<感染と免疫>
一般に、本来の宿主においては、クラミジアは不顕性が多く、持続感染を示すのが特徴である。すなわち、C,psittaciは、130種を超える鳥類と種々の哺乳動物に感染しており、また、C.trachomatisは、ヒトの眼や泌尿生殖器にかなりの頻度で、不顕性・持続的に感染している。
C,psittaci
のヒトへの伝播は、鳥の排泄物を直接および間接的に吸入することによって起こる。ヒトの感染像は、呼吸器を中心とする全身感染である。ヒトからヒトへの伝播は普通見られない。これに対して、C.pneumoniaeはヒトからヒトへ感染し、呼吸器系疾患を引き起こす。C.trachomatisは、ヒトからヒトへ、以下の経路で伝播し、それぞれの感染像を示す。これらの感染像の共通点は、粘膜における局所感染である。
外毒素は産生されないが、内毒素様の活性は認められる。すなわち、生きた基本小体を多量にマウスの静脈内に注射すると
1日以内にショック死する。この毒性は抗血清により中和されるその中和抗体は、基本小体で吸収されるが、網様体では吸収されない。このように、細胞内増殖型である網様体が、この毒性および抗原性を欠如していることが、個体レベルでのクラミジア感染を不顕性感染および持続感染の形にし易くする原因の一つであろう。強力な感染防御免疫は成立しがたい。抗体の存在下に感染は持続する。しかし免疫不全状態で感染は顕在下・重症化しやすので、免疫による感染防御機構の関与が考えられる。