<化学療法>

細胞内増殖型である網様体の代謝系を標的にして、化学療法を行う。

テトラサイクリン系の抗生物質(タンパク合成阻害剤で網様体の増殖を阻害する)は、両種のクラミジアに著明な効果があり、1次選択剤である。ミノサイクリン、ドキシサイクリンのC.trachomatisに対する抗菌力を封入体形成阻止濃度(MIC)で測定すると0.063μg/ml前後で、きわめて良好な抗菌活性を示す。マクロライド系およびリファンピシンも有効である。とくにクラリスロマイシンはMIC値が0.0080.016μg/mlであり、妊婦や小児に対しての使用が可能である。

ペニシリン系・セファルスポリン系(網様体から基本小体への変換を阻害する)は効果が弱く、MIC値は一般的に8128μg/mlである。最近登場してきたキノロン系合成抗菌剤は、MIC値で0.0631.0μg/mlであり、オフロキサシン、レボフロキサシン、トスフロキサシン、スパフロキサシンなど尿中排泄もよく、Ctrachomatisによる非淋菌性尿道炎には有効である。

アミノグリコシド系(宿主細胞へ取り込まれにくい)は無効であり、逆にそれを利用して、クラミジアを分離する際に、雑菌の汚染・増殖 を防ぐ目的で、高濃度のストレプトマイシンを加える。サルファ剤(葉酸合成を阻害する)は、C.trachomatisに対してのみ有効である。

 

-back-