<細菌学的診断>

a)直接塗抹染色

患者材料(喀痰、気道粘膜分泌物、眼・尿道・頚管分泌液などのスワブ)をギ-ムサ染色、ヨード染色(C.trachomatisのみ)により封入体を検出する。しかし通常は封入体を観察することはまれで、細胞外に放出されたEBを蛍光抗体法により検出する。C.trachomatisに対しては、FITC標識抗クラミジア抗体が市販されている。C.trachomatis MOMPに対するモノクローナル抗体はC.psittaciC.pneumoniaeと交差せず種特異性が高い。

C.psittaciC.pneumoniaeに対しては、LPSに対する属特異的モノクローナル抗体が利用される。

b)酵素抗体法によるクラミジア抗原の検出

検体中のC.trachomatisを、抗クラミジア抗体、抗IgG-ペルオキシダーゼ、基質の3者により比色定量する方法で、Chlamydiazymeとして市販されており、有用な検査法である。

最近この方法の1つとしてIDEIAクラミジアキットが開発され、臨床面に応用されるようになった。本来は従来のEIA法に比較して、感度、特異性も高く、男子の初尿沈渣からの検出率も尿道に匹敵する成績が得られており、検体採取の際、疼痛から解放されるという利点があり、きわめて有用性が高い。この2つの方法は比色定量のための機器を必要とするが、定性的に眼で判定できるChlamydia Test Packは、判定までの時間も短く、簡便法として利用されている。

c)DNAプローブ法

クラミジアの検出にもPCRを応用したDNAプローブが開発され市販されている。特異性はきわめて高く、同時に淋菌も検出できる利便性がある。

d)クラミジアの分離

検体(①C.trachomatisの場合は眼、尿道、頚管の分泌物、②C.psitticiの場合は喀痰、血液、剖検時の肺組織、③C.pneumoniaeの場合は気道粘膜分泌物)を、マウスの腹腔内、発育鶏卵(6日卵)の卵黄嚢、培養細胞に接種する。

C.psittaciの分離にはL929細胞でも十分感受性があるが、C.trachomatisに対しては感受性が低い。C.trachomatisの分離にはMcCoy細胞かHeLa229細胞を用いる。尿道・子宮頚管分泌液をSPG液中で強く分散させ、2,000rpm4060分遠心して培養細胞に吸着・感染させる。感染4872時間後に蛍光抗体法あるいはヨード染色によって封入体の有無で診断を行う。HeLa229では、クラミジア封入体と誤って診断され易い構造であるので、モノクローナル抗体による蛍光染色によって封入体を確認する。ヨード染色によるC.trachomatisの封入体は茶褐色に染まる。

感染前に培養細胞をDEAEdextranで前処理するとC.trachomatisの検出率、分離頻度が高くなる。

C.pneumoniaeの分離にはHeLa細胞が最も感受性がよい。

分離のための検体は、細菌、真菌で汚染されていることが多いため、ストレプトマイシン、カナマイシン、バンコマイシン、場合によっては抗真菌剤を添加して培養する。

e)抗体の測定

煮沸抗原(感染卵黄嚢材料)を用いる補体結合反応による抗体測定が、オウム病、性病性リンパ肉芽腫症の血清診断に有効である。トラコーマ、封入体結膜炎、尿道炎、頚管炎などの場合、15種類の株のC.trachomatis標準株のEBを抗原として用いる蛍光抗体法(microIF test)がきわめて感度が良く、眼・泌尿生殖器の炎症の血清診断にも用いられている。

 

 

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