的な抗原を用いた、全血によるクウォンティフェロン法が使用される.
Q5. 院内感染の定義を述べ、重要な三つのグラム陰性細菌の名前を挙げなさい.
一般的な定義は、入院後48時間以降に発症した感染症、または退院後48時間以内に発症した感染症を院内感染症として取り扱う.
1. 緑膿菌を含むグラム陰性桿菌多数(大腸菌、セラチアなど含む)
2. MRSA(注:近年は市中MRSA—Ca-MRSA)
3. VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)
Q6. 髄膜炎症状の患者の培養で、Neisseria meningitidisが証明された. 彼は発熱・躯幹の発疹とショックのサインを示した. 細菌の構造との関連において、これらの症状を説明しなさい.
髄膜炎菌はグラム陰性双球菌で線毛と莢膜、さらにはIgAプロテアーゼを持つため病原性を持ち、さらに外膜に存在するLPS(内毒素)によって、シュワルツマン反応と同様の血栓症、皮膚粘膜の出血斑、補体の活性化などを通じて血圧低下を招きショックなどを惹起する
Q7: 細菌性髄膜炎についての問いに答えなさい.細菌性髄膜炎は、無菌性髄膜炎にくらべて重症化することが多い.発症年齢と起炎菌との間には一般的に以下のような差が見られる.カッコ内に最も適当な起炎菌を、下の中から選びなさい.
• ●新生児〜生後3カ月乳児:
(B群レンサ球菌)、大腸菌、黄色ブドウ球菌、(リステリア菌)
●生後3カ月以降の乳児〜幼児:
(インフルエンザ菌(Hib))、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌
●年長児〜青年期:
(肺炎球菌)、(インフルエンザ菌)、(髄膜炎菌)
●成 人:
肺炎球菌、髄膜炎菌
●高齢者(50 歳以上):
肺炎球菌、(緑膿菌)、(リステリア菌)
●免疫能低下の状態では
肺炎球菌、(緑膿菌)グラム陰性桿菌、リステリア菌、(黄色ブドウ球菌(MRSA))、
選択肢 (何度用いてもよい)
黄色ブドウ球菌(MRSA)、リステリア菌、インフルエンザ菌(Hib)、肺炎球菌、髄膜炎菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、(B群レンサ球菌、緑膿菌、グラム陰性桿菌、インフルエンザ菌)
Q8:細菌の芽胞について以下の問に答えなさい。
Q8-1. 芽胞を作る細菌を二種類(属)を上げ、どちらが好気性ないし通性嫌気性菌、偏性嫌気性菌か.
解答1. 好気性ないし通性嫌気性菌:バシラス属(炭疽菌・古草菌・セレウス菌)
2. 偏性嫌気性菌:クロストリジウム属(破傷風菌・ボツリヌス菌・ガス壊疽菌・ディフィシル菌)
Q8-2. 細菌の芽胞の機能について簡単に述べなさい.
熱・乾燥・pH・塩濃度など環境の悪化などのときに、これらの苛酷な環境から身を守るために芽胞をつくる.この状態は休眠状態であるが、種々の抗菌剤にも耐える.環境が元に戻れば、栄養型になって増殖を始める
Q8-3. 芽胞から栄養型が出現することをなんと言いいますか. 出芽・発芽 germination
Q8-4.細菌の芽胞によって発症する病気を三つ上げよ.
1.
炭疽(皮膚炭疽・腸炭疽・肺炭疽)
2. 破傷風
3. ボツリヌス食中毒
ガス壊疽、ウエルシュ食中毒、
Q8-5. ボツリヌスはClostridium botulinumが原因で、放牧家畜の消化管の常在菌である.自宅で大豆類をカンズメにして、ジャーなどに保存しておくが、空気をしっかり抜く操作をして保存する. この豆を食べてボツリヌスにかかる. これらのことからクロストリヂウムにかんして何を学ぶことができるか簡単に述べなさい.
ボツリヌス菌は偏性嫌気性菌で、かつ芽胞を持つ細菌である.保存食としてカンズメを作る際、空気を抜き嫌気性状態にするのは好気性菌を死滅させるためであるが、ボツリヌス菌は芽胞を持っているので、カンズメがこの芽胞で汚染されていると、芽胞が発芽する条件が整うと、嫌気性であるためボツリヌス菌はカンズメの中で増殖でき、かつ毒素を産生できる.これによってボツリヌス食中毒が起こるので、カンズメをつくるときには、芽胞の存在を考慮し、芽胞の汚染が起こらないような操作が必要である.
または
偏性嫌気性菌であるボツリヌス菌の芽胞は、動物の消化管から便として排泄され土中に生残する. 芽胞が大豆を汚染し、ボイルにも耐えて生き残る. ボトルを陰圧にすると嫌気性となる.
嫌気条件の中で、発芽する.栄養型が食物の中で増殖し毒素を産生し、食されてボツリヌス症を惹起する.
Q9. 身体に入ってきた微生物が、たとえ病原菌であっても身体に入ってきただけでは病気を起こすことはできない。このことについてなぜかを述べなさい.
結核を例に出すまでもなく、病原菌が宿主のからだに侵入してきただけでは、病気にはならない.病原菌が増殖できる環境が整わない限り発病はしない.その理由は、宿主の遺伝的な感受性の有無のほかに、宿主に備わっている自然免疫によって、病原体が増殖しないように液性バリアー、細胞性バリアーによって防御しているからである.何らかの機転で、この自然免疫のバリアーを超えて病原体が侵入すれば、病原体は増殖ができ、宿主は発病する.また獲得免疫ができている個体であれば、侵入してきた時点で、液性免疫と細胞性免疫で発病を防ぐことができる.ある統計によれば、ある特定の限られた結核菌汚染場所で、70%は感染しない、30%は感染したためにツベルクリン反応が陽転する.ツベルクリン反応陽転者の中でおよそ40%が半年から2年以内に結核を発症する.残りは潜伏感染のまま一生を全うするが、途中で、何らかの機転で細胞性免疫が低下すると、活動性結核を発症するし、特にHIV感染が伴うと、発症率が高まる.
Q10-1: 赤痢菌とリステリアといった細胞内寄生性細菌にとってアクチン依存性の細胞内移動は大きな利点を持っている. この機序を説明しなさい.
細胞内寄生性細菌は、細胞骨格であるアクチンの重合化を促進する酵素を持っていて細胞内を自由に移動でき、さらに隣接した細胞への感染も可能である
Q10-2: このほかの細胞内寄生性細菌を三つ上げなさい.
解答1. 結核菌
解答2. サルモネラ菌
解答3. レジオネラ菌
その他、クラミジア、リケッチャなど
Q11: 膀胱や消化管内で付着増殖する細菌にとって鞭毛運動することはどのような利点を持っているか
膀胱や消化管の細菌は、排尿や腸の蠕動によって体外に排除されようとする圧力にさらされている.鞭毛運動できる細菌はこれに対抗して、移動できるので、病原体に都合のよい粘膜上皮細胞に移動でき、線毛や莢膜等を用いて付着し増殖できる.
Q12:外毒素exotoxinとしての記述から正しいのはどれか下記から選びなさい:説明文で間違いがあれば下線を引き、正しい文に直せ.
• F(ベロ毒素) は、Escherichia coli のある株 E. coli O157:H7によって産生される. これらの毒素は大腸の粘膜上皮細胞を破壊し、血清の下痢の原因となる. まれではあるが, この毒素は血液中に入り、腎臓まで運ばれて血管内皮細胞の破壊を惹起し、 hemolytic uremic syndrome (HUS). の原因となる
• h(ボツリヌス毒素) はClostridiumのある株が産生する. これは神経毒素 neurotoxin で、自律神経の末端で作用する. この毒素は前シナップスの神経細胞に結合し、侵入して、acetylcholineの分泌阻害をする. そのため弛緩性麻痺を起こし、支配領域の筋肉を弱くする(weakening).
• d_(百日咳外毒素) Bordetellaのある株が産生する. 百日咳外毒素は宿主細胞の蛋白のADP-ribosylation をし、 細胞内cAMPの濃度を高める. その結果、呼吸器分泌促進と粘液産生促進をする. 神経細胞にも作用してencephalopathyの原因となる.
• _i(破傷風毒素) は Clostridiumのある株が産生する. これは神経毒で、脊髄の抑制性介在神経に結合して、抑制物質の放出をブロック.この毒素は、抑制物質の放出をブロックすることによって、関わっている筋肉を収縮状態に保ち、痙性麻痺をもたらし、屈筋 と伸筋 とを同時に収縮させる.
• __ j. Helicobacter toxins ___ これらの毒素は胃粘膜細胞と相互作用し、白血球とマクロファージをひきつけるケモカイン産生を促す. この炎症反応と食細胞による細胞外殺菌は組織破壊と潰瘍をもたらす.
選択肢
a. diphtheria exotoxin、 b. cholera exotoxin , c. enterotoxins , d. pertussis exotoxin e. Pseudomonas exotoxin A , f. shiga toxin (shiga-like toxin) g. anthrax lethal toxin and edema toxin h. botulism exotoxin i. tetanus exotoxin j. Helicobacter toxins
Q13:次の文章は外毒素についての説明である.以下の選択肢から適切なものを選びなさい:
• ___1_b_ は、 グループ A βレンサ球菌 (Streptococcus pyogenes)のまれな侵襲性株が産生する. この外毒素は protease で、筋肉を破壊し muscles (myositis) あるいは筋膜を破壊する (necrotizing fasciitis).
• __2_a__は、食細胞の細胞膜を傷害し白血球溶解する、おそらくリソゾームであろう. これは化膿性細菌Staphylococcus aureus やStreptococcus pyogenesが産生する.
• __3_d_ は、肺炎連鎖球菌 Streptococcus pneumoniaが産生する,この毒素は cholesterol と結合し、宿主細胞膜に穴を開ける. 線毛上皮細胞、肺組織および血管内皮細胞を傷害する.
• __4__e_ は Streptococcus pyogenesによって産生される, これらの加水分解酵素は赤血球膜、細胞蛋白、DNA, フィブリンを破壊する. これらの酵素による組織破壊は炎症を惹起する.
a. leukocydin b. Streptococcus Exotoxin B c. elastase d. pneumolysin
e. hemolysins, proteases, DNases, and streptokinase
Q14:感染性胃腸炎について以下の問に答えなさい。
乳幼児冬期下痢症を起こすウイルスは(ロタウイルス)、特徴的な下痢は(白色水様便)である。秋からひき続いて春ごろまに集団食中毒として、発熱、下痢、腹痛、嘔吐を起こすウイルスは(ノロウイルス)である。これらのウイルス性胃腸炎に対する薬剤はまだないので、対処療法が中心である。一方、夏季には、細菌性食中毒が頻発する。細菌性食中毒は二つに分類され(感染)型と(毒素)型がある。それぞれの定義を簡単に述べ、病原性大腸菌以外の細菌性食中毒菌を8つ上げなさい。
感染型とは、病原体に汚染された食材を摂取することにより、腸管内でその病原体が増殖することで、胃腸炎としての食中毒が発症する
毒素型とは、病原体に汚染された食材が、人に経口摂取されるまでのあだの保存期間に、食材中で増殖し、毒素を十分量産生する.これを食して発症する
1.サルモネラ菌(Salmonella typhimurium, S.enteritidis)
2.カンピロバクター(Campyrobacter coli, C.jejuni)
3.腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)
4.セレウス菌(Bacillus cereus)
5.ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)
6.クロストリディウム・ディフィシル(Clostridium difficile)
7. クレブジエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)
8.エロモナス(Genus Aeromonas)
9.黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
10.ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)
コレラ、赤痢は含めない
Q15:以下の文章をよく読んで、( )内に当てはまる言葉を、選択肢から選んで記入しなさい。また設問に答えなさい。
1. ヘルペスウイルス科のウイルスはHHV1からHHV8まで知られているが、いずれもその核酸は(DNA)である。この中で性感染症として最もよく知られているヘルペスウイルスは(単純ヘルペスウイルス1型)と(単純ヘルペスウイルス2型)である。ヘルペスウイルスの特徴の一つは急性感染のあと、親和性のある組織に(潜伏感染)し、宿主の免疫が低下したときに、(回帰感染)することである。水痘ウイルスは、知覚神経節に沿った疼痛を伴う(帯状疱疹)を惹起するウイルスと同一のウイルスであることからこのウイルスは(水痘帯状疱疹)ウイルスと呼ばれている。ヘルペスウイルスの中にはオンコウイルスとして(EBV)と(HHV8)が知られている。前者はカレッジ病またはkissing diseaseと呼ばれている(伝染性単核症)という病気の原因になり、腫瘍としての(バーキットリンパ腫)や(上咽頭がん)の原因ともなっている。臓器移植や骨髄移植患者で免疫抑制剤を投与されることによって誘発される肺炎を惹起するヘルペス科のウイルスは(CMV)で、エイズの末期にも発症する。このウイルスが感染した組織には、ふくろうの目のような特徴的な(巨細胞)が出現する。エイズ患者に診られるカポジー肉腫からは、ヘルペスウイルスのなかの(HHV8)が見つかる。
2. インフルエンザウイルスの核酸は(RNA)であり、(A)型と(B)型は8本の分節からなる。一般にワクチンには、(生ワクチン)と(不活化ワクチン)があり、日本では後者が使用されているが、これはウイルスのエンベロープ上のスパイクを形成するタンパク(HA)と(NA)を抗原としている。感染宿主内で、頻繁に抗原変異をするが、これらの抗原は(点突然変異)によって頻繁に変わるので、毎年新しいワクチンを準備しなければならない。一方、数十年に一度大きな変異が起こるが、この変異は従来は(とり)の腸に感染する(鳥インフルエンザ)と人の呼吸器に感染するヒトインフルエンザウイルスがブタに同時感染をして(遺伝子組み換え)によって新種ができ、それが人に感染し、増殖して人に大流行を起こさせる。しかし近年、中国から発して急速に世界中に広がりつつある(高病原性鳥インフルエンザ)は、直接人に感染し、死亡率も高く、ヒトインフルエンザウイルスとの混合感染の際、(組み換え)による新種ができると世界大流行の危険が懸念されている。
インフルエンザウイルスの化学療法として使用されている薬剤について簡単に述べなさい。
A型にのみ有効な、アマンタジン、リマンタジン
A型とB型に有効な、ザナミビル、オセルタミビル
3. エイズはいまだ世界的に注目されている感染症で、特に近年の日本では、血液製剤による(薬害エイズ)よりも、性感染症として増加傾向にある。エイズの病原体はRNAウイルス(HIV)であり、人に感染すると、レセプター(CD4)と、コレセプター(ケモカインレセプタ)を持つ細胞に感染して細胞内に入る。そこでウイルス自身の(RT逆転写酵素)によってウイルスRNAがDNAに変えられ、核内に移動して、染色体に組み込まれる。T細胞は日々刺激を受けて活発に活動しているが、そのたびにウイルスも増殖して宿主細胞を破壊して放出され、新たに感染を繰り返す。ウイルスは、半減期6(時間)という速さで増殖し、毎日100(臆)個前後のウイルスが複製されている。増え続けるウイルスは、リンパ節などで新たに生産される(CD4陽性T)リンパ球に次々と感染し、感染した(CD4陽性T)リンパ球は平均2.2日で死滅する。
エイズの治療薬3種を挙げなさい。
1. 核酸系逆転写酵素阻害剤 (AZT ddIなど)
2. 非核酸系逆転写酵素阻害剤(EFVなど)
3. プロテアーゼ阻害剤(IDV,RTV, SQVなど)
選択肢
CD4陽性、CD4, CD8, CD8陽性、DNA, RNA, 百、千、万、億、秒、分、時間、日、逆転写酵素(RT),ケモカインレセプター、HIV,
薬害エイズ、A, B, C, D, 生ワクチン、不活化ワクチン、HA, NA, M, S, 急性感染、慢性感染、潜伏感染、回帰感染、帯状疱疹、単純水疱、水痘帯状疱疹、EBウイルス、ヒトヘルペスウイルス(HHV)6、HHV7,HHV8,
カポジ肉腫、上咽頭がん、伝染性単核症、巨細胞、多型細胞
4.下図はエイズ患者の血液中のCD4陽性細胞数と感染症との大まかな関連を示しているA群、B群に当てはまるものを以下の中から選びなさい
1. 水痘帯状疱疹
2. 結核
3. カリーニ肺炎 エイズ発見のきっかけとなった病原体
4. カンジダ
5. クリプトコッカス
6. サイトメガロウイルス肺炎
7. 非結核性抗酸菌症
配点 合計130点
Q1,2,3 10点
Q4、Q5、Q6、Q8 各 10点
(Q7 60点以下の学生の場合に配点考慮)
Q9、Q10、Q11,Q12、Q13 各5点
Q14 10点
Q15-1 10点. 15-2 10点. 15-3 10点. 15-4 10点