性病性リンパ肉芽腫

  クラミジア、L型の感染により、感染部粘膜の腫瘍に続き、鼠径リンパ節炎を生ずる。後者は膿瘍形成性リンパ節炎の組織像を呈す。潰瘍は無痛性で気付かれない事もある。放置して進行すると、病変部に強い繊維化を生じ、膣や直腸の狭窄をきたすことがある。診断は血清検査による。

 

クラミジア肺炎

  オウム病はオウムから感染する肺炎で、病原菌はクラミジアと呼ばれている。小さな細胞内寄生体で、ウィルスとは異なる。同様の病原体が多くの鳥類に発見され、一般には「はと病」と総称される。病原菌を含む糞が乾燥して埃となり、ヒトに吸入されて感染する。ヒトからヒトへも感染する。

  肉眼的に、肺は腫大し、斑状の出血性硬結がみられる。下葉がことに冒される。繊維素性胸膜炎、点状出血がみられる。組織学的には、肺胞内に滲出液が貯留し、胞隔毛細血管の充血と血栓形成がみられ、胞隔にはリンパ球、少数の好中球が浸潤する。血栓形成のため胞隔は壊死に陥っている。血液、フィブリン、マクロファージ、脱落肺胞上皮が肺胞腔にみられ、肺胞壁には空胞変性に陥った腫大した上皮細胞が並んでいる。0.5μm以下のクラミジアが肺胞壁を被覆している細胞の胞体内にみられる。気管支、細気管支の上皮細胞も変性、脱落する。

  血液よりの菌の検出、血清学的検査、Frei反応などが本症の診断に用いられている。

 

クラミジア感染症

 クラミジアは、最近注目されている病因の一つである。分類上、一科Chlamydiaceae、一属Chlamydia、二種C.psittaciC.trachomatisに分けられている。C.trachomatisはさらに3つの生物型に分類されている。

 クラミジアは細胞偏性寄生性の小型球菌で単細胞有糸分裂不能の原子核細胞生物、二重鎖環状DNAおよびRNA、一般細菌共通の70sリボソーム、細胞壁を有し、抗生物質感受性を有するなど細菌に類似している。発育史は独特でエネルギー産生機構を欠如し、動物細胞に寄生してエネルギー供給を受けて増殖する。感染性基本小体が感受性宿主細胞の貪食により細胞質内に取り込まれると非感染性増殖型の網様態に変換し、これが二分裂を繰り返して増殖し、成熟中間体を経て感染性基本小体に成熟する。このように感染と増殖が異なる2つの細胞形態を通して起こり、また貪食事に形成された食胞内でこの増殖過程が終始することも大きな特徴である。自然感染宿主は上述のごとく、トリ、哺乳類およびヒトで、ヒト以外では生涯潜伏感染の型を取ることが多い。

 

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