1. レジオネラの病原性発現機構の解明

レジオネラは,エアロゾル感染によりヒトに急性肺炎(在郷軍人病)やインフルエンザ様の熱性疾患(ポンティアック熱)を惹起する病原性を持っています.


衛生管理の悪い循環式の温浴施設が感染源となり,入浴者にレジオネラ肺炎が集団発生します.

本菌が病原性を発揮する上で最も重要な性質は生体防御の第一線で働くマクロファージの殺菌に抵抗して増殖することです.本菌がどのようにマクロファージの殺菌機構からエスケープして増殖するのかについて,菌側の遺伝子(icm/dot) と宿主側の遺伝子Lgn1の両側からアプローチしています.(宮本)



医学科研究プログラムでは、このテーマに関連した「細菌感染実験研究法(レジオネラの細胞内増殖アッセイ)」に取り組みます.マクロファージにレジオネラを感染させて,菌の増殖を調べ,強毒株 (JR32) と弱毒株 (25D) とで比較します.他の菌と違ってレジオネラはマクロファージ用の培地では増殖しないので,マクロファージ内での菌の増殖を正確に追うことができます.

Gimenez染色の写真では,青く染色されたマクロファージ内に,赤く染まったレジオネラ (強毒株JR32) が多数確認できます.マクロファージ細胞内の菌数の推移を見ても,強毒株 (JR32) はマクロファージに貪食されても殺菌されず,マクロファージ内で増殖することがわかります.マクロファージ内で増殖できない25Dは弱毒株で,IV型分泌装置を欠損しています (Δicm).



☆もっと詳しく知りたいかたは、お気軽にお尋ね下さい
宮本比呂志

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