肝炎ウィルスと看護

 

 

O:観察項目 T:看護項目 E:教育項目

 

<急性肝炎ウィルス>

O:1.発熱・悪寒(寒気がする)・戦慄(不規則で発作的、無意識な震え)・倦怠感・筋肉痛

2.下肢の倦怠感・患者の言動

T:1.発熱時氷枕にて解熱を図る

a.発汗等による軽い脱水時は水分補給に努める

b.悪寒・戦慄時は電気毛布等による保温に努める

2.解熱しない時は、医師の指示にて解熱剤を使用する

3.倦怠感に対しては、安楽枕等を利用して躯幹(体の骨組み)の圧迫を避けるよう工夫する

4.少しの振動・騒音も苦痛に感じることがある為、作業によるベッドの振動を最小限にする

5.日射しが強い場合は、ブラインド等で調節する

6.筋肉痛・下肢の倦怠感に対しては湿布を貼る

7.患者の良い相談相手となる

 

O:1.食欲不振・吐気・嘔吐・吐物の性状

2.食事摂取量・体重減少・尿量・飲酒量のチェック

3.検査デ−タのチェック

T:1.食べやすく患者の口に合うように工夫する;果物・牛乳・野菜・スープ・くず湯など高カロリー・高タンパクの食事

2.患者の好みに応じて分割食にする

3.どうしても食べられない時は、患者の好む物を少量ずつ勧め栄養補給に努める

4.枕元には、ガーグルベースン・テイッシュペーパー・タオル等 を用意する;消化の状態・混入物の観察

5.嘔気・嘔吐が激しく食事が摂取できない場合は、医師の指示にて輸液(体の水分・栄養分を補うため、必要な成分注

入を行う

 

O:1.黄疸・皮膚の状態・掻痒感

T:1.掻痒感が強い場合

a.冷たいおしぼりで清拭

b.レスタミン軟膏塗布

c.ab効果なければ医師の指示に従う

2.皮膚の清潔に努める

3.掻痒感の看護参照

E:1.絶対に掻かないように指導し爪は短く切っておくように説明する

 

O:1.黄疸の増強・フラッピング

2.精神活動の低下;嗜眠・興奮等の異常行動・見当識の低下・質問に対する反応が鈍い・ぐったりしていて生気がない

3.腹水(腹腔内に大量の水がたまる)・浮腫(むくみ)・尿・便の性状及びび尿量のチェック

4.消化器症状・鼓腸・便秘・腹満感・出血傾向

5.検査データのチェック;TBiI・GOT・GPT・TTT・I M・ALP・止血機能

T:1.出血傾向がある場合は、止血を充分に行う

2.レベルの変動・フラッピングには充分注意し異常時は医師に報告する

E:1.異常時は、医師又は看護婦に報告するよう説明する

 

O:1.患者の言動・パンフレットの理解度・日常生活の過ごし方

T:1.医師より安静の必要性を説明してもらう

2.モーニングケア・イブニングケア・配膳・下膳を行う

3.清拭・洗髪・足浴については医師の指示に従う;倦怠感が強い時は避ける

4.ストレスが蓄積されないように、ラジオ・読書にて気分転換を図るよう工夫する

E:1.食後1、2時間の安静

2.患者の状態に応じて肝臓パンフレットにそって指導

 

吐物及び尿・便により他者に経口感染の可能性がある

O:1.手洗いが確実に施行できているかどうか

2.分泌物・排泄物の取り扱い

T:1.患者に使用した物品について、素手で扱わないように必ず手袋を使用する

2.処置終了後は、手洗いの励行

3.症状が安定するまでは、面会者の制限を図る

E:1.排泄後の手洗い指導;グリンスを使用

 

O:1.HB(B型肝炎)パンフレットの理解度・日常生活面について

T:1.血液・分泌物・排泄物の取り扱いは、ディスポ(使い捨て)手袋を使用

2.手洗いはグリンスを使用

3.採血器具はディスポ−ザブルを使用

4.使用後の注射針は、必ずキャップをして所定の場所に破棄

5.食器はディスポを使用

6.体温計は水銀体温計を使用

7.血圧計はHB専用の物とする

8.汚物・寝衣リネン類・医療器具・器械・薬杯・マジックカップ・ガ−グルべ−スン・その他については院内感染予防

マニュアルに準ずる

E:1.HBパンフレットにそって指導

 

E:1.退院後2、4週間は入院中と変わらない規則正しい生活をする

2.高カロリー・高タンパクの食事をとり食後1,2時間の安静を守る

3.アルコール・就業については、医師の指示を受ける

4.登山・海水浴・スキー等の激しいスポーツは避ける

5.内服は確実に行う

6.((HB抗原陽性患者について))

a.血液の後始末は自分で行いその後焼却する

b.剃毛・歯ブラシは専用とする

c.乳幼児は、感染しやすいので濃厚な接し方はしない

d.排泄物は、流水で充分洗浄する

e.献血はしない

f.定期的な肝機能検査を行う

g.新しく受診する時は、HB抗原陽性であることを告げるよう指導する

 

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